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52 犬と暮らして夢を見る
夢を見るにはまず眠ること
夢を見るには眠ることだ。眠れる人は夢を見る。
そもそも、私は朝型だ。気づいたのは出版関係の仕事をするようになってからのことで、自分にとってもっとも効率のいい時間帯は、午前中。あとは夕方の4時から6時。ほかは、まったく役に立たない。
大事なことは、この時間帯にやるように意識するようになった。
だから徹夜はしたことがない。というか、できない。もしムリにやれば翌日はまったく使い物にならず、翌々日もいまいちになる。
どうしても夜までかかって出来ないときは、翌朝に早起きしてやる。
かつて横浜から東京へ通勤していたとき、朝の通勤時間は読書に最適だった。あの頃はよく本を読んだ。もし、あの時代に電子書籍があれば、もっと読んだだろう。本や資料を持ち運ぶのはなかなか大変だった。混雑した電車の中では開ける書物の大きさに限界がある。
そんなこんなで、夜は早い。
いまは、夜の10時までに寝ることがベストタイミング。あまりにも疲れていると9時台に布団に入る。
寝付きはとてもいい。10分以内に眠りについている。
睡眠に関する取材は、ある時期、年に1回ぐらいの割合でやっていた。さまざまな医師に話を聞いた。結果、「何時間眠ればいいのか?」は個人差があり、自分で判断すること。できるだけ、同じタイミングで眠ること。眠る30分前にはスマホをシャットアウトすること。寝酒はしないこと。飲食は眠る2時間以上前に終わっているのが理想。風呂も1時間前には終わっていたほうがいい……。
さまざまなことを聞かされて、それが医師によって、また研究の進化によってちょっとずつ変わっていった。
要するに眠れることが大事。一時期は、ストレスが多くて眠れず、自立訓練法をルーティンにしていたこともあった。自分に自分で催眠術にかけるようなものだ。
こうして、自分の睡眠時間は6時間のときと7時間のときがあることを自覚した。若い頃は8時間眠らないとダメだったのだが、いつしか6時間でもよくなった。加齢である。
ただ6時間が続くとくたびれてくる。「あー、よく寝た、気持ちいい朝だ」と思えるときは7時間のことが多い。
10時に眠りについて7時間後は、5時だ。
通常なら、目覚ましなしで、5時か早いときは4時過ぎに自然に目が覚めるようになった。
微睡みを楽しむ
ある時から、目覚める時間帯に「微睡み」があり、それを楽しむようになった。仕事が多いときは、その時間帯に頭の中で仕事を整理する。場合によっては一度、頭の中で原稿を書く。けっこう丁寧に書く。メモは取らない。ただ脳内で原稿を作っていく。
目が覚めてからはいつものように朝食を採ってニュースを見たりする。
原稿のことは忘れている。
そして仕事時間となって、改めてやることを確認すると、微睡みの中で作られた原稿を思い出し「あのまま書ければなあ」と思うものの、大半を忘れてしまっているから、新たに書くことになる。それでも、たいがいは短時間で書き上げることができるのは、微睡みのおかげである。なにしろ、頭の中で一度書いているので、書けることはわかっているのだ。
もっとも、いつも微睡みの中での原稿の方が、ずっとよい出来だったのに、と思うのであるが。
仕事のことがあまり気にならない日は、とりとめもないことを考えたり、本を読む。布団の中で電子書籍を読むのは楽しい。すると、本の中にある言葉やシチュエーションからいろいろな連想が働いて、再び微睡みに戻って、いろいろなことを考えてみたりする。あーでもない、こーでもない、だ。
いま書いているこの文章も、そういう中で生まれたもので、マガジン「微睡みの中で恋をして」をはじめたのは、それを記録しておきたくなったからである。
犬のライフスタイル
こうしたライフスタイルが生み出されたのは、いま一緒に暮らしている犬のおかげである。
『犬の生活』はチャップリンの映画のタイトルで、犬と暮らすようになってから生活が立て直される話だ(と思うけど)。
いま一緒に暮らしている犬は保護犬である。しかも生後半年足らずのときに、保護団体が「巨大食道症」のため手が掛かりすぎると、緊急に里親を募集していたのである。それが、いまは7歳になった。
この犬をなんとか少しでも長く生きてもらいたいと、妻は必死に対応し、それに合わせて自分たちの生活時間をすべて組み立てていった。最初は朝も早く、夜も遅くなったが、しだいに犬は栄養を得て成長するようになると少しずつ改善されていき、いまは朝最初のご飯は6時台。その日の最後のご飯は8時台になった(5回にわけて食べさせている)。
犬のライフスタイルが確立されたとき、私たちのライフスタイルも確立された。
結論から言えば、よく眠りたいなら犬を飼え、犬を飼えば夢を見ることができる、ということになる。犬は夏は朝が早い。4時頃までに起きてしまう。冬は睡眠時間はとても長い。ほとんどの時間を眠っている。
ざっくりと、「1万年前から人間は犬と生活してきた」と言われている。恐らく、犬にも人間にも1万年の間になんらかの摺り合わせがあって、お互いのライフスタイルに共通の部分を増やしてきたのではないだろうか。
人間はひとりでいると、こうしたライフスタイルを維持するのがなかなか大変である。横に犬がいると、忘れていた生活を教えてくれるのである。
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