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庵野秀明展と「監督不行届」〜“エヴァをめぐる冒険”(その7)

もうやめようと思いつつ、私にとっての“エヴァ“の年、2021年を締めくくるためにも、庵野秀明展に行く。

展示は、彼の原点となった「ウルトラマン」を始めとする、特撮物、ヒーロー物、アニメ関連の展示に始まる。続いて、学生時代の作品が見られるが、中学時代の油絵に才能の片鱗が感じられる。“栴檀は双葉より芳し“である。大学時代に自主制作かつ自演した「帰ってきたウルトラマン」やアニメーションが見られるのは嬉しい。

プロになってからの軌跡や、作品のメイキング資料などが並ぶが、一番見られて良かったのは、「シン・エヴァンゲリオン」の中でも、私が大好きな第3村の大模型である。前回書いたドキュメンタリーでも登場した、ここまでやるかという代物である。

彼が手がけた実写作品関連の展示もあり、鑑賞欲を刺激された。そして、未来に向けての展示、「シン・ウルトラマン」「シン・仮面ライダー」などである。「仮面ライダー」は、私も大好きな仮面ライダー1号がベースになるだろう。あのダークな世界観が、庵野秀明の手でどうなるのか、そしてカラータイマー無しのウルトラマンは〜公開が楽しみである。

さらに、奥様の安野モヨコのマンガ「監督不行届」まで読んでしまった。これは傑作である。庵野秀明ファンは必読。庵野がモデルのオタク“カントク“君と、奥様であり作者である安野モヨコ〜“ロンパース“の日々を書いた作品。

「エヴァンゲリオン」において、シンジの背後には、多数の女性が存在し、シンジを強く支え叱咤する。その背後にある庵野秀明という人物像が、このマンガの中には垣間見られる。

巻末に“庵野秀明、カントクくんを語る“が掲載されているが、<事実と創作がいりまじっています>とし、庵野もネームの段階でチェックしていたとする。ただしそれは、<『この話は書かないでくれ』というNG出しではなく、マンガをもっと面白くするための<アイデアの提供>と語っている。関係する作品は全て最良のものにしたい、ファンにサービスしたい、庵野の真骨頂だと思う。

庵野秀明にとっては、前述のドキュメンタリーは、ノンフィクションの体裁を取った映像のために自己演出した作品であり、「監督不行届」はファクトをベースにしながら、マンガのためにデフォルメした実像なのである。

このマンガを読む解くための“用語解説“も付されているが、これがまた面白い。これを眺めると、私自身と庵野秀明が重なっている部分と、そうでないモノがよく分かる。彼を知り作品を読むとくためのカギ、私が好きな部分とそうでないモノの理由を考えるための手がかりとなる。

「シン・ウルトラマン」の前に、映画「ラブ&ポップ」「式日」、見ておくかなぁ


献立日記(2021/12/6)
菜の花と鶏胸肉の卵炒め
せりの柚子胡椒あえ
かぶとセロリの粒マスタードあえ
焼売


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*成田亨氏が描いたウルトラマン

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