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“chippy”ってどういう意味?ChatGPTを使って馴染みのない英単語の解像度を上げる練習
先日、知り合いのイギリス人Pと話していたときのこと。共通の知り合いであるJの話題になりました。
私がPに「Jってどんな人なの?」と聞くと
He is chippy.
という言葉が返ってきました。
まずは英英辞典で調べてみる
ん?chippy?チップ(chip)が形容詞化したものなのか?
知らない単語だったので、「chippyってどういう意味?」とPに聞き返してみたところ、うまく説明できないご様子。
なのでその場でCollinsの英英辞典で調べてみたところ、このような説明がありました。
resentful or oversensitive about being perceived as inferior
日本語に訳すと、
(自分が他者より)劣っていると思われることに対して憤慨したり、過敏になったりすること
みたいな意味になります。
ChatGPTに類語を聞いてみる
ふーん、なるほど、と思ったのですが、chippyという単語以外にもこういう意味を持つ類語があるのではないかと思い、後日ChatGPT 4oに聞いてみました。
私からの質問:人の性質をあらわす英単語に、chippyというのがあります。これに似た単語を5つ教えてください。
すると、このような回答が返ってきました。
「chippy」は、「怒りっぽい」「神経質」「ピリピリしている」といった意味を持つ単語ですね。似たような意味を持つ単語を5つ挙げると、以下のようになります:
1. Touchy - 神経質で怒りっぽい
2. Irritable - イライラしやすい、短気な
3. Defensive - すぐに自分を守ろうとする、攻撃的になりやすい
4. Grouchy - 不機嫌で怒りっぽい
5. Resentful - 恨みがましく、すぐに気分を害する
どれも、ちょっとしたことで機嫌を損ねたり、攻撃的になったりする性格を表す言葉です。
なるほど、なかなかネガティブな意味を持つ単語だということは分かりました。
類語とのニュアンスの違いを聞いてみる
これら5つの類語と、chippyとのニュアンスの違いをさらに明確にしたかったので、次はこんな質問を投げかけてみました。
私からの質問:では、これら5つの類語とchippyとのニュアンスの違いを教えてください。
すると、chippyのニュアンスについて説明してくれた後で、各類語についてchippyとのニュアンスの違いを簡潔にまとめてくれました。しかも(指示は出していないのに)例文つきで!
まずはchippyの説明から。
1. Chippy(攻撃的・ピリピリしている)
主な特徴: すぐに反応し、口論になりやすい。過去の経験(特に軽視されたり、侮辱されたりしたこと)に敏感で、防御的になりやすい。
例:
He got chippy when I questioned his decision.
(彼は私が決定について質問したらピリピリした。)
これだけでもだいぶchippyという単語についての理解度が上がった気がしますね。
で、以降はこんな感じで各類語の説明とchippyとのニュアンスの違いを説明してくれます。
2. Touchy(神経質で怒りっぽい)
主な特徴: ちょっとしたことで気を悪くする。特定の話題や状況に対して特に敏感。
違い: 「chippy」は攻撃的になりやすいのに対し、「touchy」はただ感情的になりやすいだけで、必ずしも反撃するわけではない。
例:
Don't mention his ex-girlfriend; he's really touchy about it.
(元カノのことは言わないほうがいいよ。彼、すごく気にしてるから。)
上記と同じフォーマットで、他4つの類語についても説明してくれました。(長くなってしまうので引用は割愛します。)
各類語の説明が終わると、最後に一覧表でまとめてくれるという親切さ。
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なんとなくchippyの意味が分かってきました。
実際の会話を想定した例文を作ってもらう
ここでさらに掘り下げて、実際の会話ではどのように使われるのか、例文を作ってもらいました。
私からの質問:では、chippyという単語を使って、職場での上司Aと部下Bの会話というシチュエーションで、例文を2つ挙げてください。
ChatGPTの回答:
例文 1: 業務の進め方についての会話
A(上司): B, I noticed that you didn't follow the standard reporting format in your latest update. Can you revise it?
(B、最新の報告書で標準のフォーマットに従っていなかったね。修正してくれる?)
B(部下): I did follow the format! Maybe you should check it again before pointing fingers. (in a chippy tone)
(ちゃんとフォーマットに従いましたよ!指摘する前にもう一回確認したらどうですか?)
A: There's no need to get chippy. I'm just asking for a revision.
(そんなにムキにならなくていいよ。ただ修正をお願いしてるだけだから。)
例文 2: プロジェクトの進捗についての会話
A(上司): B, can you give me an update on the client proposal?
(B、クライアント向けの提案書の進捗を教えてくれる?)
B(部下): I've already sent it to you yesterday. Do you even check your emails? (in a chippy tone)
(昨日もう送ってますよ。ちゃんとメール見てます?)
A: B, you’re sounding a bit chippy. I just wanted to confirm the status.
(B、その言い方はちょっとピリピリしてるよ。ただ状況を確認したかっただけなんだけど。)
このように、「chippy」は職場でのやりとりの中で、部下が防御的になったり、ちょっと攻撃的な態度を取る場面で使われます。
上司と部下の会話がこのような感じだったので、ついでに同僚との会話例も挙げてもらいました。
私からの質問:では、chippyという単語を使って、職場で同僚同士の会話というシチュエーションで、例文を2つ挙げてください。
ChatGPTの回答:
例文 1: 同僚がピリピリしているのを指摘する会話
A: Hey, what's up with Jake today? He snapped at me when I asked about the report.
(なあ、今日のジェイクどうしたんだ?レポートのこと聞いただけでキレられたよ。)
B: Yeah, I noticed that too. He’s been pretty chippy all morning. Maybe he’s stressed about the deadline.
(うん、私も気づいたよ。朝からずっとピリピリしてるね。締め切りでストレス溜まってるのかも。)
例文 2: 自分がピリピリしていたことを認める会話
A: Sorry if I came off a bit chippy earlier. I was just overwhelmed with all these last-minute requests.
(さっきちょっとピリピリしてたかも、ごめん。急なリクエストが多すぎて余裕なかったんだ。)
B: No worries, I get it. Let me know if you need a hand with anything.
(気にしないで、大丈夫だよ。何か手伝えることがあったら言ってね。)
どちらの会話も職場のシチュエーションで自然に使えます。「chippy」はカジュアルな表現なので、フォーマルな場面では使いにくいですが、同僚同士の会話では違和感なく使えますよ!
結果を踏まえ自分なりに解釈し、訳語を考えてみる
これらの結果を踏まえ、私はchippyを以下のように解釈しました。
少しでもネガティブな指摘を受けると、ムキになって反論する
自分に落ち度はなく、常に相手が悪いという前提で他者に接する
うんうん、確かに件のJ氏、ちょっとこういうところがある…。
ここから、chippyに近い日本語を考えてみたところ
虚勢を張る
オラつく
けんか腰
などが思いつきました。
なんかもっとドンピシャな日本語があるような気もするのですが、今日の時点では思いつきません。これらの日本語だと、chippyに含まれる「劣っていると思われたくない」のニュアンスがいまいち出ていないでしょうか。
というわけで今回は、私が新しい英単語に出くわしたときによくやっている調べ方についてお話ししました。
手順をまとめると
英英辞典で語釈を調べる
類語を調べる
類語とのニュアンスの違いを、ChatGPTに聞いてみる
その単語が実際に使われる場面を想定した会話例文をいくつか、ChatGPTに作ってもらう
手順4までで調べた結果をもとに、自分だったらどう日本語に訳すかを考えてみる
となります。ここまでやれば単語が頭に定着する確率はかなり上がります。
私はおそらく、chippyという単語を一生忘れないはず。
だだこれ、多少時間がかかるので、新しい単語に出くわすたびにやっているわけではないのですけれどね。