祈りながらの畑仕事
2014.05.24 NO.11農場通信
吹く風が丘をかけのぼり、肌をやさしく包んでくれます。そんな過ごしやすい5月かと思っていましたが、ここ2~3日は大変暑い日が続いています。
日々、朝夕の寒暖の差が激しいですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
レタス、サンチェなどの春野菜の出荷がピークを迎えていますが、この激しい暑さのため、葉先が縮れてしまい、日に日に冷や冷やしております。何とか6月中旬ごろまではこれらの春野菜が楽しめないかと考えています。
夏野菜も少しずつ大きくなってきました。春野菜と上手にバトンを交わせようと、毎日毎日眺めていますが、じっくりじっくり大きくなっています。胡瓜は私の小指ぐらいの大きさにまでなってきました。あと2週間もすれば暑さも増し、皆さんのもとに届けられるのではないかと考えています。
そういえば、前回の通信文では獣害について書かせていただいたように思います。
そんなある日、そろそろジャガイモの試し掘りでもしようかとジャガイモ畑にいくと、何か畑がぼこぼこになっていました。よくよく見るとジャガイモの茎の根本に大きな穴がどこにもあいているのです。はっとしました。
もしやと思い、芋を掘ってみると、芋ながない。あーーーー。畑すべて、綺麗にジャガイモがなくなっていました。あるのは、小指の先ほどの小さなジャガイモが1つ2つあるだけでした。
少しばかり、私の分を置いておいてくれやしなかったのかと、悲しさと怒りと情けさが私に降りかかってきました。莫大な予算と労力をつぎ込み、十二分に柵をめぐらし、もう獣害には合わないぞというような甘い気持ちがあったのではないかと思います。柵を点検してみると、一か所だけ鉄網をせずに網ネットだけの部分があり、どうもそこから入ってきたのではないかということがわかりました。
動物たちも出産の季節を経て、少しでも生きるために、必死に餌を探して、生きているのでしょう。私たち家族もこのままでは、子どもに食わすものがなくなってしまいます。その晩はトっ捕まえて食べてやるぞと思い、一晩中畑で待てども、現れずに朝がやってきました。野のものは利口なのでしょう。私の殺気を感じて近寄れなかったのでしょうか。どうか、ほかの作物たちが、無事に収穫まで漕ぎつけられるように、必死に祈りながらの作業です。
山口敦史
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