山川出版社『詳説日本史探求』の考察⑨
山川出版社発行の『詳説日本史 日本史探求』について、従来の『詳説日本史』からどのような記述の変化があったかを、自らのメモも兼ねてこちらに記していきます。
今後の学習のヒントになりうる要素もあるかもしれませんので、ご自由に活用いただければと思います。
※比較に際して見落としなどが発生している場所もあるかもしれませんのでご了承ください。
※私が参照しているのは2018年発行の『詳説日本史』なので、以後の版で既に修正が加わっている内容もあるかもしれませんが、この点ついてもご了承ください。
※従来の山川出版社『新日本史B』などの記述が統合された箇所なども、変更点として列挙していきます。
《摂関政治》
■ 藤原氏北家の発展
(特に変更点なし)
■ 摂政・関白の始まり(新しい章名)
・清和天皇が藤原良房の外孫であったことが明記。
・良房が摂政となり「天皇の政務を代行した」ということまで記載。
・阿衡事件において「橘広相が処罰された」ことが追記。
・宇多天皇の事績として「蔵人所拡充」「滝口の武者設置」が記載。もともと滝口の武者は「地方の反乱と武士の成長」で登場していましたが、この時点で記載される方がスマートですね。
・菅原道真が「文人貴族」であったことが明記。
■ 延喜・天暦の治(新しい章名)
・藤原忠平が平将門の乱や藤原純友の乱などの処理に当たったことが追記。
・天皇が幼少の時には摂政が、成人後は関白がおかれる慣例がこの章で触れられることに。
■ 摂関政治
・当時の貴族社会における家族の在り方に関する説明が前半に来るなど、従来の記述順が大きく入れ替わり、わかりやすくなりました。
■ 国際関係の変化
・菅原道真による建議の結果、遣唐使が「派遣されないままとなった」という表現に。従来は「派遣されずに終わった」。
・硫黄が火薬の原料として宋で重視されていたことが欄外追記。
・刀伊の入寇に関する欄外記述が「地方の反乱と武士の成長」の章へと移動。