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誕生まで⑥|ドラマチックボーイ


両家に報告。

少しばかり驚いてはいたものの、みんながポジティブに受け入れてくれた。


中でも、息子の “じいじ” である私の父から言われた、

「“ドラマチックボーイ” だね」

というのが凄く印象に残っている。


妊娠中から、私たち夫婦だけでなく、家族みんなに色々なことを教えてくれ、気づかせてくれ、考えさせてくれる。


心のどこかで

(健康な身体、遺伝子としてここに来させてあげられなかった)

という思いは、私も妻もあったのは確か。


しかし息子は、心疾患を抱えながらも私たち夫婦を選び、生まれてこようとしてくれている。


「子は親を選んで生まれてくる」

という考えを持つ私たちにとって、本当に愛おしかったし、息子を信じてあげたいと強く思った。


完全大血管転位症の手術自体、全国でも対応できるところが限られる。

しかしながら、今回受診したこの大学病院は、全前置胎盤も含め母子に対して完璧な医療体制が整っていることも分かった。
(これは後にわかることだが、小児循環器の医療チームは世界的に見てもトップであった)


ここ数週間、トントン拍子に事が進んできている経緯も考えると、
まるで「ここの大学病院に最初から来ることが決まってた」かのように感じた。

いや、もはや息子が 「この手術をここで出来るようにするため」に、全前置胎盤の状態を作り、この大学病院へ行く状況を作り出したとさえ思った。


ネガティブに捉えて、悲観的に不安な日々を過ごすという世界線もあったかもしれないし、そうなる可能性もあったと思う。


ただ、私たち夫婦には

「愛に包まれた幸せな家庭を築く」

という明確な意志があったし、何より家族もその愛で包み込むような優しさで、私たちをサポートしてくれていた。


この状況をポジティブに捉える。


先手を打ってくれたレディースクリニックの医師
即座に転院を勧めてくれた総合病院の医師
初診で疾患を発見してくれた大学病院の医師

本当に医療チームの皆さまに感謝。


この状況を作り出し、“ドラマティック”に演出してくれた息子に感謝。


そして、サポートしてくれる家族、心強い「パートナー」として支えあっていける妻に感謝。


「お腹の中で、この子が一生懸命頑張っている!」
「親である私たちが信じないで誰が信じるんだ!」

「俺たち(私たち)の子を信じよう!」
「最善を尽くそう!」

と切り替えて、親として覚悟を決めて、その日は眠りについた。


そして、翌週。
改めて詳しい診断を受けるべく、大学病院に向かった。


つづく

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