仏像のポーズって気になりませんか?|仏像のキホン講座#3
こんにちは、仏像イラストレーターの田中ひろみです。
この連載では、私の新刊『仏像イラストレーターがつくった 仏像ハンドブック』から、仏像鑑賞のツボを皆さんにお伝えしています。
第3回目は、仏像のポーズについてお話ししましょう。
仏像って、座っていたり立っていたり、その恰好はさまざま。まず大きくわけて3つのポーズに分かれます。
◉立つ・座る・臥す 3つのポーズ
立像:立っている仏像。片脚を高く上げている「丁字(ちょうじ)像」や静かにまっすぐ立っている「正立(しょうりつ)像」などがあります。下のイラストは丁字像の代表である蔵王権現。力強いですね。
座像:座っている仏像。鎌倉の大仏様を思い出してみてください。いわゆるあぐら座りの「半跏趺坐(はんかふざ)像」、両足を組む「結跏趺坐(けっかふざ)像」は、右足が上にくる「吉祥座」と左足が上にくる「降魔座」に分かれます。
そのほか、片膝を立てて座る「輪王座(りんのうざ)」などもあり、この座り方はなんと両足の裏同士をくっつけています。器用ですよね(笑)。如意輪観音などに見られます。椅子に座った姿にも名称があり、「倚坐(いざ)」といいます。
臥像(がぞう):時々、ごろんと横になっている仏像もありますね。これは「臥像(がぞう)」と言います。臥像の代表的なものは「涅槃(ねはん)像」と言って、お釈迦さまが亡くなったときの姿を示しているものが挙げられます。日本にはそれほど多くありませんが、タイや中国などのお寺に多くみられます。
このイラストを見てみてください。皆さんがよく知っている仏像のポーズもありませんか? それぞれ特徴がありますので、仏像を拝観する際の参考になさってください。
◉手の形にも意味がある
上述の通り、大まかには「立・座・臥」が基本形。でも、細部を見てみると、ポーズの種類はもっと細かく分かれます。
仏像の手を思い出してみてください。何かの形を作っていませんか? それは「印(いん)」と呼ばれるポーズです。
印の1つ1つに意味があり、印によってその仏像がどんな状態なのかを見て取ることもできます。
こうやってポーズの意味を知ると、その仏像がどんな存在(どんな状態)なのかが分かります。今度お寺に行ったら、その仏像のポーズをちょっと気にしてみてください。拝む気持ちにも変化が出てくると思います。
さて、これまで3回続けたお話はいかがでしたか? 仏像の魅力に気づくきっかけになればうれしいです。続きは私の著作『仏像イラストレーターがつくった 仏像ハンドブック』(ウェッジ刊)でどうぞ!
文=田中ひろみ
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