芽吹く大地に根を張って
私の住む雪国にも、ようやく春が来た。3月中旬まで一面に積もっていた根雪は、一気に上昇した気温で少しずつ解けていき、今は日陰にほんのちょっと残っているだけ。
暖冬の影響を受けて雪が少なかった近年に比べて、今シーズンは12月から幾度となく寒波が襲来し、「大体いつもこんなもん」な大雪に埋もれた。移住して3年目、空き家を改修して暮らし始めて初めての冬は、大変だったけれど案外普通にあっけなく終わってしまった。
雪がなくなり、地面の土が見えてくると、胸の奥から得も言われぬ高揚感が襲ってきた。約4ヶ月ぶりに見る地面。茶色がかった、けれど生きている雑草の緑。
ああ、これが雪国の待ち望んだ春か。そう思った時、以下の文章を思い出した。
会津の風土は、雪が創ったという。
1年の4分の1を、雪の中で過ごす。
毎日、絶え間なく降りそそぎ、積り続ける雪との厳しい戦い。
盆地がゆえに、春の訪れるまで、他の地域とは、交流できない。
隔絶された環境が、長い時間をかけ、会津の風土を育てた。
春の訪れは、いまの我々には想像も出来ない、喜びだった。
真っ白で、生きているものが見当たらない世界から、一転、野草が芽生える
枯れた姿の木々からは、芽吹きが始まる。
私の暮らすこの地は、春も夏も短い。今でこそ道路が整備されて行き来が容易になったけれど、昔は本当に一冬カンヅメ状態だったのだろう。雪の檻に囲われた人々が、道端に一輪の花を発見したときの喜びはいかほどのものだっただろう。
現代に生きる私でさえ、こんなにも胸が躍るのだ。お日様の光は本当に偉大で、寒さの中で縮こまった心と身体を緩ませ、開放してくれた。わけもなく外に飛び出していきたい衝動を何とか抑え、深呼吸。
こういうとき、人間も動物なんだなぁと思い知る。ここに来てよかった、と心の底から思う。
今日で3月も終わる。明日から新しい年度だ。ここは関東地方に比べて約1ヶ月、農作物の栽培スケジュールが遅れるので、4月末から本格的な農業シーズンがスタートすることになる。
私にとって3年目の農繁期が始まる。あっという間だった。詳細は別の記事で書くことにするが、3月中旬に中古の軽トラックを購入して、数日前に納車になった。そして、4月上旬には小型管理機が納品される予定だ。どんどん変化の風が吹くこの春は、今までとはちょっと違い、いろんな勇気が必要になる。
春の訪れに背中を押してもらって、私も自分を奮い立たせて頑張ろう。精一杯、この地に根を張って。
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