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#41 NY在住イラストレーター・かけだあや「1%を探す旅」(2021.6.25&7.2)

前回のYoheyさんに続くNY在住イラストレーターシリーズ第2回は、かけだあやさん。NY在住21年目。ジョージア州とフロリダ州にいた時期を合わせると、すでに渡米して合計26年になります。

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あやさんの作品、めっちゃかわいいんですよね。ご本人もそのまんまのかわいい方。まずはこれまでの流れなど。

最初は16歳のとき、父の仕事の関係で1年だけアメリカに行くことになったんです。私、本当は行きたくなくて。おじいちゃんとおばあちゃんの家に残るから、お父さんとお母さんの2人で行ってきなよ、って言ったんです。でも結局一緒に行くことになって……そのときは英語がしゃべれるわけでもなく、人生で一番孤独な一年でしたね。優しい人が友達になってくれても会話ができないから親友にはなれないんです

そんなあやさんに転機が訪れます。アートが好きだったので高校生向け夏キャンプに参加。そのとき国籍は違えど絵でつながる感動を覚えます。ヨシ、この方向に行こう! それがジョージア州の美術大学でした。

私、性格的に楽しい方に流れちゃうんで(笑)。その大学が楽しかったので、このまま行っちゃおう、と。日本にはいつでも帰れるし、つらくなったら帰ればいいやと思ってたら今までずっといてしまったんです

そこからNYの大学院に進学。卒業後も日本に帰ることはなく、就職活動もしませんでした。

まわりも就職活動してる人はいなかったですね(笑)。アートの学校に行く子って、私も含めてちゃんとした企業で働くことはないだろうって気持ちがあって。特に4年生は「アートだけやっていられるのは今しかないかも」と思って、アートに励んでる人が多いんです。就職はデザイン会社とか出版社、映画会社、あとアニメーションスタジオとか。大学4年生になって探しはじめる人が多いです

卒業後はシルクスクリーンのスタジオ、ギャラリーのアシスタント、ケータリングカンパニー……などさまざまなアルバイトをしながら創作活動を続けます。最初は4人で共同生活。物価が高そうなNYで暮らすのは大変じゃないですか?

若くてお金がなくても、それなりにNYには住める感じですよ。卒業して5年目でフリーのイラスト仕事が増えましたね。4年前からは大学で教えたり、他にもいろいろバイトしたり。今でも「何で食べてるの?」って言われたら……いろんなことやって食べてる感じです(笑)

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それにしてもいつもニコニコして楽しそうなあやさん。前回のYoheyさんもそうですけど、どうしてそんなにハッピーなのでしょう?

理想としては……「アートができてればいいかな」くらいしかなくて(笑)。『NYタイムズ』の一面がやりたい!とか、そういう具体的なものはないんです

そのハッピーさは、NYという土地柄も関係ありそう。

NYって街のスピードは速いけど、地下鉄が20分待っても来なかったり、郵便物も届かなかったり、便利なところではないんです。そういうのにいちいちイラッ!としてると病気になるから、「電車来なくてもしょうがないよ~。本100ページ読めたからいいじゃん!」って思うようになりました
あとここでは友達が家族みたいになってて。本当の家族は日本にいるけど、NYの家族は友達だからお付き合いもいっぱいあって。「今日は誰々とゴハン」「今日は誰々とプロジェクト」とか。あとパーティも多いので毎日があっという間にすぎていくんです
NYはいろんな国から人が来てるのでいろんな国の友達ができて、彼らが自国に帰ったとき、その国の仕事を紹介してくれるんです。NYで知り合ったアーティストが「一緒に展示しない?」って声を掛けてくれてヨーロッパで展示したり。そういう意味でグローバルなところですよね

25年間のNYライフが今のあやさんを育んだのでしょう。そんなあやさんに大きな転機が!

この6月に日本に帰るんです! 今度はアジアでいろいろやりたいと思って。日本の仕事も来たらいいなぁ。NYを離れる寂しさは……あまりないかな?(笑) NYは好きな街だから年に1回は戻ってくると思いますから

ニコニコ、ふんわりと、あやさんならどんな国のどんな風にも乗っていけそうな柔らかさがあるんです。でも最後に聞いたメッセージは、心にズキューンと刺さりました。人生は「1%を探す旅」、ほんとそう!

私、20代の前半に日本の飲み屋で言われた言葉があるんです。20代ってモテたいのに、その人には「君は万人受けする顔じゃないね。でも100人に1人は熱狂的に好きになってくれるんじゃない?」って言われて。そのとき全世界のシングルの1%ってどれくらいいるんだろうって調べたら「めっちゃモテモテじゃん!」って思って(笑)。それってクリエイティブでも同じだと思うんです。私の絵はちょっと毒があるので万人受けはしないんですけど、1%くらいの人には活用性がある。だからその「1%を探す旅」というか。若いクリエイターさんの中には万人受けするものを描ける人もいるけど、それに当てはまらない人は「1%を探そう!」って気持ちで進んでいけばいいと思います

万人に好かれなくていい、自分を熱烈に必要としてくれる1%を探せばいい――柔らかなあやさんが最後に残したのは、実に鋭い名言でした。

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2021.6.8 on-line


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