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おはようございます。大型案件をようやく納品してスッキリした翻訳ジャーニーこと五野上(ごのかみ)です。

さっそく本題です。翻訳者の皆さん、メールの返信をテンプレ化しましょう、自動化しましょう。今やりましょう、すぐやりましょう。ほれ、そこの人!い ま で す よー !
テンプレを作った方はツイッターなどで、えばってもいいです、1回だけ。

テンプレ化&自動化の方法あれこれ

メールのテンプレ化&自動化をするアプローチはいくつかあります。実際には複数のアプローチを組み合わせることになると思います。

  • クリップボード系のソフトを使う(AHK含む)

  • メールクライアントに標準で付属する機能を使う

  • 【上級】マクロ/プログラミング的な機能を自作する

上記のうち、マクロ/プログラミングについてはこの記事では扱いません。反響があれば書いてみます。ここではクリップボード系のソフトとメールソフトの機能について解説しましょう。

クリップボード系のソフトを使う

結構シンプルです。「クリップボード」というキーワードで検索すれば、無料で高機能なツールがわんさか出てきます。たとえば、このページでは無料のクリップボードソフトがリストアップされています。
※クリップボード系ソフトは文字通りクリップボード領域(コピペの時に使う一時的な領域)をいじります。クリップボードを扱うほかのツールと競合・干渉する場合もあります。

Clibor(クリボー)

ある翻訳セミナーに出たときに、主催者の方が寄付歓迎のソフト「Clibor」を紹介していました。数が多くて迷うという場合はまずはこれを入れておきましょう。

Charu3(ちゃある)

私が20年前から使い続けている(それが理由で乗り換えられない)クリップボードソフトがCharu3(ちゃあるスリー)です。マクロが作れたり高度な処理もできるので気に入っています。

基本的には、メールに書きたい文面をあらかじめ書いておくというシンプルなやり方です。純粋なクリップボードソフトではありませんが、AutoHotKeyというスーパーしゅごいツールがありますので、そちらもチェックしてください。Facebookの翻訳者の翻訳環境を改善することを考える=略して「ほんまかい」というグループのリンクも張っておきます。

実際の使い方

たとえば、次のように返信の定型文を作ります(画面はCharu3)。アイテムの名前は「打診:30分で返信」などとしておきます。新規案件の打診が来たときに、とりあえず先にこのメールを出しておくと、PMさんは安心します。この返信が一発でできれば楽ですよね。

Ccharu3の画面

基本的には事前に用意した定型文を返すだけですが、クリップボードの内容は選択範囲のデータを取得することもできます。以下の例では、クリップボードにあるデータに「様」を付けるよう改造しています。

マクロを使った例
コードはこちら
<charuMACRO>$CLIP</charuMACRO>様

たとえば、「田中」という文字列をコピーした状態で、上記のクリップボードを呼び出すと、下のように名前が入ります。

マクロの実行後

そのほか、複雑なコマンドを実行したり、辞書を使用したりなど、かなりのことができますので興味のある方は調べてみてください。

メールクライアントに付属の機能を使う

ここでは、Outlookを例に挙げますが、ほかのメールクライアントでも似たような機能があるはずです。

クイック操作

クイック操作のアイコン

クイック操作と書かれている文字の隣にある下向きの矢印をクリックして、新しいクイック操作をポイントします。

クイック操作のアイコン

一番下のユーザー設定をクリックします。

クイック操作のアイコン

まずはわかりやすい名前を付けます。

名前を付けます

次にアクションを選びます。「新規作成」や「全員に返信」などがよく使うアクションになると思います。

アクションを選択

オプションの表示をクリックします。

アクションのオプション

ここで、本文テキストを入力します。件名、フラグ、重要度、CC、BCCなども設定できますので必要な方は追加・編集してください。

オプションを開いたところ

重要!

1分間待機してから自動的に送信」というチェックボックスがありますが、よほどのことがなければここはオフにしましょう。自動化といっても、最終の目視確認は人間が行うべきです。特に冒頭の「様」の部分に名前が入っていなかったりするとプロフェッショナリズムが疑われる事態となります。30秒以上の時短ができたのですから、5秒の最終チェックだけは必ずやりましょう。

本文だけであれば、クリップボードソフトもシンプルなクイック操作も大差ありません。しかし、クイック操作では複数のアクションを組み合わせたり、ショートカットキーを設定できたり、メールクライアント自体の細かな操作が可能ですので、余裕のある方はいじってください。

たとえば、受注を確定する返信を出してすぐに、Outlookの予定を作成するといった動作が可能です。ただし、日時は手動で入れる必要があります。これを自動化するにはマクロの知識が必要になります。

複数のアクション

ごくごく簡単でしたが以上となります。

おわりに

色deチェックの作者である新田順也さんがよく言う「2秒×1000回=30分」というものがあります。たった2秒の作業でも1000回やれば30分ですよね。実際は2秒の作業ではなく、もっと長くかかっている作業から優先的に自動化していきます。「2秒の作業でさえも1000回で30分なら自動化すべし。いわんや30秒の作業をや」。この考え方自体は大昔からあるものですが、ここに「2秒」とか「1000回」という具体的な数字を入れ込んだところに新田さんの「伝える力」をひしひしと感じます。

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