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130 医者嫌いの母 すぐ医者へ行く父
89歳になるといろいろ厳しい
医者が嫌いなのである。
89歳になった母親の話だ。父(94歳)は、少しでも具合が悪いと医者へ行く。近隣の病院はひととおり、この数年で行ってしまった。二周はしているのではないだろうか。
一方、母は、東京へ越してきた頃に大きな病院で一度検査を受けて、そこから股関節の問題があって障害があると認められたものの、以後、ほとんど健康診断にも行かず。コロナワクチンも最初の2回のみ。
それでも元気に暮らしていたのに、この1年で急激に厳しくなってきた。
最初は風邪のような症状から、いつのまにか高血圧になっていたことが判明。血圧を下げる薬を飲み始めた。しばらくタクシーを使って病院に通った。歩けないので、車椅子も使うようになった。家では歩行の補助器を使っている。
そして左足が痛くて眠れない、と言い出した。そこで、ケアマネージャーと相談の上、訪問医の定期診療を受けるようになった。今度は痛み止めであるが、検査も必要となった。
定期診療のおかけで、コロナワクチンとインフルエンザワクチンを受けることができた。
介護タクシーを手配してもらい、CTの撮影をしたのだが、当日になって造影剤を「気持ち悪い」と拒否したため、明瞭な画像が撮れなかった。それでもどうやら腰になにか影があることは判明。医師はさらなる検査を勧めるのだが、「いやだ」と言う。
そうして昨年から痛み止めを貰っているのだが、昨日になって「薬が効かない」と言い出した。
今朝になって「夕べも痛かった」と言う。
母からの話だけでは一方的なので、医師と連絡を取ってみた。
「痛み止めはいままでより強いものにしていますけど」と困惑する医師。「検査をお勧めしていますが、なかなかやろうとはなりません」と言う。
理路整然とした医師の話を聞くと全体の状況がわかってきた。
そして再び母へ、「検査した方がいいよ」と言ってみた。
もちろん、すぐに「いや」と拒絶。
医師から聞いた話を繰り返し、これ以上の治療をするためには検査した方がいいらしいよ、と何度も伝えてみると、「暖かくなったら」と言う。
少し、気持ちが動いたようだ。
痛みについても、「前に痛かったところの痛みはあまりなくて」と言い出す。「今度は痺れるようになったの」と。さっきと話は違うけれど、当人としては同じことを言っているつもりなのだろう。
どうしてこんなにも医者が嫌いなのか、よくわからないけれど、当人ならではの事情があるに違いなく、それをいまさらこの年齢であれこれ言ったところでどうにもならない。
というわけで、検査に向かって一歩前進である。
もうひとつの心配
医者好きの父であるが、94歳になって、町内の高齢者向け体操教室に毎週顔を出し、ほぼ毎日、往復30分ほどの買い物にも出掛ける。買い物をしないときは散歩に出掛ける。スーパーではセルフレジでPayPayで決済する。
しっかりしているようでも、背負っていくべきバッグを忘れて買い物に行ってしまったり(レジ袋を買うことになる)。買うべきものを忘れてきたりと、うっかりは以前より増えている。
母の不自由度が高まったため、家事の手伝いも父がするのであるが、そもそも自分で料理をしたことはなく、いまもできない。お湯は沸かせるし、お茶をいれるのも得意だが、ほかのことは驚くほど出来ない。
だいたい、冷蔵庫の整理ができない。慣れていないのである。母に任せきりだった領域については、まったくといっても無知なのだ。
弁当を含め冷凍食品が中心の生活になっているので、冷凍庫はパンパンである。少しの工夫できれいに入るのだが、それができない。冷蔵庫のところで座り込んでいる。冷蔵庫は長く開けているとピーピー鳴るのだけど、そもそも耳が遠いからそんなものにはなんにも気にならないらしい。
ぼくが少し食品をずらしてやると、すんなり引き出しが閉じた。
先ほど、母の件で医師に電話をしたのだが、その医師がおわりがけに「実は、お父さんのことも少し心配なのです」と言ってきたとき、さすがにドキッとした。
「いえ、すぐにどうこうというわけではありませんが、年齢も年齢ですし。おっしゃることが徐々に大変そうになってきたので。怠いとかシンドイとこの頃、よくおっしゃるようになったんです」
父は大げさなのである。医者好きで、なにかあると検査もしてきたが、驚くほどクリーン。歯も20本以上残っている。なんでも食べられる。歩ける。歌える。とはいえ、医師による客観的な観察で、このところ、急激に変化しているらしいのだ。
これは、こちらも、それなりの覚悟を持って当たらないといけないね、ということだろう。
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昨日からはじめた我が家のペット、花ちゃんのキャラクター化。まだまだ先は長そうだ。とりあえず鉛筆でスケッチして、顔の配置、配分などをいろいろ試してみる。もう少しわかりやすくシンプルに描きたい。
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