ファンベースの考え方③
TEN TO TEN 森田です。
本日は、以前記事にさせていただいた『ファンベースの考え方』の続編です。
前回版をまだ見られていない方は、よろしければ先に呼んでいただくと、話が分かりやすいかと思います。
本日はコアファンの話や、ファンベースのまとめを行っていきます。
コアファンをつくるには?
一般的にファンとは全体の20%程度であり、コアファンはさらにその中の20%、つまり全体の4%程度にあたると言われています。
ファンの支持を強くする3箇条
・その価値自体をアップさせること→共感を強くする
・その価値を他に代えがたいものにすること→愛着を強くする
・その価値の提供元の評価・評判をアップさせること→信頼を強くする
ファンの支持を強くするには上記の3箇条があるわけですが、コアファンをつくっていくには、この要素のアップグレードが必要になってくるということです。
『共感→熱狂』・『愛着→無二』・『信頼→応援』
熱狂させ、(唯一)無二となり、応援してもらえる存在にまでなれると、その顧客はコアファンとなり、同心円状にプラスの影響を波及してくれる存在になるということです。
コアファンは身内である
20%のファンの中のさらに20%、つまりは全体の4%程度のコアファンはどんな人たちなのか?
※カゴメだと2.5%程度
コアファン≠自己中心的な偏愛の人
コアファン=企業の事情や方向性を理解したうえでの偏愛な人
お客様というより、大切にする価値を共有し合う仲間であり、もっと言えば身内ともいえる人=対等な関係性ということです。コアファンは広めるだけではなく、積極的かつおせっかいに人々を口説いてくれる存在になるはずです。
コアファンを増やすためには?
改めてですが、コアファンを増やすには共感・愛着・信頼のアップグレードが必要になってきます。
『共感→熱狂』・『愛着→無二』・『信頼→応援』
アップグレードとは。
共感→(価値自体をもっとアップさせる)→熱狂
愛着→(もっと他に代えがたいものにする)→無二
信頼→(提供元の評価・評判をもっとアップさせる)→応援
コアファンを増やすには「輪の中に加わりたくなる。その仲間に入りたくなる。」そんな身内感を醸成していく必要があります。
そのためには、
大切にしている価値をより前面に出す
顧客に何を知ってほしいのか、本当に明確にする必要がある
自分自身、自分の価値や価値観をどうやって前面に押し出し相手にわかってもらうかを考える(どうやってアピールするか?)
SNSでも一方的なお知らせに終始するのではなく、根本的な考え方や創業者の志、今までの努力や失敗を投稿する(企業が何を考え、何を目指しているのかが生活者に伝える)
といった意識が重要になります。
海外企業の事例ですが、社員食堂での様子や社員の出勤風景、社員のお宅訪問などインスタライブを活用し動画配信するなど、まさに身内感を感じてもらう取組みがあります。
熱狂とは近い存在に感じてこそ生まれるもの
ファンを身内として扱い、ともに価値をあげていくこと。
そうすると、「身内として何か役に立ちたい」「仲間として一緒に何かしたい」と感じていただけて、大変な時に店舗運営を手伝ってくれる関係性になったりします。つまりは、身内的喜びを提供しきれているかがポイントになる訳ですね。
AKB48は、コアファンたちが推しメンを身内的存在として捉えているため、あれだけのムーブメントが生まれたのです。まさに『熱狂』がつくり出された証拠ですね。
自分の人生になくてはならないもの
それこそが(唯一)無二な存在ということですよね。
そのためには、忘れられない体験や感動を演出する必要があります。
ファンイベントを忘れられない体験にした事例をいくつか紹介します。
▼広島カープ
広島で野球を見てほしい(チケットは普通に購入)
東京∼広島間の往復チケット
新幹線内で赤を基本とした特性弁当
乗車券拝見に高橋健元選手登場
球団キャラのスライリーが登場
球場でも食事など様々なもてなし(資生堂とコラボしたメーキャップ講座)
試合前に前田智徳元選手が登場、見どころ紹介や記念撮影
最後は大入り袋が配られてのお見送り
打算的な喜びの企画ではなく、友人であるファンと一緒に楽しむという、要するにファンとともにチームビルディングを初期状態からやっていくイメージの企画になります。
まずはスタッフが楽しんで、それをお客さんに「一緒に楽しみましょう」と分かち合うスタイルですね。そして、お客さんが喜んでくれさえすれば、後からしっかり売上がついてきて、経営が成り立つという考え方です。
▼マツダ
アテンザは世界から熱狂的な5人のファンを選んで、彼らの意見を聞きながら開発した
マツダはファンの思いをきちんと反映して車を作ってくれる、ファンの気持ちを分かってくれるという愛着や信頼をファンの間に広げ、自然とコアファンが育っていく
そのうえで「開発ストーリー」はアテンザの背景にドラマを纏わせて愛着を強めるし、ファンに何も隠すことなく本業のど真ん中に入ってもらうことは信頼を強くすることにもつながる
スノーピークもまた、「BtoCではなくBwithCの企業である」と言っています。つまりは、ファンにとって物質的価値よりも精神的価値の方が重要になってきているということです。
改めてですが、コアファンは企業と共創するという「関わり」を求めています。
関わることへの喜びがオーガニックリーチやSNSシェアにつながります。
ただしこの関りは、参加者をコアファンに絞らなければ意味がありません。何となく層といろいろ検討しても意味がないということです。
コアファンは企業が大切にしている価値をよく理解してくれているので、それに沿って身内として真摯に協力してくれるのです。
購入とは応援そのものである
応援される存在になると自ずと購入につながります。つまりは、購入とは応援そのものな訳です。
では、応援したくなる企業、応援しやすい企業ってどんな企業なのでしょうか?そうなるにはどうしたらいいのでしょう。
コアファンが「応援できる要素」をひも解いていき、少しずつ増やしていく施策を検討していかなければいけません。
応援につながる一つの要素として、『人間をもっと見せる。等身大の発信を増やす。』ということがあります。
人が応援するのはモノでもコトでもなくヒトであるということです。
こういう人が働いているというようなことを、ちゃんと見せていくことが応援する気持ちを強めるということです。(有名社員をつくることも大事)
マイクロソフトの事例ですが「社員がビデオ片手に社内を歩き回り、社員たちを赤裸々に見せていくビデオ・ブログを公式サイトにアップ」を行ったことがあります。人を感じられる取組みは、見ている人に暖かみを感じさせ、「この人たちのつくっているものなら買ってみようかな(応援してみようかな)」という思考につながる人も出てきます。
その他にもこんな企業もあります。
熊本県の鶴屋百貨店(地域密着型百貨店)
従業員が選んだ思い出の商品とそれにまつわる「ものがたり」の発信が特徴
顔の見えない従業員が想いのあるひとりの人間に変わる
従業員こそ商品であり品質であり、愛着につながる
人間を感じられる空間や店舗、仕掛けが大切であるということ
東京都町田市のでんかのヤマグチ
遠くの親戚より近くのヤマグチ
徹底的に役に立とうとするスタンス(雑用もなんでもかって出る)
購入者:どうせならヤマグチで買おうとなる
企業:100人のお客より1人の熱烈なファンを求める
応援してもらうために、企業は試行錯誤しながら、価値を提供しているわけです。
アイドルの条件とは?
話が少し変わりますが、アイドルの条件とは何でしょうか?
それは、美人であることではなく、応援したくなるかどうかということです。
テーマは少し異なりますが、キングコングの西野さんもアイドルについて下記のように話をされていました。
古くは初期のモーニング娘(@ASYAN)、最近だと「地下アイドル」なんかがそれにあたると思うのですが、彼女達は「成長」が商品になっています。
「歌が上手くなった」「踊れるようになった」あるいは、「あか抜けた」なんかも。
歌舞伎で言えば、「あの小さかった勸玄君が、立派に台詞を言っている」で涙するお客さんもいらっしゃいます。
ここでいう「成長」といえのは、明らかに「ステージパフォーマンスのレベルアップ」を指していて、ここの伸びシロがあればあるほど「ストーリー」が生まれるわけですから、「素人だけでアイドルグループを組む」というのは、実に理にかなった戦略です。
改めてですが、ファンは物質的価値ではなく精神的価値に重きを置いているということです。そしてそれは、間違いなくモノやコトではなく、そこに存在するヒトへの価値な訳です。
ファンはソーシャルグッドな取組みや行動を求めている部分があるということです。世の中のためになる活動を考える、ファンの役に立つことを現場で地道にやることが応援につながるのだと思います。
効果的な取組みとは?
改めて、伝わりにくい時代であることを強く認識する必要があります。なので、短期・単発施策は効果が薄くなっているのです。
ただし、ファンは違います。ファンは伝わりやすい存在なんです。
なので、短期施策を実施するうえでも、効果が高まるのでファンベースは重要です。
中長期ファンベースは、価値を広げてくれる支持母体を作ることができますし、そのうえで、短期・単発施策は、ブランドや商品のファンを喜ばせ、オーガニックなオススメをするきっかけをつくれます。
中長期ファンベース施策が機能すると、短期キャンペーン施策や単発施策がより効きやすくなるということです。
話題になったコンセプトを元にファンベース施策をするのもいいとのことです。「お母さん大好き!」というコンセプトのキャンペーンを実施し話題になった場合、ファンベース施策もこのコンセプトで取組みを検討するといった流れですね。軸により共感が広がる施策を検討するべきということです。
その他、CMを実施するのであればタレント力やその他話題性などで売れている間にファンベース施策で商品/ブランドファンにしておく必要があります。
改めて、ファンベースとは?
最初に、広告や宣伝は妨害型と言われます。
一方で、企業・ブランド・商品のファンはその情報を「望んでいる」ため、この層への情報発信は妨害型ではなく提供型なので笑顔をもって迎えられるわけです。
ファンベースは時間がかかり、手間がかかり、手離れが悪く、効率が悪いと言われがちです。(意味ないよねとまでも)
ですが、妨害型のマスメディア発信を基準に拡散の効率などで考えるからです。ファンベースはじっくりと時間をかけて、真摯丁寧に手間をかけて、楽しい方手を離したくなくなり、できるだけ長く労力をかけて付き合いたいものなんです。
ファンベースの取組みは、ゆっくりとですが確実に同心円状の広がります。
円の中心にいる人物たちが楽しめているかどうかがポイントになります。
円の中心から整理してみると・・・『運営メンバー→社内社員→社外コアファン→社外ファン→購入者→購入者以外』といったフローが形成されます。
だからこそ、まずは社内のファンをしっかりつくっていくことが大切になる訳です。(なぜかって、円の中心に近い場所にいるわけですから)
スターバックスは、一度に一人の顧客、一度に一軒の店舗、一度に一つの市場と向き合っていれば必ず成功すると言います。
常連さんから支持される価値を確認し、内装や居心地やメニューをちゃんとその方向で整えて、常連さんを温かくお迎えするという事前の準備が重要ですね。
最後になりますが、まずは「傾聴」すること。そのうえで価値を提供していくということ。
活性化がうまくいくのは、会社や商品に夢中になっているか夢中になる可能性があるときだけです。
夢中になってもらえるような取組みをしっかり考えていく必要はあります。
▼参考
今回の学びは『ファンベース』という本からのものです。
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