【井波彫刻】次世代の彫刻家、田中孝明さん「目の眩む明かりではなく、軒先に下がる灯を発信していきたい」
井波彫刻は欄間、というイメージを強く持っていればいるほど驚きが大きいのが、田中孝明さんの作品である。最初に目にしたのは、3体の女性像だった。細やかに匂い立つような小さな姿。それぞれ名がついていて、「たね」「みず」「ひかり」。田中さんは言う。
「観る方がその方なりの種子を見つけていただき、水を与え、光を浴びて芽を出していけるように、との願いです」
表面の滑らかさも鑿だけの技だ。サンドペーパーではどうしても質感が生まれない。糸のように細い刃で、囁くように削っていくのだろう