#38 旅人・ランボルギーニ・タコラ「フィリピンDEEP案内」(2021.5.7&14)
今回の会議相手は何といえばいいんですかね、、、特殊系旅人? ポッドキャストの人気者? ランボルギーニ・タコラさんです!
もともと旅に特化したポッドキャストである「トリカゴ放送」に出演したら、話があまりに面白く独自の番組ができることに。それが人気を博しiTuneの総合2位まで躍進するも、内容がアダルトすぎて配信禁止に。なかなかのアンダーグラウンドキャリアです。だから顔出しNGです! サムネイル画像も怖いです! で、どんな人なのタコラさん?
生まれは日本ですけど、直後に香港に移り住んで、タイでも暮らしました。大学は日本で出て一度就職したんですけど、すぐに日本の企業に自分が合わないことに気付いて。辞めて第2の故郷・香港で起業したんです。それは日本の家電メーカーに中国の工場を紹介するコンサルタント業。最初の2年は成功しましたが、新規投資したら見事に失敗しまして、多額の借金を抱えることに。そのうち怖い人が来るようになって(笑)、一時バックパッカーに扮して海外を逃げ回ってたんです
のっけから怪しすぎるタコラさんのプロフィール。ということで今回は「一番警察権が及ばなくて、足が付かなそうなところ」ということでタコラさんがしばらく隠遁したフィリピンの様子をご紹介。
フィリピンは人口が2015年に1億人を超えた、世界で12番目くらいの国。マニラ首都圏の人口が1,200~1,300万人なので大都市ですよね。国民の80%がカソリックで、10%がカソリック以外のキリスト教徒、5%がイスラム教徒。7,000以上の島から構成されていて、エルニドとかボラカイとかリゾート地として有名なところも多いです。歴史的にはスペインに333年間植民地にされ、アメリカに48年、日本にも3年間統治されました
なるほど、まずは基礎知識から。
居心地はよかったです。常に虐げられてきた歴史があるからか国民が陽気で明るいんです。常に冗談を言って楽しいという人たちで、アジアのラテン系といった感じ。あと銃社会なので危険とは隣りあわせです。僕が乗ってた車に弾丸が貫通したこともありました(笑)
怖っ! そんなフィリピンのいいところは?
外国人にとっては物価が安いというメリットがまずあります。あとスペイン料理、フランス料理、日本料理など、フィリピンにとっての洋食がおいしいんです。フィリピン料理ってあまり日本にないですよね? 母国の料理があんまりなので、みんな稼げる他国の料理を勉強するんじゃないかと僕は思ってます。フィリピンの郷土料理は「シニガンスープ」っていうすっぱいスープとか、「シシブ」っていうそぼろみたいなものとか。フィリピン料理はレストランより家庭のものの方がおいしいと思います
フィリピンといえば、日本人も多いんじゃないですか?
2万~2万4千人の日本人がいます。1万2千人が名刺を持ってる方、残りの1万2千人が名刺を持ってない方と言われてます(笑)。リタイヤして移住される方も多いですけど、苦労されてますよ。お金の使い方が派手なんで目立つんです。かくいう私もフィリピンで日系の会社に転職したとき、多少実入りがよくなってフィリピンパブに行くようになったんです。日本ではフィリピンパブに行ったことなかったですけど、これが楽しくて!(笑) みんなかわいいし、スタイルもいいし。3ヶ月毎日通ってました
出た! タコラさんのDEEP話。フィリピンパブの魅力はどこに?
女の子たちがすごく素直なんです。裏表がないというか、泣きたいときに泣いて、笑いたいときに笑う。喜怒哀楽が激しい。ジェンダーに関しては「バクラ」という存在が市民権を得ていて、美容師や化粧品売り場で活躍してます。「好きこそものの上手なれ」じゃないですけど、商品の知識も詳しくて、細やかな接客ができて重宝されてますよ
バクラ=ニューハーフ。しかしタコラさん当初の想定より口調もおだやかでジェントルな雰囲気。ヤバい人じゃなくてよかった、、、
さて、そんなフィリピン、タコラさん的にオススメの場所は?
リゾート地ですけど、ボカライ島ですね。アクセスが悪くて国内線を乗り継いで行かないといけないんです。最後は小型のボートに乗って、降りるときは靴がバチャバチャ濡れるようなところを進んでいって。でもそこまでして行く価値はありますよ! ものすごくきれいです! ボラカイには安い宿から高い宿までいろいろありますけど、安い宿でも全然問題ありません。バンガロー一棟貸しで数千円とか、とても楽しいですよ
通がそこまで言うのなら行ってみたい! 他にタコラさん的オススメは?
僕は音楽が好きなんです。フィリピンでは今時では珍しく、バーに生バンドが付いてるところが結構あるんです。お客さんは演奏なんて聴いてなくて、ビリヤードやったりおしゃべりしたりしてて。それがアメリカの田舎町みたいで楽しいんです。フィリピンは1950年代、アメリカの保護貿易でサトウキビ栽培が盛んで、東南アジア一番の経済大国だったんです。マニラの目抜き通りはネオンがすごくて、ラスベガスみたいだったと言われています。アメリカのバンドやミュージシャンもよくマニラに来るんですけど、それが安いんです。日本だとチケット何万円もするじゃないですか? でもフィリピンだと1,000~2,000円で観れるんです
借金取りから逃げるために流れ着いたフィリピンでしたが、そこでいろいろ考えさせられたとタコラさんは言います。
フィリピンの方が人間的な生活をしてるんじゃないかと思う瞬間は何度もありましたね。日本では大人が泣いたりってあまりないけど、向こうではそれが普通で。たとえば友達が引っ越していくときとか、みんな抱き合ってワンワン泣くんです。それは素敵なことだなと思いますよ。僕がフィリピンを離れるとき、いい齢をしたオジサンが抱き付いてきたときは困惑しましたけど(笑)、でもありがたいなって思いましたね
エピソードのはしばしに現れるタコラさんのキャリアもDEEPなもの。隠遁中にフィリピンの日系企業で働いてたら本採用になり、正社員として日本に帰ってきたもののやっぱり日本の水は合わなくて、今度はインドネシアに6年間。今はまた日本に戻ってますけど、旅への欲求は止まらないみたいです。コロナよ、早く終わってくれ!と。
夢にまで出ますね(笑)。旅に行きたくてしょうがない。いま一番行きたいのは南米。僕、ブラジルの音楽が好きなんで住んでみたい気持ちが強いです。ただ『シティ・オブ・ゴッド』という映画を観てから怖くなって、なんとも言えない状態です
そんなクレイジー・トラベラー、タコラさんから見ると、日本ほど恵まれた国はないんだとか。
日本人に生まれたことは地球上では非常に幸運なことだと思うんです。なぜなら世界中に行けるパスポートを持ってるし、みんなに平等の教育の機会が与えられるから。自分の好きなことに思いきりチャレンジできるのは素晴らしいですよ。だからみなさん躊躇せず、自分のしたいことを今すぐやってほしいです
外から見ないとわからないことって、絶対ありますよね。最後にタコラさんからのメッセージを。
僕には座右の銘があって。フランクリン・ルーズベルトの奥さんでエレノア・ルーズベルトって方がいて、その人が「誰でも今この瞬間が若くて、誰でも今この瞬間が自分の人生で一番年を取っている。今しかできないことを今やりなさい」って言ったんです。僕はいつも「これだな」と思って、迷ったらとにかく動くようにしてます。道が2本あって、右か左かに行かなきゃいけないとしたら、どっちでもいいから「とりあえず右」って決めて行ってみる。その道が間違ってたら、どこかで「間違ってる」ってわかる瞬間が来る。そうしたら引き返して左に行けばいいだけなんです。右にも左にも踏み出さないでずーっと待ってたら、一生動けないかもしれないですよ
旅人の言葉はいつも旅立ちへの誘惑を運んできます。さあ、準備ができた人から、ボンボヤージュで!
2021.4.26 on-line