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出雲そして松江へ(その2)〜出雲大社と大国主大神について少し

(承前)

朝食をすませて向かった先は、もちろん出雲大社。妻も私も初めての参詣です。

そもそも出雲大社とはなにか。説明する必要もないと思いますが、御祭神は大国主大神、大国主命(おおくにぬしのみこと)、いわゆる大黒さまです。

池澤夏樹現代語訳「古事記」(河出書房新社・河出文庫)に、日本文学者・三浦佑之さんが“解題“を書かれています。「古事記」は、天皇賛美とか国家の歴史の記述というものではないとされ、注目すべき点として、こう書かれています。

<古事記の神話の中で、もっとも大きな分量を占めているのが〜(中略)〜出雲の神々だという点である>。そして「古事記」によると、大国主神が<いくつもの試練を乗り越えて地上にりっぱな国を作り、その主として君臨する>。

こうして作り上げた国を、大国主神は、天照大御神に譲り渡すのです。つまり、出雲大社は日本のルーツを祀っているということかと。出雲大社のHPによれは、天照大御神はその国造りを讃え、その住居として出雲大社を建立、「むすび」の霊力で人々を幸福に導くよう願ったということです。

出雲大社は“縁結び“の神として有名ですが、この“縁“は男女のものだけではなく、宇宙的なスケールにおける、生と生の結びつきというわけです。

例によって前置きが長くなりました。ついでに、もう少し。

我が家の氏神は、目黒区八雲にある氷川神社です。この“八雲“という地名は、スサノオノミコト(以下、スサノオ)が、クシナダヒメとの新居を作った際に雲が立ち上った際に詠んだ、「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」という、日本最古の歌にちなんでいます。新居の場所は、もちろん出雲の国です。

この氷川神社はスサノオ、クシナダヒメ、そして大国主命を主神としており、この神社にちなんで、“八雲“という地名がつけられています。

大国主命はスサノオの子孫とされますが、「古事記」によると、スサノオの別妻との娘、スセリビメを正妻とします。

一方で、「古事記」由来の“因幡の白兎“のお話はこうです。大国主や兄弟たちは、ヤガミヒメという美しい姫を獲得しようと、彼女のいる因幡に向かいます。途中、大国主は白兎を助けたため、出遅れてしまうのですが、ヤガミヒメは大黒主を選びます。

「古事記」には、こんな面白い箇所があります。ヤガミヒメは、大国主とともに出雲に来て、子をもうけるのですが、<ヤガミヒメは正妻のスセリビメの嫉妬を恐れ、生まれた子を木の股に挟んだまま帰ってしまった>。この子供は、“木俣神(キノマタのカミ)“となります。

さらに、大国主は、妻にするべき美しい乙女を求めて、他国に遠征します。苦労の末、ゲットするのが、ヌナカワヒメで、新潟県を中心にこの姫が祀られています。大国主もなかなかにお盛んです。

こうして希望を叶える大国主ですが、<正妻スセリビメはことのほか他の妻たちへの嫉妬心が強かった。夫オホクニヌシはこれに困惑してしばらく出雲を離れて倭国(やまとのくに)に行こう>と考え、馬に乗ろうとしながら歌を送ります。これに対し、スセリビメは、<あなた以外に男はいない、あなた以外に夫はいない>、<腿と腿をぴったり重ね合わせて共に夜を過ごしましょう>と返歌。<それ以来、オホクニヌシは出雲に長く留まった>。

大国主も大変だったんですね。そんな神様に思いを馳せて、大社へと向かいましょう


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