参鶏湯の専門店、麻布十番「グレイス」〜“ソウル熱“に誘われて
昨日紹介した「つかこうへい正伝II」には、ソウルでの「熱海殺人事件」公演についての記述がある。著者の長谷川康夫は、取材の名目で韓国を訪れ、<街や人が持つ底知れぬパワーのようなものに、『一発でやられてしまった』>。これを称して、<ソウル熱に感染する>と表現している。その中には、韓国での飲食の場面も多々登場する。
麻布十番で知人と食事となった。“ソウル熱“を引きずっていた私が選んだのは、「グレイス」、麻布十番の参鶏湯(サムゲタン)専門店である。
かつて参鶏湯は、一部の焼肉屋のメニューにあったが、大抵は事前予約が必要だった。そんな時、専門店として、いつでも食べられる店として登場したのが「グレイス」だった。
一時、参鶏湯を家で作ることもあった。鶏肉と、朝鮮人参、ニンニク、ナツメ、松の実、餅米などを鍋に入れて、骨がほろほろに崩れるまで煮込む。これを食べると、なんだかパワーが湧いてくる。そう、長谷川康夫が感じた、ソウルの熱気でもある。そう言えば、韓国人の同僚がソウル出張時に、「土俗村 参鶏湯」という店に連れて行ってくれた。あそこも良かった。
麻布十番は庶民的な店と、お洒落なレストランが混在している場所だが、「グレイス」は前者である。それだけに居心地が良い。三人のグループだったが、参鶏湯、チヂミ、サラダなど注文。韓国料理屋らしく、参鶏湯にはキムチ・カクテキ・ナムルが付いてくる。
ビールの後はマッコリ。壺から柄杓でお椀に注ぐ、ちょっと時代を遡った感じで ある。サラダ、チヂミが登場し、いよいよ参鶏湯登場。柔らかい鶏肉、お腹に染み入るスープ、寒暖の差が激しくなった今、これで体調を整えよう。
マッコリを終了した我々は、韓国焼酎に移行。大いに呑み、大いに談笑、ソウルではないけど、プチ“ソウル熱“を感じる。
参鶏湯を最近作らなくなった理由は、KALDIなどでレトルトが簡単に手に入るようになったこと。(「グレイス」も通販を行っている)味も悪くない。三人で参鶏湯一つはちょっと心残りなポーションだったので、近々、家で食べることにしよう