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『鳥の歌』 – 日めくり文庫本【12月】
【12月29日】
「冷戦が激しさを増し、核戦争の脅威が世界中に広がったとき、私は自分が自由に使えるただ一つの武器、私の音楽をひっさげて平和運動に乗り出した。『エル・ペッセブレ』(飼葉桶)という、キリスト降臨にもとづく自作のオラトリオをたずさえて、いろいろな国の首都を訪問することを始めた」
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「私はいつも本能的に暴力を憎んできた」
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「第一次世界大戦の残虐な年月に、初めてこの世界の悲惨さを目の当たりにしたとき、私はまだバルセロナにいて若かった。私は自問した、人間はこんなにもひどい苦しみを味わうために創られたのだろうか、と。この疑念に私は苦しんだ。私には、たった一人の子供の命のほうが音楽全部よりも価値があった。それでも、私が世界の狂気のただなかで精神の安定を保つことができたのは音楽のおかげだ。戦争中ずっと音楽は私に、人間はこんなにもおおくの罪を犯し、こんなにもおおくの苦しみを味わわせもするが、美を作ることもできるのだ、と確信させてくれた」
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「もしも世のすべての母親が息子に、『あなたは殺したり殺されたりするために生まれてきたんじゃないのよ。だから戦わないで』といいきかせれば、戦争は起こらないだろう」
「戦争と平和」より
——パブロ・カザルス『鳥の歌』(ちくま文庫,1996年)126 – 127ページ