観世音菩薩普門品第二十五①～⑦まとめ【はじめての法華経】vol.15

【はじめての法華経】は、私が法華経ほけきょうを少しずつ読んでいく過程を報告するコーナーです。

前回までで、『妙法蓮華経みょうほうれんげきょう』「観世音菩薩かんぜおんぼさつ普門品ふもんぽん第二十五だいにじゅうご」の約４割を読み終わりました。

ちょうど、無尽意菩薩の１回目の質問とそれに対するお釈迦さまの返答が終わったので、このあたりで一度、これまで読んだ部分をまとめようと思います。

現代語訳は、私が自分で書いたものですので、拙いですが、あたたかい目で見ていただければ幸いです。

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妙法蓮華経みょうほうれんげきょう
観世音菩薩普門品第二十五かんぜおんぼさつふもんぽんだいにじゅうご

爾時無尽意菩薩にじむじんにぼさつ。即従座起そくじゅうざき。偏袒右肩へんだんうけん。合掌向仏がっしょうこうぶつ。而作是言にさぜごん。

爾その時ときに無尽意菩薩むじんにぼさつ、即すなわち座ざより起たって、偏ひとえに右みぎの肩かたを袒かたぬぎ、合掌がっしょうし仏ほとけに向むかいたてまつりて、是この言ことばを作なさく、

※偏袒右肩へんだんうけん・・・右の肩を覆っている袈裟を脱ぎ、あらわにすること。インドの礼儀作法で、尊い人にまみえるときは、右肩をあらわにする。

【現代語訳】
そのとき無尽意菩薩は、すぐさま立ち上がって、右の肩をあらわにして合掌し、お釈迦さまに対して次のような言葉を述べた。

世尊せそん。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。以何因縁いがいんねん。名観世音みょうかんぜおん。

「世尊せそん、観世音菩薩かんぜおんぼさつは何なんの因縁いんねんを以もってか観世音かんぜおんと名なづくる」と。

【現代語訳】
「お釈迦さま、観世音菩薩というお方は、どのような因縁があって、「観世音」と名づけられたのでしょうか」

仏告無尽意菩薩ぶつごむじんにぼさつ。

仏ほとけ、無尽意菩薩むじんにぼさつに告つげたまわく、

【現代語訳】
お釈迦さまは、無尽意菩薩に対して次のように告げられた。

善男子ぜんなんし。若有無量にゃくうむりょう。百千万億衆生ひゃくせんまんのくしゅじょう。受諸苦悩じゅしょくのう。聞是観世音菩薩もんぜかんぜおんぼさつ。一心称名いっしんしょうみょう。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。即時観其音声そくじかんごおんじょう。皆得解脱かいとくげだつ。

「善男子ぜんなんし、若もし無量百千万億むりょうひゃくせんまんのくの衆生しゅじょうあって諸もろもろの苦悩くのうを受うけんに、是この観世音菩薩かんぜおんぼさつを聞きいて一心いっしんに名なを称しょうせば、観世音菩薩かんぜおんぼさつ即時そくじに其その音声おんじょうを観かんじて、皆みな解脱げだつすることを得えせしめん。

※善男子・・・仏法に帰依する男性のこと。ここては、無尽意菩薩に対する呼びかけの言葉として使われている。

【現代語訳】
善男子よ、もし、さまざまな苦悩を受けている無量百千万億の衆生が、この観世音菩薩のことを聞いて一心にその名前を唱えたならば、観世音菩薩は即座にその声を感じ取り、それらの衆生は皆、観世音菩薩によって苦しみから救い出されるだろう。

若有持是にゃくうじぜ。観世音菩薩かんぜおんぼさつ名者みょうしゃ。設入大火せつにゅうだいか。火不能焼かふのうしょう。由是菩薩ゆぜぼさつ。威神力故いじんりきこ。

若もし是この観世音菩薩かんぜおんぼさつの名なを持たもつことあらん者ものは、設たとい大火だいかに入いるとも火ひも焼やくこと能あたわじ、是この菩薩ぼさつの威神力いじんりきに由よるが故ゆえに。

【現代語訳】
この観世音菩薩の名を心にたもつ人は、たとえ大きく燃えさかる炎のなかに入ろうとも、その身を焼かれることはない。観世音菩薩の威神力によって守られているからである。

若為大水所漂にゃくいだいすいしょひょう。称其名号しょうごみょうごう。即得浅処そくとくせんしょ。

若もし大水だいかに漂ただよはされんに、其その名号みょうごうを称しょうせば即すなわち浅あさき処ところを得えん。

【現代語訳】
また、もし大きな水の流れに飲み込まれてしまったとしても、観世音菩薩の名をとなえれば、たちまちのうちに、浅瀬にたどり着くことができるだろう。

若有百千万億衆生にゃくうひゃくせんまんのくしゅじょう。為求いぐ金銀こんごん瑠璃るり硨磲しゃこ碼碯めのう。珊瑚さんご琥珀こはく。真珠等宝しんじゅほうとう。入於大海にゅうおだいかい。

若もし百千万億ひゃくせんまんのくの衆生しゅじょうあって金きん・銀ぎん・瑠璃るり・硨磲しゃこ・碼碯めのう・珊瑚さんご・琥珀こはく・真珠しんじゅ等とうの宝たからを求もとむるを為もって大海だいかいに入いらんに、

【現代語訳】
もし、百千万億の衆生が、金きん・銀ぎん・瑠璃るり・硨磲しゃこ・碼碯めのう・珊瑚さんご・琥珀こはく・真珠しんじゅなどの宝物を求めて、船に乗って大海原に出掛けていったとしよう。

仮使黒風けしこくふう。吹其船舫すいごせんぽう。飄墮ひょうだ羅刹鬼国らせつきこく。

仮使たとい黒風こくふう其その船舫せんぽうを吹ふいて、羅刹鬼らせつきの国くにに飄墮ひょうだせん。

【現代語訳】
そして仮に、その船の上に暗雲が立ちこめ、大風が吹いて、恐ろしい悪鬼たちが住む島に漂着してしまったとしよう。

其中若有ごちゅうにゃくう。乃至一人ないしいちにん。称観世音菩薩名者しょうかんぜおんみょうしゃ。是諸人等ぜしょにんとう。皆得解脱かいとくげだつ。羅刹之難らせつのなん。

其その中なかに若もし乃至ないし一人いちにんあって観世音菩薩かんぜおんぼさつの名なを称しょうせば、是この諸人等しょにんとう皆みな羅刹らせつの難なんを解脱げだつすることを得えん。

【現代語訳】
その船の乗組員のなかに、もしひとりでも観世音菩薩の名をとなえる者がいたならば、その船に乗っていた人は皆、恐ろしい悪鬼たちから逃げのびることができるだろう。

以是因縁いぜいんねん。名観世音みょうかんぜおん。

是この因縁いんねんを以もって観世音かんぜおんと名なづく。

【現代語訳】
このような因縁によって、この菩薩は「観世音」と名づけられたのである。

若復有人にゃくぶうにん。臨当被害りんとうひがい。称観世音菩薩しょうかんぜおんぼさつ。名者みょうしゃ。

若もし復また人ひと有あって、当まさに害がいせらるべきに臨のぞんで、観世音菩薩かんぜおんぼさつの名なを称しょうせば、

【現代語訳】
また、いままさに危害を加えられようとしている人がいたとして、その人が観世音菩薩の名をとなえたとしよう。

彼所執刀杖ひしょしゅうとうじょう。尋段段壞じんだんだんね。而得解脱にとくげだつ。

彼かの執とれる所ところの刀杖とうじょう、尋ついで段々だんだんに壊おれて、解脱げだつすることを得えん。

【現代語訳】すると、危害を加えようとしている人が持っていた刀や杖が、バキバキッと折れて、観世音菩薩の名をとなえた人は逃げのびることができるだろう。

若三千大千国土にゃくさんぜんだいせんこくど。満中夜叉羅刹まんちゅうやしゃらせつ。欲来悩人よくらいのうにん。

若もし三千大千国土さんぜんだいせんこくどに、中なかに満みてる夜叉やしゃ・羅刹らせつ、来きたって人ひとを悩なやまさんと欲ほっせんに、

※三千大千国土・・・古代インドの世界観で、全宇宙のこと。

【現代語訳】
もし、全宇宙から夜叉や羅刹などの恐ろしい悪鬼たちが集まってきて、ある人を悩まそうとしたとしても、

聞其称観世音菩薩もんごしょうかんぜおんぼさつ。名者みょうしゃ。是諸悪鬼ぜしょあっき。尚不能以しょうふのうい。悪眼視之あくげんじし。況復加害きょうぶかがい。

其その観世音菩薩かんぜおんぼさつの名なを称しょうするを聞きかば、是この諸もろもろの悪鬼あっき、尚なお悪眼あくげんを以もって之これを観みること能あたわじ、況いわんや復また害がいを加くわえんや。

【現代語訳】
その人が観世音菩薩の名をとなえるのを聞いた悪鬼たちは、彼らの邪悪な目によってその人を見ることすらできないだろう。言うまでもなく、危害を加えることもできないだろう。

設復有人せつぶうにん。若有罪にゃくうざい。若無罪にゃくむざい。杻械枷鎖ちゅうかいかさ。検繋其身けんげいごしん。

設たとい復また人ひとあって若もしは罪つみあり、若もしは罪つみ無なきに、杻械ちゅうかい・枷鎖かさ、其その身みを検繋けんげいせん。

※杻械枷鎖・・・「杻械」は手かせと足かせ、「枷鎖」は手かせや足かせをつないでおくための鎖のこと。

【現代語訳】
またもし、罪のあるなしにかかわらず、手かせと足かせをはめられ、鎖につながれている人がいたとしよう。

称観世音菩薩名者しょうかんぜおんぼさつみょうしゃ。皆悉断壊かいしつだんね。即得解脱そくとくげだつ。

観世音菩薩かんぜおんぼさつの名なを称しょうせば、皆みな悉ことごとく断壊だんねして、即すなわち解脱げだつすることを得えん。

【現代語訳】
そのような場合でも、その人が観世音菩薩の名をとなえれば、手かせ足かせと鎖はみなことごとく壊れ、すぐに逃げ出すことができるだろう。

若三千大千国土にゃくさんぜんだいせんこくど。満中怨賊まんちゅうおんぞく。有一商主ういちしょうしゅ。将諸商人しょうしょしょうにん。齎持重宝さいじじゅうほう。経過険路きょうかけんろ。

若もし三千大千国土さんぜんだいせんこくどの中なかに満みてる怨賊おんぞくあらんに、一ひとりの商主しょうしゅあって諸もろもろの商人しょうにんを将ひきい、重宝じゅうほうを齎持さいじして険路けんろを経過きょうかせん。

【現代語訳】
もし、たくさんの財宝を運んでいる途中の商人たちの一団が、全宇宙を満たすほどのおびただしい数の盗賊がいるところを通過しなければならなかったとしよう。

其中一人ごちゅういちにん。作是唱言さぜしょうごん。

其その中なかに一人いちにん、是この唱言しょうごんを作なさん。

【現代語訳】
そして、その商人の一団のなかのひとりが、このように言ったとしよう。

諸善男子しょぜんなんし。勿得恐怖もっとくくふ。汝等応当にょとうおうとう。一心称観世音菩薩名号いっしんしょうかんぜおんぼさつ。

諸もろもろの善男子ぜんなんし、恐怖くふすることを得える勿なかれ。汝等なんだち応当まさに一心いっしんに観世音菩薩かんぜおんぼさつの名号みょうごうを称しょうすべし。

【現代語訳】
善男子たちよ、恐れることはない。あなたがたは、とにかく一心に観世音菩薩の名をとなえるべきだ。

是菩薩ぜぼさつ。能以無畏のういふい。施於衆生せおしゅじょう。汝等若称名者にょとうにゃくしょうみょうしゃ。於此怨賊おしおんぞく。当得解脱とうとくげだつ。

是この菩薩ぼさつは能よく無畏むいを以もって衆生しゅじょうに施ほどこしたもう。汝等なんだち若もし名なを称しょうせば、この怨賊おんぞくに於おいて当まさに解脱げだつすることを得うべし。

【現代語訳】
この観世音菩薩は衆生から畏おそれを取り除くという施しをしてくださるのである。あなたがたが観世音菩薩の名をとなえれば、この恐ろしい盗賊たちから必ずや逃げおおせることができるはずだ。

衆商人聞しゅしょうにんもん。倶発声言くほっしょうごん。南無観世音菩薩なむかんぜおんぼさつ。称其名故しょうごみょうこ。即得解脱とくとくげだつ。

衆もろもろの商人しょうにん、聞きいて俱ともに声こえを発はっして南無観世音菩薩なむかんぜおんぼさつと言いわん。其その名なを称しょうするが故ゆえに、即すなわち解脱げだつすることを得えん。

【現代語訳】
これを聞いた商人たちは、皆ともに声に出して「南無観世音菩薩」ととなえるだろう。そして、観世音菩薩の名をとなえたために、彼らは逃げのびることができるだろう。

無尽意むじんに。観世音菩薩摩訶薩かんぜおんぼさつまかさつ。威神之力いじんしりき。巍巍如是ぎぎにょぜ。

無尽意むじんに、観世音菩薩摩訶薩かんぜおんぼさつまかさつは威神いじんの力ちから巍々ぎぎたること是かくの如ごとし。

※巍々・・・山が高く大きいさまを表す言葉。

【現代語訳】
無尽意菩薩よ、観世音菩薩の威神力は、このように、巍々とした山のように高く大きいのである。

若有衆生にゃくうしゅじょう。多於婬欲たおいんよく。常念恭敬じょうねんくぎょう。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。便得離欲べんとくりよく。

若もし衆生しゅじょう有あて婬欲いんよく多おおからんに、常つねに念ねんじて観世音菩薩かんぜおんぼさつを恭敬くぎょうせば、便すなわち欲よくを離はなるることを得えん。

【現代語訳】
もし、婬欲（貪欲とんよく、むさぼり）が多いために苦しんでいる衆生がいたとして、その人が常に観世音菩薩のことを心に念じてつつしみ深く敬うならば、その人は「むさぼりの心」から離れることができるだろう。

若多瞋恚にゃくたしんに。常念恭敬じょうねんくぎょう。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。便得離瞋べんとくりしん。

若もし瞋恚しんに多おおからんに、常つねに念ねんじて観世音菩薩かんぜおんぼさつを恭敬くぎょうせば、便すなわち瞋恚しんにを離はなるることを得えん。

【現代語訳】
またもし、瞋恚（いかり）が強くて苦しんでいる人がいたとして、その人が常に観世音菩薩のことを心に念じてつつしみ深く敬うならば、その人は「いかり」から離れることができるだろう。

若多愚痴にゃくたぐち。常念恭敬じょうねんくぎょう。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。便得離痴べんとくりち。

若もし愚痴ぐち多おおからんに、常つねに念ねんじて観世音菩薩かんぜおんぼさつを恭敬くぎょうせば、便すなわち痴ちを離はなるることを得えん。

【現代語訳】
またもし、愚痴（おろかさ）によって苦しんでいる人がいたとして、その人が常に観世音菩薩のことを心に念じてつつしみ深く敬うならば、その人は「おろかさ」から離れることができるだろう。

無尽意むじんに。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。有如是等うにょぜとう。大威神力だいいじんりき。多所饒益たしょにょうやく。是故衆生ぜこしゅじょう。常応心念じょうおうしんねん。

無尽意むじんに、観世音菩薩かんぜおんぼさつは是かくの如ごとき等らの大威神力だいいじんりき有あって、饒益にょうやくする所ところ多おおし。是かくの故ゆえに衆生しゅじょう常つねに心こころに念ねんずべし。

※饒益・・・衆生に対してゆたかな利益を与えること。

【現代語訳】
無尽意菩薩よ、観世音菩薩はこのように大いなる威神力を持っており、衆生に対してゆたかな利益を与えるのである。このような理由によって、衆生は常に観世音菩薩を心に念じるべきなのである。

若有女人にゃくうにょにん。設欲求男せっちょくぐなん。礼拜供養らいはいくよう。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。便生福徳べんしょうふくとく。智慧之男ちえしなん。

若もし女人にょにん有あって設たとい男なんを求もとめんと欲ほっし、観世音菩薩かんぜおんぼさつを礼拝らいはいし供養くようせば、便すなわち福徳ふくとく・智慧ちえの男なんを生うまん。

【現代語訳】
もし女性がいて、男の子が欲しいと願い、観世音菩薩を礼拝し供養するならば、すぐに、人徳と智慧を兼ね備えた男子に恵まれるだろう。

設欲求女せっちょくぐにょ。便生端正べんしょうたんじょう。有相之女うそうしにょ。宿植徳本しゅくじきとくほん。衆人愛敬しゅにんあいきょう。

設たとい女にょを求もとめんと欲ほっせば、便すなわち端正有相たんじょううそうの女にょの宿むかし徳本とくほんを植うえて衆人しゅにんに愛敬あいきょうせらるるを生うまん。

※宿植徳本・・・過去世において善行を行い、徳を積んでいること。

【現代語訳】
また、もしその女性が女の子が欲しいと願って、観世音菩薩を礼拝し供養したならば、すぐに、端正なすがたをしていて、過去世でおこなった善行のおかげで人々に愛され大切にされる女の子に恵まれるだろう。

無尽意むじんに。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。有如是力うにょぜりき。

無尽意むじんに、観世音菩薩かんぜおんぼさつは是かくの如ごとき力ちから有あり。

【現代語訳】
無尽意菩薩よ、観世音菩薩にはこのような力があるのである。

若有衆生にゃくうしゅじょう。恭敬礼拜くぎょうらいはい。観世音菩薩かんぜおんぼさつ。福不唐捐ふくふとうえん。

若もし衆生しゅじょう有あって観世音菩薩かんぜおんぼさつを恭敬くぎょう礼拝らいはいせば、福ふく唐捐とうえんならじ。

【現代語訳】
もし、人が観世音菩薩をつつしみ深く敬い礼拝するならば、福はむなしく捨てられることなく、必ずその人にもたらされるだろう。

是故衆生ぜこしゅじょう。皆応受持かいおうじゅじ。観世音菩薩名号かんぜおんぼさつみょうごう。

是この故ゆえに衆生しゅじょう、皆みな応まさに観世音菩薩かんぜおんぼさつの名号みょうごうを受持じゅじすべし。

【現代語訳】
このような理由によって、衆生は皆、観世音菩薩を信じ、その名を心に保ち続けるべきなのである。

無尽意むじんに。若有人受持にゃくうにんじゅじ。六十二億恒河沙ろくじゅうにおくごうがしゃ菩薩ぼさつ名字みょうじ。復尽形供養ぶじんぎょうくよう。飲食衣服おんじきえぶく。臥具医薬がぐいやく。

無尽意むじんに、若もし人ひとあって六十二億恒河沙ろくじゅうにごうがしゃの菩薩ぼさつの名字みょうじを受持じゅじし、復また形かたちを尽つくすまで飲食おんじき・衣服えぶく・臥具がぐ・医薬いやくを供養くようせん。

※恒河沙・・・ガンジス川の砂の数。とてつもなく多いことを表す。

【現代語訳】
無尽意菩薩よ、もしある人が、六十二億恒河沙の菩薩の名前を心にたもち、その命が尽きるまで、それらの菩薩に食べ物や飲み物、衣服、身の回りのもの、薬などを供養し続けたとしよう。

於汝意云何おにょいうんが。是善男子ぜぜんなんし。善女人ぜんにょにん功徳多不くどくたふ。

汝なんじが意こころに於おて云何いかん、是この善男子ぜんなんし・善女人ぜんにょにんの功徳くどく多おおしや不いなや」と。

【現代語訳】
汝はどのように思うか。このような善男子、善女人が積む功徳は、多いだろうか、少ないだろうか」

無尽意言むじんにごん。甚多世尊じんたせそん。

無尽意むじんにの言もうさく、甚はなはだだ多おおし、世尊せそん。

【現代語訳】
無尽意菩薩は次のように言った。「（それらの人々が積む功徳は）甚だ多いと思います、お釈迦さま」

仏言若復有人ぶつごんにゃくぶうにん。受持じゅじ観世音菩薩かんぜおんぼさつ名号みょうごう。乃至一時ないしいちじ。礼拝供養らいはいくよう。

仏ほとけの言のたまわく、若もし復また人ひと有あって観世音菩薩かんぜおんぼさつの名号みょうごうを受持じゅじし、乃至ないし一時いちじも礼拝らいはいし供養くようせん。

【現代語訳】
お釈迦さまは次のように言われた。「もしまた、観世音菩薩の名前を心にたもち、あるいは一度でも観世音菩薩を礼拝し供養したことのある人がいたとしよう。

是二人福ぜににんぷく。正等無異しょうとうむい。於百千万億劫おひゃくせんまんのっこう。不可窮尽ふかぐうじん。

是この二人ににんの福ふく、正等しょうとうにして異ことなることなけん。百千万億劫ひゃくせんまんのっこうに於おいても窮きわめ尽つくすべからず。

【現代語訳】
この２種類の人（六十二億恒河沙の菩薩を命が尽きるまで供養した人と、一度でも観世音菩薩を供養した人）が受ける福は、正しく平等で異なることがない。そしてその福は、百千万億劫というとてつもなく長い時間をかけても、尽きることはないのである。

無尽意むじんに。受持じゅじ観世音菩薩かんぜおんぼさつ名号みょうごう。得如是とくにょぜ無量無辺むりょうむへん。福徳之利ふくとくしり。

無尽意むじんに、観世音菩薩かんぜおんぼさつの名号みょうごうを受持じゅじせば、是かくの如ごとき無量無辺むりょうむへんの福徳ふくとくの利りを得えん。　

【現代語訳】
無尽意よ、観世音菩薩の名を心にたもち続ければ、このように、はかり知れないほど大きく、どこまでも果てしないほどの福と功徳とがもたらされるのである」

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今回の記事は以上になります。次回から、また続きを少しずつ読んでいきますので、お付き合いいただければ嬉しいです。

それでは、また。