見出し画像

優しさの種を蒔く

今日の夕方、仕事で関わっているCさんから着信があった。普段ほとんど通話機能を使用していない自分のスマホの方に。

私は職場から仕事用のスマホを支給されているので、仕事関連の電話はほぼそちらにかかってくるのだが、Cさんには私個人のスマホの番号も教えていた。

Cさんは80歳近い男性だが、自宅でお店をやっており、店に立ちつつ畑仕事もこなす超人だ。いつも私から電話してアポを取り、週1回お店や畑を訪問してお手伝いしている。

きっと、通話履歴などを見てかけたのではなく、最初に渡した名刺を探して電話してくれたのだろうと思う。「こんにちは、Cです~」という聞き慣れた声を聞いた瞬間、その様が容易に想像できて、つい笑みがこぼれてしまった。

肝心の通話の内容はというと、私の知人がCさんのお店で買い物をしてくれたとのことで、端的に言えばお礼の電話だった。わざわざ「ありがとう」と言うためだけにかけてきてくれたのだ。

確かに私は知人に「いつも農作業でお世話になっているんだけど、お店をやってる方なんだ。町内でこれを売っているお店はここだけだから、今度行ってみてね」と紹介したことがある。

でも、それを聞いて素直に「○○さん(私)からここで売ってると聞いたので」とお店を訪問してくれた知人の行動力の方が遥かにすごいと思うし、私自身は何の役にも立てていない気がする。

Cさんに「また数日後に伺いますね」と伝えて通話を終えた後、なんだか胸が熱くなった。Cさんと関わり始めてからまだ3ヶ月前後しか経っていないのに、自分の半分ほどの年齢の私に電話してまで「ありがとう」と言ってくれるなんて。

私だったら同じことができるだろうか?と考えた。できないかもしれない、と即座に思った。Cさんは損得勘定で電話してきてくれたわけじゃなく、単純に「そう思ったから」電話してくれたのだ。

次に会った時にお礼を言えばいい。普通はそう考えるだろうが、Cさんの場合は「あなたのお友達、10分くらい前に帰ったよ」と電話口で言うくらいリアルタイムだったので、いい意味でのショックを受けた。

Cさんのお店では、地元の方がいつもお茶飲みをしている。町の人口が少ないので、多分売り上げは厳しいだろうと思う。でもCさんは何があってもいつも「アッハッハ」と快活に笑っていて、その明るくて穏やかな人柄故に周囲からすごく慕われている。

Cさんはきっと、普段から「優しさの種」を蒔いているのだ、と思う。

優しさの種はふとした瞬間に芽吹き、相手の心にも「優しさ」を芽生えさせる。だからCさんの周りは優しい空気で溢れている。

私もCさんみたいな人になりたいな。

そう思いつつ、その場ですぐ知人にお礼の電話をするのを忘れていた私は、まだまだCさんみたいになれそうもない。

サポートありがとうございますʕ•ᴥ•ʔいただいたお気持ちは、カードリーディングで循環させていただきます😊