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誕生②|急転直下


急いでLINEを開き、本文を確認する。


「本日手術ほぼ確定です」


手術…それは 「帝王切開」を意味し、すなわち “今日生まれる” ということ。


時刻は9時45分。
帰宅してから僅か「15分後」の連絡だった。


「マジか」

と声に出したと同時に、同じ言葉をLINEで返信していた。


私が帰宅後、すぐに主治医が出勤し、再度診察をした上で、

・この時点で「警告出血」が依然として止まらず、母体の危険度が上昇
・それに伴い、胎児のリスクも上がる可能性がある
・医療チームの体制が万全なのが平日(この日は木曜で週末に差し掛かる)
・手術のための胎児体重の懸念もあったが、命が最優先
・新生児科を含む医療チームとも協議で決定

といった経緯で、本日に決まったとのことだった。
(先日、1ヶ月健診で主治医と話し、詳しく状況を振り返ってもらった)


ただ、手術開始は午後の予定で、焦らず午後から来てくれればいいとのことだったが…


「あ、ごめん。やっぱり今すぐ来て欲しいそうです!」


と妻とのやり取り中に情報が “更新” されることとなり、急遽、両家の親へ電話で連絡することに。

つい先ほど「緊急性はなく、今日から管理入院で予定日は変わらず」という趣旨のLINEを送ったばかりだったので、流石にみんな驚いていたが、それにも関わらず、みんな病院に向かおうとしてくれていた。

しかしながら、私からは元々の予定を優先してもらうようお願いした。

というのも、この大学病院は “夫であっても帝王切開での立ち会い不可” であり、加えて息子は「完全大血管転位症」のため、誕生後すぐに母に抱かれる間もなく「NICU」に移動しなければならない。

そのため、私も当日に息子に会えるか不透明だった。

そのような状況下で来ていただくのは、申し訳ないと思っていたが、私たち夫婦にとって第一子であると同時に、両家にとっても初孫。
それぞれに色んな “想い“ があるため、最終的には尊重することにした。


そして、回したばかりの洗濯物をあきらめ…(笑) 果物を頬張り、再び病院へと向かう。
(電動キックボードの「Luup」が大活躍だった)


病院に着いたのは10時30分。

妻の容態も落ち着いており、待合室と処置室でのLINEのやり取りが続く。

「俺たちで出産イベント完結させよう^^」

と、この状況も楽しみ、“3人で乗り越えること” を改めて誓った。


そして到着から30分後の11時。

看護師が待合室に来て、状況を説明してくれた。

・手術は確定で帝王切開の順番待ちの状況
・4番目に手術予定でこれから2番目の方が入る
・遅くても13時には開始できる

また、

「誕生後お父さんは『書類祭り』もあるので、お昼食べるなら今が良いです!」

ともアドバイスされた。(息子の「出産書類」に加え、「NICU入院」、状況によっては「手術の同意書」などを書かなければならなかった。)

ただでさえ早朝からから急展開で、ここからさらに長丁場になると、流石に果物1つでは体力が持たないと冷静に考えた。

そして、12時に戻ることを伝え、病院近くの「某回転寿司」に行った。

「この状況で『寿司』!?」
と、後々家族や友人に突っ込まれたが…

「呼ばれたときにすぐ動けるように」という ”条件” を考えると、回転寿司の「即会計できるシステム」は意外と最適だった。
(病院内では食事はとれず、コンビニのイートインもなかったので尚更)


そしてパパっと食べて、12時に待合室へ戻った。


少しして看護師が待合室へ。

「3番目の方が急遽やらなくなったので、もう次入ります!」

と、順番が繰り上げになったことを伝えに来たのだった。



つづく



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