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ECMO③|意志宿りし寝姿


準備が整い、病院へ。

この日から面会は「ICU」。
これまでのNICUとは棟が異なる。

また、NICUでは面会時に冷凍母乳も預けることができたが、ICUではそれが出来ないため、先にNICUに寄って冷凍母乳を預けてから、ICUに向かうことにした。


そして、NICUの受付で冷凍母乳を預けたところ、信頼している看護師の1人がわざわざ出てきてくれた。
染色体異常の説明時に同席してくれた方)

息子がICUにいることは伝わっていたようだが、細かな現状までは共有されていなかった為、ECMOに乗っていることを改めて話す。

状況を理解し、親身になって聞いてくれる看護師。

中々、今の状況を家族以外で共有できる相手も少ないため、こういった形で「人に話す(吐き出す)」ということが、思いの外私たちの心を軽くさせた。

また、私たちが「ICU」面会が初めてということで、事前にICUの看護師に連携もしてくれた。


そして、最後に、

「凰理くんが元気になって戻ってくるのを、NICUで待ってますからね^ ^」

と、エールも送ってくれ、本当に心強い存在であった。


そして、ICUへ移動。
インターホンを押し、入口の椅子に座って待つが、5分経っても中々出てこない...

この入口は無機質で、正直あまり心地の良い場所ではなかった。

さらにここは、昨日 “息子の変わり果てた姿を見た場所” であり、待っているだけでも心が削られていく感覚があった。


段々と緊張感も増してきていたが、10分ほど経った頃、ようやく中から看護師が出てきた。

NICUからの連携があったおかげで、まずICUの面会についての説明からとなった。

面会時間は「13時〜17時」。
また「1日1回、15分間のみ」ということで、産婦人科やNICUの面会と少し異なる。

人数は最大2名で、両親でなくても血縁者であればOKだったが、いずれにしても私たちが毎日面会に行くので、それで上限にはなってしまうという感じであった。


説明が終わり、息子も今は処置中ではないということで、そのままICU内に入っていく...


人生で初めての「ICU」。

看護師や医師が一目で監視できるよう、開けている空間であるため、気の通りも悪くない感じがする。

しかし “生命の危機がある患者が入院する場” ということもあり、その空気の中に緊迫感も混ざっている感じがあった。


そして、奥の部屋へと通される。
入ってすぐのところのベッドで、息子は静かに眠っていた。

ECMOをはじめ、あらゆる機械で管理され、無数の管に繋がれている。

また、モニターに映る数値も、NICUの時より大幅に増えていた。


「凰理〜お父さんとお母さん来たよ〜」
「昨日はよく頑張ったね」

と、夫婦で声を掛ける。


顔色に関しては、手術直後と比べればいくばくか改善しているように感じる。

だが、横になっている時間が多くなっているせいか、昨日より浮腫んでるようだった。


その姿を見ても全くもって動じない...
と言えば嘘になる。

NICUで一緒に過ごした時とはまるで違う息子の姿。
(本当に元に戻るのか...)と思う瞬間もあった。


しかしながら、それはあくまで身体的、所謂 “見た目” の話。


私のこの日の印象としては、

「あぁ、大丈夫だ」

という感覚だった。


感覚的なことを言葉で表すのは難しい。
肉体の変化は激しく、確かに心配にはなる。

しかし、息子が「どっしり構えている」のか、その寝姿に、全くネガティブな印象は受けず、何かこう “息子の意志” のようなものを感じた。


そんな中、朝に電話で話した外科医が様子を見にきた。

そして、日中の様子や今後の流れを話し始めた...


つづく

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