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NFLカンファレンス決勝が終了〜スーパーボウルへの道は「熱く冷静に大胆に」(その2)

(承前)

NFCのカンファレンス決勝は、No1シードのサンフランシスコ・49ers(以下、SF)が、デトロイト・ライオンズ(以下、DET)を迎えた。須崎優衣の「熱く冷静に大胆に」を実践できるのはどちらのチームか。

DETのQBゴフは2016年のドラフト1位指名。入団したロサンゼルス・ラムズでは2018年シーズンにスーパーボウル進出を果たすが(QBブレイディ率いるニューイングランド・ペイトリオッツに敗れる)、2021年に“弱小“チームDETに移籍。2021年は3勝13敗、2022年9−8、そして今シーズン12−5で、苦労人もついにカンファレンス決勝までたどり着いた。

SFのQBパーディーは、ドラフト最下位、“Mr. Irrelevant “として入団。正副QBの相次ぐ負傷で、昨季ルーキーとして突如頭角を表したシンデレラ・ボーイだが、カンファレンス決勝で負傷し敗退。リベンジの年である。

最初のシリーズでDETはタッチダウン(TD)で先行。ランプレイがよく進み、ロングパスで仕留めた。一方のSFは48YDのFGを、ルーキーKムーディーが失敗。前週の試合でも、こうしたスペシャル・チームの出来が試合を左右した。嫌な立ち上がりである。

DETは次のシリーズでもTD、14−0とリードしたが、SFもTDを 1本返し14−7とワンポゼッション差に縮める。ところが、パーディーのインターセプトがあり、このチャンスを活かしたDETがTDで21−7。さらにFGも決めて24−7で前半終了。完全にDETのペースである。

後半はSFの攻撃でスタートし、43YDのFGをしっかりと決め、24−10。そして、次のDETの攻撃が一つの転機になった。ハーフタイムでSFの守備が修正され、DETの攻撃に対応し始めた。それでも、DETオフェンスはSF陣30YD付近まで侵入、3rd&4ydでのファーストダウン獲得は2YD足りず。リードしている展開を考えると、当然FGと思われたが、4thダウンギャンブルを選択、ゴフからのパスは不成功で攻撃権を渡してしまう。確かに確率論からすると間違いではないだろう。しかし、“冷静さ“を優先すべきこの場面の判断は、試合を左右するように思われた。

SFに攻撃権が移り、パスで17YDゲインした後のプレイで、とんでもないことが起きる。QBパーディーから、No.1ターゲットのWRアイユークへのロングパス。若干が長く、インターセプトかと思われたが、なんとDETの選手のヘルメットにボールが当たりバウンド、アイユークの手の中に収まる。結局、TDに結びつき24−17。

続くDETの攻撃、最初のランプレイで、まさかのファンブル! 攻撃権を獲得したSFは、わずか4プレイでTD、遂に同点とする。

続くDETの攻撃、SFの守備陣はほとんど前進を許さずパント。SFは、しっかりと時間を消費しながら攻撃、最後はFGで27−24と遂に逆転。残り時間9分52秒でDETの攻撃となる。

まだ時間は十分ある、焦らずに「熱く冷静に大胆に」が求められる局面。DETはそれを見せ、2プレイでSF陣内まで侵入する。SFの守備陣も集中力を切らさず、自陣30YDでの第4ダウン残り3YDという局面となる。確かに難しい判断ではあった。しかし、試合の流れ、シーズン100%成功率のキッカーを考えると50YD程度のFG(2週前のラムズ戦では52YDを決めている)での同点狙いは第1チョイスだったと思う。しかし、ここで再び4thダウン ギャンブル、そして失敗。

続くSFの攻撃は、当然時間を使いつつ前進、最後はTDで締める。34−24で、残り時間3分。DETはTDを返し、34−31と追いすがり、最後のドラマを期待させてくれたが、残り時間56秒でのオンサイド・キックは無情にもSFに抑えられ涙を飲むことになる。(ハイライトはこちら)チャンピオンシップ決勝に相応しい好ゲームだったが、スーパーボウル初出場を目指していたライオンズにとっては、悔いの残る試合になっただろう。

点差が離され焦りたくなる状況において、24歳のQBパーディーは“冷静さ“を失わなかった。“熱さ“と“大胆さ“は互角、どちらに転んでも不思議でない展開の中、コーチ陣も含め“冷静さ“にまさったSFに軍配が上がったように見える。

終わってみれば、優勝候補と目されたカンサスシティ・チーフスとサンフランシスコ・49ersがスーパーボウル進出となった。さてどのようなクライマックスになるか。その展望はまた来週に








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