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初ライブから一年

1年前の今日、2023年6月2日に、わたしは初めて夜の本気ダンスのライブを観た。場所は梅田クラブクアトロ。

5月頭くらいだったか、後輩に誘われ、軽音部で夜ダンのコピーをすることになった。曲は『WHERE?』と『Crazy Dancer』の定番2曲を知っているだけで他はなにも知らず、何故かボーカルがちょねさんと呼ばれていることは知っていた。セットリストを決めるために、わたしは隙あらばSpotifyで夜ダンを再生し、YouTubeで映像を見た。

その中で、2015年の梅田シャングリラでの『戦争』のライブ映像に出会う。

「なにこれめちゃくちゃ楽しそう!やりたい!ベースかっこよ!!!」

直ぐにグループLINEに候補曲として、ライブ映像のURLを添えて送った。ベースの目立ち方、かっこよさに釘付けになった。後にこの曲のイントロは、わたしの軽音部人生で最も目立つフレーズのひとつとなる。なにより、敬語で丁寧に煽る、誰も置いていくことのない空気を感じて、夜ダンのライブに興味を持った。他にも好きだなと思う曲がいくつもあった。

そこで、軽い気持ちでライブ情報を検索すると、何と梅田でワンマンがあるらしい。コピーもするし、なにか参考にできることがあるに違いない。そう思い、すぐにチケットを購入した。

好きだと思う曲はあるが曲と曲名が一致していない。メンバーのこともあまり知らない。フロアの雰囲気も客層も分からない。これは余談だが、以前軽音部のイベントに夜ダンのコピーバンドが出ていた時に、フロアで輪になってツーステを踏み、片手にはスミノフ、という大学生集団を見ていたので、もしそういうノリだったらどうしよう、と少し不安だった。

そんなこんなで当日を迎え、土砂降りの中ひとり梅田に向かう。本っ当に、めちゃくちゃ雨だった。

整番も後ろの方だし、初めてだし、ということでフロア2段目の下手側に陣取る。初めてのバンドはベーシスト側で、というマイルール。その後ギタリストに夢中になり、以後毎回上手で観ることになるとは、この時のわたしはまだ知らない。

ライブが始まって感動したのは、フロアの居心地の良さ。フロア2段目というのもあったのかもしれないが、ゆとりがあり自由に踊れる。密かに心配していた、輪になってツーステ、というような光景もなかった。フロア前方を見ても、各々が思い思いの踊り方で楽しんでいるようで、自分も存分に自由に楽しめた。

びっくりしたのは、音の大きさ。各パートの音が大きいのに、うるさくはない。そのバランスが最高だと思った。当初の感想メモを見返すと「音が大きくて愉快だった」と書いてある。いわゆる飛び道具的な、尖った音作りが多用されている訳ではないが、唯一無二のバランスで『夜ダンらしい』音を一発で理解させられた。

ライブと言えば、MCも重要な見どころのひとつ。MCで鈴鹿さんがめっちゃ喋る、という噂は本当だったんだ、と驚き、ちょねさんが「ほんまに」と関西弁を話すことにも驚いた。ニシカズさんの渋い話し方、マイケルさんのにこやかな雰囲気も一気に好きになった。

知らない曲も沢山あったし、メンバーのことも名前くらいしか知らなかったけれど、そんなことはどうでもよくなるくらい、楽しさでいっぱいになった。

「あ、これ、わたしこの人らのことめっちゃ好きになるわ」と、ライブが終わる頃には確信していた。

当時のわたしにとって、ライブ、特にワンマン、というのは、そのバンドのことを好きで、詳しくて、どの曲が来てもイントロドンくらいのスピードで反応できる、そういう状態になって初めて足を運ぶものだった。フェスならまだしも、ワンマンに、にわかの自分がいきなり飛び込むのはかなり勇気のいることだった。しかし、そんな思い込みは夜ダンのライブを観て吹き飛んだ。知らなくても楽しい、を初めて体感できたことが、素直に嬉しかった。セットリストも、MCの内容も、笑えるくらい覚えていなかったけど、代わりに楽しさだけで心がいっぱいだった。

それから1週間後には次のライブのチケットを申し込み、ラジダンを聴き、YouTubeを片っ端から見漁った。ラジダンこぼれ話が大好き。わたしがここまで急速にハマったのは、ラジダンポッドキャストとこぼれ話のせいおかげと言ってもいい。結局夜ダンのコピーバンドは3回、コピーした曲は14曲になった。

観てよし、聴いてよし、弾いてよし、踊ってよし。四拍子揃ったバンドを好きになって1年。しばらくはライブに行けないけれど、しっかり踊れる準備をして過ごそうと思う。

最後に、初めてならではの勘違い話を。この日のアンコールで誕生日プレゼントとして、マイケルさんからウイスキーを貰ったニシカズさん。せっかくだからとその場で豪快に開封し、一口くいっと飲む(ストレートだからか、ちょっと苦い顔をしていた)。その後に演奏された『戦争』で鈴鹿さんのスティックを手に取り、バイオリンの要領でギターを擦り、鳴らすのを見て「酔って気が狂ったのか??」とか思ってすみませんでした。いつもやってると知らなかったので。誕生日にウイスキー貰う人がそんなに下戸なわけない。

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