357 詩 初めてが最後
初めてが最後
摂氏三十五度の大気を吸って
線状降水帯の中でもがきながら
百年に一度と言われたところで
なにができよう地球の上で
火星に移住する気があるなら
大富豪のしもべとなってでも
ロケットに乗り込んじゃえば
地球のことは気にしないのか
生きとし生けるものたちは
責任という名の無責任のもとに
精一杯、今日も明日も明後日も
地べたに這いつくばって生きるしかない
完全無欠なものはこの世になく
一番欲しいものもこの世にはないけれど
もし自分たちで創り出せるのなら
最後まで食らいついてもいいかもね
目の前にある初めてで最後の景色を
誰と一緒に眺めるの
そのとき、泣いているのか微笑むのか
きっと夢でも見ているのだろう