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ワクチン外交で世界の存在感高めるロシアと中国

この記事のポイント(約2分で読めます)
・先進途上国から発展途上国へのワクチンの供給が遅れている。
・そんな中、自国産のワクチンを輸出することで外交の影響力を高めるロシアと中国。
・両国のモチベーションは、忠実な友好国に対してアメを与え、特定の国からは別の見返りを得る為。
・一方で、両国の国内でのワクチン接種プログラムは順調でない。

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1. 遅れる発展途上国へのワクチン供給。そこに目を付けるロシアと中国

多くの先進国がワクチンプログラムを展開している一方で、発展途上国へのワクチンの供給は遅れをとっている。Agence France Presse (フランス通信社)が最近行った調査によると、世界中で10億回以上投与されたワクチンのうち、発展途上国の人々に供給されているのはわずか0.2%にしか至っていない。
そんな中、多くの国が中国やロシアに助けを求めるようになってきている。Economist Intelligent Unit (EIU) が4月28日に発表した調査報告書によると、中国とロシアは、発展途上国がワクチンを確保できるように支援することで、国際環境で影響力を強めようとしていると言う。両国は、何百万本ものワクチンを発展途上国へ輸出している。このようなワクチン外交は、両国の世界的地位の向上、2国間関係の改善、戦略的影響力の獲得を目的としている。EIUによると、ロシア政府は主にアジア、東ヨーロッパ、南米の約70カ国にワクチンを送る予定だという。中国は4月22日までに、約90カ国にワクチンを輸出する予定だ。一方、アメリカやEUをはじめとする先進国は現在はほとんど輸出出来ておらず、当初より発展途上国への支援として期待されていたCOVAX(国際的共同購入枠組み)は、インドが自国の第2波で混乱していることによりワクチンの輸出制限をしていることがネックとなっている。

2. ロシアと中国の思惑

中国とロシアは、欧米の影響力が低下している地域で両国の影響力を高めようと、海外にワクチン生産施設を設置し、現地の労働者を戦略的に育成している。両国はワクチンを利用して、長期的な外交戦略を実施しているのである。また、単に世界的に影響力を高めるだけでなく、忠実な友好国に対してはアメを与え、特定の国からは別の見返りを得るためにワクチンを利用している。EIUの報告書によると、ロシアが自国産のSputnik V ワクチンをボリビア政府へ提供したすぐ直後に、両国はレアアースを採掘する鉱山アクセスについてや、原子力事業について協議を始めたという。また、中国がカンボジアやラオスに寛大にワクチン輸出をしているのは、南シナ海での中国の立場を支持してくれたことへのお返しとも言えるだろう。

3. 上手くいかない国内でのワクチン接種キャンペーン

一方で、中国とロシアはワクチンに関しては外交的には成功しているものの、国内ではあまり上手くいっていないようだ。中国は膨大な人口を抱えているため、自国でのワクチン接種が進まない可能性が高い。また、ブラジルで行われた最近の第3段階の試験では、中国産ワクチン・Sinovacの有効率は50.7%にとどまり、世界保健機関(WHO)が定める基準値である50%をわずかに上回っただけであった。
ロシアでは、ワクチンを躊躇している国民が多いことや、国内での生産上の問題から、接種のスピードが停滞している。現在までのところ、両国ともに1日あたり1000人に2人のペースでしか接種できていない。これは、イギリスやフランスと比較すると約1/3、アメリカとは約1/5の水準である。EIUの調査によると、ロシアがワクチンの集団免疫を獲得するのは2022年半ば、中国は同年後半になると予測されている。

4. 引用文献

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