僕の心にある夢の倫敦
僕の心にある夢の倫敦
まだ本レコード映画の世界で
ここで死んだら地縛霊になるな
これはgo!go!vanillasの「オリエント」という曲の歌詞の一節だ。
誰しも一生に一度は行ってみたい場所があるだろう。
国内にしろ海外にしろ、憧れの場所というのはあると思う。
私の場合それはイギリス、ロンドンだ。
小学生の頃から私の憧れの場所で、死ぬまでに行かなければ絶対に後悔すると思っている。
きっかけは小学校4年生のときに出会ったハリー・ポッターの小説だ。
映画自体は幼稚園頃から見ていたし、小学校の図書室の右奥にレンガのような分厚い本がシリーズ全巻並べてあるのはずっと知っていたのだが、本好きな私といえど、それを手に取るまではなかなか時間がかかった。
それに図書室に置いてあったハリー・ポッターシリーズはとても古くて、背表紙は剥がれかけてボロボロだった。
何が話のきっかけだったか、クラスの男の子にその話をした。
すると彼は、家に全巻持っている、良かったら貸そうか?と言ってくれたのだ。
そして翌日、第一巻である「ハリー・ポッターと賢者の石」を持ってきてくれた。
私はあっという間にハリー・ポッターの世界にのめり込んだ。
少しの暇さえあれば本を開いた。
休み時間、給食の時間、下校時も二宮金次郎スタイル(危ないので真似しないでください笑)、夜も親にバレないように布団の中で小さなライトの明かりで読んだ。
敬遠していた図書室のボロボロのハリー・ポッターも何回も繰り返し読んだ。
年に2、3周は全巻通して読んだので、小学校の間だけでシリーズを少なくとも
6周はしたと思う。
もちろん映画も何回も見た。
そして魔法の世界に憧れた。11歳の夏休みには、きっと私にもふくろうが手紙を運んでくれるはずだ、と半ば本気で信じていた。
ロンドンに憧れを抱いたきっかけは映画雑誌か何かで組まれてたハリー・ポッター特集を読んだときだ。
実際の撮影地やセットのモデルになった場所、憧れの風景が本当に存在することを実感した。
いつか絶対にイギリスに、ロンドンに行くのだと心に決めた。
小学校高学年になり、ミステリーにはまってシャーロック・ホームズに出会い、
中学生になってThe BeatlesやOasisの音楽に出会い、
高校になって名探偵コナンに出会った(これは結局シャーロック・ホームズに戻るのだが…)。
憧れはより一層強くなった。こんなにイギリスに行く理由があるのは、むしろ運命だと思った。
冒頭の話に戻ろう。
この曲に出会って引用した歌詞を聞いたとき、自分のことを歌っているのかと思った。
いつか訪れたい夢の街。
でも私が知るロンドンはまだ映画や本や音楽の中の街で、実際にどんな場所なのか肌で感じられたことはもちろんない。
いつか感じたい、自分の五感で。それまでは死ねない。
このご時世、なかなか旅行に行けない、海外なんてもってのほか。
卒業旅行にロンドンへ、と考えていたけれどそれも叶わないかもしれない。
それでもいつかを想像して、私は今日も本や映画や音楽の中にロンドンを夢みるのだ。