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失われた伝統色を取り戻した染織史家・吉岡幸雄の回顧展(細見美術館)

旬・美・遊」では旬のおでかけ情報をはじめ、気になる新刊や新商品、見逃せない展覧会や伝統的なお祭といったご当地の話題など、さまざまなトピックをお届けします。(ひととき2021年1月号より)

 京都の染色工房「染司(そめのつかさ)よしおか」の5代目として生まれた染織史家・吉岡幸雄(よしおかさちお・1946~2019年)は、自然の花や樹木から抽出された日本の伝統色に魅せられ、伝世の染織遺品や美術工芸の研究を通して、染料や素材、技術の保存と復興に努めた。

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源氏物語 澪標〈みおつくし〉。平安時代の古典文学の色の叙述から、往時の色を再現したもの

 長い歴史の過程で失われた色を、膨大な資料を手掛かりに再現させ、日本文化の継承に貢献したその業績は挙げればきりがないが、東大寺お水取り(修二会〈しゅにえ〉)で使う椿の造花の紅花染めをはじめ、法隆寺や春日大社など多くの社寺の行事に従事し、「源氏物語」に描かれた色や装束の再現・復元にも力を尽くした。また、美術図書出版社「紫紅社(しこうしゃ)」を興し、伝統色の美しさを後進に繋ぐ資料の編纂と発信を続けてきたことでも知られる。

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吉岡が生涯かけて蒐集した古裂〈こぎれ〉帖(野村コレクション)

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吉岡幸雄

 本展は、2019年秋に急逝した吉岡を追悼し、飽くなき探求を重ねた仕事の全貌を振り返る没後初の回顧展である。

特別展 日本の色―吉岡幸雄の仕事と蒐集(1/5~4/11)
京都市左京区・細見美術館(地下鉄東西線東山駅下車) 
☎075-752-5555 
https://www.emuseum.or.jp/index.html
*最新情報は公式サイトをご確認ください

出典:ひととき2021年1月号
※この記事の内容は雑誌発売時のもので、現在とは異なる場合があります。詳細はお出かけの際、現地にお確かめください。


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