見出し画像

山川出版社『詳説日本史探求』の考察⑫

山川出版社発行の『詳説日本史 日本史探求』について、従来の『詳説日本史』からどのような記述の変化があったかを、自らのメモも兼ねてこちらに記していきます。
今後の学習のヒントになりうる要素もあるかもしれませんので、ご自由に活用いただければと思います。

※比較に際して見落としなどが発生している場所もあるかもしれませんのでご了承ください。
※私が参照しているのは2018年発行の『詳説日本史』なので、以後の版で既に修正が加わっている内容もあるかもしれませんが、この点ついてもご了承ください。
※従来の山川出版社『新日本史B』などの記述が統合された箇所なども、変更点として列挙していきます。


《源平の合戦》

■ 源平の合戦
・「鹿ヶ谷の陰謀」をはじめとする平氏政権への不満蓄積の記述が「平氏政権」の章から移動。
・源義仲と後白河法皇の対立に関する記述が追加。

■ 鎌倉幕府
・源頼朝と義経の対立と、後白河法皇が義経に与えた頼朝追討令に関する記述が追加。
・守護,地頭が義経追討を名目に設置されたことが明記。
・頼朝が陸奥,出羽を支配下においたことが欄外から本文へ移動。
・守護が「軍事指揮官」であったという説明が追加。

■ 幕府と朝廷
・武士団が、開発領主として「下司などの荘官をつとめ」勢力を拡大してきたという記述に。
・西国御家人の欄外記述において「幕府の保護を受けた」という文言が削除。
・「公家」という語句の説明が欄外に追加。

《武士の社会》

■ 北条氏の台頭
・頼家,実朝が頼朝の子であったことが明記。

■ 承久の乱
・「西面の武士」が太字ゴチックに。
・幕府の意向により仲恭天皇が廃され後堀河天皇が即位したことが本文中に明記。
・六波羅探題が「京都守護にかわって置かれた」ことが明記。

■ 執権政治
・鎌倉幕府の機構に関する図が挿入。
・藤原頼経の京都送還の記述が追加。

■ 武士の生活
・下人が従者であることが明記。
・武士の道徳を示す言葉としての「武家のならい」「兵の道」が削除され「弓馬の道」のみに。

■ 武士の土地支配
・下地中分の説明が「現地を地頭と折半する」という記述に。従来は「地頭にわけ与え」となっていました。
・荘園領主と地頭間の土地紛争について、幕府が当事者間の解決を勧めていたという記述が削除。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集