ICU④|再起の歩
病院に到着し、いつものように冷凍母乳を預けにNICUへ。
(もう少しでNICUに戻れる...)
と、離脱ができたことで、「凰理くんおかえり~」とNICUの看護師たちに言われるイメージをしたりする。
息子がICUに入ってから1週間以上が経ったが、冷凍母乳は毎日NICUに届けていた。
“いつか息子が飲むその日のために…”
と、妻は心身ともに万全でない中、毎日欠かさずに搾乳をしていた。
“その頑張った毎日がもうじき報われる” … と思うと、ずっとそばで見ている夫としても非常に感慨深かった。
そして、ICUにいる息子の元へ。
「凰理~、お父さんととお母さん来たよ^^」
「ゆっくり休んで回復できたかな?」
といつものように頭を撫でながら声をかけ、全身にも触れていく。
懸念されていた問題も起こらず、今日という日を迎えることが出来たが、 依然として身体は浮腫み、足先は真っ黒。
ここから徐々に回復していく前提とはいえ、過酷な闘いはまだ続いているのだと痛感する。
しかしながら、もう今日から離脱をし回復に向けて「リハビリ」的なことも始めているとのこと。
点滴が外れたところの腕や脚は、看護師が “関節をゆっくり動かすストレッチ” などをしてくれているようだった。
内側からも、外側からも回復に向けて医療チームが最善を尽くしてくれている。
本当にありがたい。
そんな中、医療チームからも状況を説明される。
ということであった。
見た目に関しては昨夜とさほど変化はないものの、数値的にはちゃんと回復傾向にあるようで(実際にモニターの各数値も上がっていた)これには私たちもひと安心だった。
そして、改めて外科医とも話しをし、
「まだ、小さい山はありますが、『肺』に関しては、 “一番の山” を越えつつあると捉えて良いです」
と説明された。
「奇跡」と呼ぶにふさわしい、絶望の日々から、“一筋の光明が差し込んだ” 昨日。
そして、さらに夜を越えて、その光が手が届くところまで来たのだと実感する。
実際、外科医の表情も、ここ数日の神経をすり減らしている状況からの解放というか、最初に面談をした時の雰囲気に近かった。
(本当に危機的状況は脱したんだな…)
と私も妻も、凄く安堵した。
そして、
「ここからは『感染症』です」
と改めて外科医も言う。
身体そのものの回復、そして菌を出していくこと。
これを1歩1歩着実に進めていく。
感染症を乗り越え、閉胸、NICU帰還、GCU、そして退院。
まだまだ乗り越える山もあり、先は長い。
医療チームとしても、“家に無事に帰って初めて「手術成功」” だと言う。
改めて「3人で元気に家に帰る」ということに向けて、全員で最善を尽くしていくことを誓った日となった。