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単行本と文庫本、そして電子書籍〜出版社は本気で読み手に寄り添っているのか

コロンビアのノーベル文学賞作家、ガルシア=マルケス。その代表作「百年の孤独」(新潮社)が、初めて文庫化され、話題になっている。日本語訳の初版はWikipediaによると1972年、それから100年は経過していないのだが。

私もいつかは読もうと思っていた作品なので、買おうかと思ったのだが、文庫版発売の6月26日から1ヶ月以上経過したが、なぜか電子書籍が出ていない。

7月19日、集英社文庫の新刊広告が新聞に掲載されていた。伊集院静の吉川英治文学賞受賞作「ごろごろ」が一推しで広告の大きなスペースをしめている。単行本は2001年に講談社から出版されていた。

さまざまなミステリ・ランキングで上位に入った呉勝浩「爆弾」、2022年に単行本が出版、今月文庫化(講談社文庫)された。単行本出版から2〜3年後に文庫化されるケースが通常で、「爆弾」は典型的な流れである。

それにしても、なぜ単行本と文庫本を同時に出さないのだろうか。

単行本出版時、文庫本出版時、2回の山を作った方が売れ行きはよくなるのだろうか。作家・出版社にとって収入が最大化されるのか?

もちろん、売上が読めない本について単行本のみの出版にするのはわかる、しかしある程度の売上が見込める作品であれば、両方同時に出しても良いのではないか。

純粋にユーザー目線で考えれば、選択肢が色々あった方が良い。単行本で持っておきたい本もあれば、文庫の方が持ち運びできるので良いと考える人もいるだろう。私のように、身軽でありたいと電子書籍を好む人もいる。

本が売れていないというのであれば、買いやすくするのは当然なのではないか。

アメリカやイギリスでは、ハードカバーとペーパーバック(講談社ノベルス)が同時に出版されている。日本は不思議なシステムが続いている。

文庫書き下ろしのように、単行本をすっ飛ばして文庫発刊の作品もある。調べてみると、単行本・文庫本同時発売の作品もあった。最近で言うと、昨年京極夏彦の“百鬼夜行シリーズ“の最新刊「鵼の碑」(講談社)が、ハードカバーとペーパーバックの2フォーマットで出版された。

できないはずはないのだ。

芥川賞・直木賞発表翌々日の7月19日、有楽町の三省堂書店を覗くと、芥川賞を受賞した朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」(新潮社)は品切れ、松永K三蔵「パリ山行」は講談社から7月29日発売予定。


さっさと文庫版も出せば、もっと多くの人が購入するのではないだろうか。芥川賞作品は、「文庫になったら読もう」というノリにはならない。

繰り返しになるが、「百年の孤独」は早く電子書籍化してください


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