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ICU②|1つ1つ着実に


(本当に凄いな…)

まだ生後3週間ながら、幾多の困難を乗り越えていく息子を見ていると、もはや親である私たちよりも “高次元な存在” にすら感じる。

「可愛い」や「愛おしい」という気持ち以上に、「神々しい」

私にはそう映っていた。


そんな中、面会時間も終わりに近づいていき、最後に外科医とも今後のことを話していく。


まずは、“明日をしっかり迎えられること”

いま私たちがいるこの瞬間も、容態がいつ急変してもおかしくはない状況であり、依然として予断は許さない。

自発的な生命活動でこのまま安定し、身体の機能も回復をしていくよう祈るしかなかった。


そして、今後の闘いは「感染症」

先述の通り、ECMOの長期装着によって、身体は相当蝕まれており、菌自体の排出をし、身体を正常な状態に戻さなければならない。

すでに感染症の水準としては危険な状態になってきており、そこが最大の懸念点であった。


「最大の山の『ECMO離脱』を乗り越えることが出来たのが、本当に良かったです…」
「まだまだ越えるべき山はいくつもありますが、 “1つ1つ着実に” クリアしていきましょう…」

憔悴しきった表情で、外科医は言う。
本当に神経をすり減らしながら、息子に向き合ってくれていたのがわかる。

私たちも、改めて医療チームにも頭を下げ、今後も “1つ1つ着実に” 親としてサポートすることを誓う。


そして、私たちが面会に行く午後までの間、万が一何かあった場合は、私の方に連絡を貰うことになり面会は終了。


「凰理、また明日ね」
「今日はゆっくり休んでね^^」

と息子に伝え、ICUを後にした。


ICUを出て、1Fで待つ家族と再び合流。
すでに時刻は20時近くなっていた。

夕方から病院に来ていたが、早朝から丸一日動いているような疲労感… “我が子の生死が決まる” というのは、異常なほどに精神が削られるものだと再認識する。

息子が生還したからこそ、ある意味 “心地よい疲労感” であるが、もしもこの日に「死の世界線」につながっていたとするならば、夫婦2人して気を失っていたかもしれない。


そんな中、この日は両家の家族で、食事を取ることになった。

夫婦とそれぞれの親での食事はあるが、弟妹たちが一緒の食事は初めてであり、これもまた息子が創り出した家族の時間と言える。

妻と結婚したことで生まれたご縁。
血縁があろうがなかろうが、ご縁があって出会った義母や義妹とも、時間を共有出来ることは本当に嬉しかった。

私はこういう時間が、“人生で一番楽しいこと” なのかもしれない。


闘いはまだ続く…

だが、ECMO離脱という最大の山を乗り越えた後のこのひとときは、私たちにとっても、心身共に回復する機会となった。


つづく
(下記に、この日の「成育日記」載せてます^^)


普段は看護師の方だけですが、この日は小児科の医師も息子の頑張りを称えてくれました^^
【上段:小児科医、下段:ICU看護師】


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