【郭怡美書店】時代の最先端をいく台湾書店の旗手|『増補版 台北・歴史建築探訪』より(10)
かつての永楽町通り(現・迪化街)は大稲埕の繁栄を象徴する家並みとして知られていた。この辺りの家屋は「町屋」に似たスタイルで、正面が商店、奥まった場所に住居や倉庫を設けることが多かった。間には中庭が設けられ、作業場として使用された。この建物については、迪化街に面した正面部分が郭怡美書店、中庭を挟んで、奥が「AKA café」となっている。
永楽町通りに面した家屋は「郭怡美商行」だった。1896(明治29)年に創業し、食品の売買で財を成した。なお、永楽町通りは南側を南街、北側を北街、この辺りは中街と呼ばれていた。
2022年11月に書店として息を吹き返し、現在は大稲埕の文化を発信する空間として親しまれている。3階は台湾の伝統家屋をイメージしたインテリアとなっており、赤煉瓦や木目の色彩が落ち着きを演出している。なお、建物全体の照明は「瓦豆」の江佶洋氏が担当している。
また、店内にはカフェを設け、語らいの場として機能させるだけでなく、随所に椅子やソファーが置かれ、書に親しむことができる。また、企画展や新刊発表会といったイベントにも力を入れている。
文・写真=片倉佳史
──今回発刊された増補版では、コロナ禍でリノベーションしたレストランやカフェなど、実際に訪れたくなる約40件を新たに追加して計211件が掲載されています。美しい建築写真をご覧になり、日本人と台湾人がともに暮らした半世紀を振り返れば、きっとまた台湾を旅したくなるはずです。ぜひお楽しみください。
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