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立川小春志真打昇進披露興行(その1)〜立川志の輔を迎えて

立川こはる改め小春志。今年の春、立川談春の弟子で初めて真打に昇進した。と言うより、多くの弟子たちが辞めていき、残ったのは彼女だけだった。

協会に属していない立川流は、寄席の披露目はなく、自主興行を開催する。

立川小春志が選んだ会場は、朝日名人会など数々の落語会を開いてきた有楽町朝日ホール、キャパ800席弱のハコで10月28日〜11月1日の5日間しかも昼夜である。五月の談春の会の記事で、その内容を書いたが、大物ゲストが顔を揃えるとは言え、これを満員にする力は凄い。

もちろんゲスト目当てもあるだろうが、多くの観客は談春の独演会でこはるの落語を聴いている。そこで彼女の実力を知り、これは大した落語家になるという思いを抱いて客席に座っているはずだ。私はその一人である。

私が選んだのは、10月30日月曜日の昼、ゲストは立川志の輔。志の輔は、なぜ自分の出番がこの日になったかを語った。1年前にこはるから客演の依頼を受け、出番の日を選んで欲しいと言われた。自分はいつでも良いので、こはるの好きに選べと言った。そうしたところ、平日月曜日の昼になったと。

談春はこの選択に対し、「お前はよくわかってる。カードはそこで切らないといけない」とこはるに言った。志の輔が効いたのか、会場は満席である。

開口一番は師匠の談春、与太郎が登場し「かぼちゃ屋」を演じた。こうした軽い噺の談春も好きだ。弟子の披露目を明るく盛り上げてくれている。

続いて、立川志の輔。「小春志は古典を極めるという意欲だが、新作落語を作る楽しさも味わってほしい」と、自作「ハナコ」を演じた。サービスの勘所を外しまくる温泉旅館の話で、場内は笑いの連続で、大いに盛り上がった。

中入りを入れずに、御披露目として三人がひな壇に並ぶ。披露口上としては異例の、中央に座る本人、小春志が自身で司会する。談春が「こんなに胸襟を開いて話す志の輔兄さんを見られるのは貴重」とコメント。大師匠談志は、小春志が入門して1年位は女性と思っていなかったというエピソードから、志の輔が小春志に大師匠の思い出はあるかと尋ねた。

小春志は、「日暮里寄席に談志がフラッと尋ねてきた。開口一番で演じた『権助魚』を袖で聞いていてくれて、“坊や、調子は良い。そのままで“と声をかけて頂いた」と応えていた。

志の輔は締めの言葉として、「師匠・談春の落語だけではなく、書いた文章を学べ。『赤めだか』、最近文庫で出た談志の本の解説(おそらくこちら)、見事な文章だ」とアドバイスしていた。

大師匠、立川談志は膨大な数の本を残している。“書く“という行為は、談志にとって、落語を考え、極め、発展させていく作業の一つのプロセスだったのではないだろうか。

志の輔は、そのことを含め、小春志に助言したのだろう。それは、彼女が立川流を継承し発展させるための、一つの道筋かもしれない。

三本締め、中入りの後、立川小春志の高座。それは明日


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