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誕生①|警告出血


一瞬にして目を覚ました私は、すぐに悟った。


(遂に「警告出血」が来たか…)


私は身体を起こし、ベッドに腰を掛け、妻の戻りを緊張しながら待つ。


「やっちまった…入院確定だ…」

と、項垂れながら妻が戻ってきた。


やはり「警告出血」のようだった。


即座に病院へ電話をかける。

今日は元々、10時30分から妊婦健診と自己貯血の日だったが、病院からも「即来るように!」と指示され、急いでタクシーを呼んだ。

「警告出血があった時点で、管理入院は確定」と言われていたため、入院バッグを持ち病院に向かう。


そして移動中に「警告出血があったこと」「おそらく管理入院になること」を、両家にLINEを入れた。

ただ意外と、夫婦ともに冷静で、幸い妻も移動中は腹痛などもなく、入院生活になった時の話をずっとしていた。


ただ、ここで1つ思い出したことがある。

それは「マタニティフォト」が明日「8月23日」だということ…


本来は「8月9日」に予定していたものの、先述の通り、“私が某ウイルスで隔離生活中” だったため、「8月23日」にリスケしていた。

マタニティフォトは、妻がずっと前からに楽しみにしていたため、本当に心の底から申し訳ない思いだった…


「まぁ起こったことはしょうがない!これはもうこの子が大きくなった時の話のネタしよう!(笑)」

と2人で開き直り、そうこうしているうちに病院に着いた。
(妻がポジティブで良かった)


受付を済ませ、車椅子に乗り処置室へ向かう。
(まだ時間外にも関わらず、きちんと連携がされており、相変わらず素晴らしい対応だった)


そして、妻は処置室に入り検査を開始。
時刻はまもなく、7時を回ろうとしていた。


私は待合室で家族と連絡を取り合う。

実はこの日の夕方、私の両親は父の実家のある “北海道” に向かうことになっていた。(私の祖母が、春に重篤な状態になり、奇跡的に回復したものの、引っ越しや手続きなど諸々行わなければならなく、それで私の両親が対応する予定だった)


この日は平日の木曜日。

家族もそれぞれ仕事があり、急に駆けつけることは難しい状況であったが、朝早くからみんな即返信をくれたり、予定変更できるように動くと言ってくれたり、心強かった。


そして、1時間ほどたった頃、最初の検査が終わり、処置室へ呼ばれた。

主治医はこの時間まだ出勤しておらず、別の産科の医師が診察及び処置をしてくれた。


結論から言うと、

「胎児に問題はなく、緊急性もないが、予定通り今日から管理入院」
「予定日まで経過を見ていくが、状況次第で前倒しで出産する可能性はあり」

とのことで、現時点では “今日どうこうするという可能性は低い”という見解だった。


管理入院になることは、もちろん嬉しいことではないが、ハイリスク妊婦である以上、母子ともに万全を期すためならやむを得ない。

主治医が出勤してから再度検査を行うとのことだったが、現時点では緊急性はないとのことで、私は一度帰宅することになった。


そして妻とも相談し、新たに入院で必要になったものも出てきたため、夕方頃にまた病院へ戻ってくることにし、併せて入院手続きも済ませ、家族にも状況を報告し、病院を後にした。


そして、9時30分頃に自宅に到着。

すぐに洗濯機を回し、再度荷造りを始める。


その間、マタニティフォトの運営会社へも連絡。

前日キャンセルにも関わらず、快く受け入れてくれて、出産へのエールも送ってくれた。

出産と手術を終え、息子が元気に退院したら、必ず行こうと妻にも伝えた。


そして準備を進めている中、妻からのLINEが鳴る…


「速報」


という文字が、目に飛び込んできた。



つづく


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