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1983 / バンクーバー・シアトル・トロント・モントリオール④

 トロントからモントリオールまでの夜行列車は、座席がゆったりしていて快適だった。隣りのシートには、黒人女性と4、5歳ぐらいの男の子が。そのお母さんが、編み物をしていた記憶がある。夜間でほとんど風景は見られなかったが、もしかしたら絶景を見損なったのかも。
 
 朝方、モントリオール到着。街は、バンクーバー、トロントとはうって変わって陰鬱な雰囲気だった。腹が減ったので、マクドナルドに入った。黒髪の若い女性店員が、フランス語で注文を尋ねてきて面食らった。まあ、意図は分かるので無事オーダー、朝食にありついた。
 
 モントリオールは、古めかしい建物と近代的ビルが共存する街だった。ノートルダム通りなど、一見してフランスの街を移植したものだと分かる。どんよりした天気のせいもあるが、ブラブラして感じたのは、寂しさばかり。ただ、小さく目立たない映画館が、ローリング・ストーンズの“Let’s Spend The Night Together” を上映していたのは嬉しかった。ハル・アシュビー監督のこのライブ映画は、その時まだ、日本では公開されていないものだった。時間が合わず、そのまま通り過ぎたのが、少し惜しかった。映画館の通りには、人通りがほとんどなかった。

 モントリオールでの宿泊先は、よく覚えていない。また、何を食べたのかも不鮮明。おそらく、ケンタッキー・フライド・チキンか何か。到着日の夜、またトロントに夜行で戻ったと思う。いずれにせよ、もう帰国モードだった。

 トロントからバンクーバーに再び戻ってからの行動の記憶もほとんどない。日本帰国の荷物整理を知人宅で行って、数日が過ぎたものと思う。

 今振り返ってみると、初の海外旅行はさほど冒険に満ちたものではなかった。学生時代に何度も訪れた北海道に比べて、こんなものかな、という感じだった。

 写真も、どこにやってしまったものか。また何か思い出したら、どこかに書きとめておこうと思う。これで、はるか昔の旅行記終了。