見出し画像

372 書けないと思うとき

今日は何も書けそうにない

 noteを開いても「今日は何も書けそうにないな」と思うことはある。それもかなり頻繁にある。1年間毎日書いてそれははっきり自覚できている。それでもいまのところまだお休みせずに書いている。
 書けそうにないときは、大きく二種類ある。「書きたくない」ときと「なにも思い浮かばない」ときだ。前者は気分。後者はひらめき。気分やひらめきは、何かを書く時にとても重要だ。
 仕事として執筆するとき、気分に左右されないように気を使っていた時期がある。それも数年やれば身につく。自分の気分とアウトプットされる文字列をシンクロさせない技術は、最初から持っている人もいるし、私のように仕事をやり出してから身につけたケースもある。
 これはアナウンサーがニュース原稿を読むようなもので、技術的なことだ。「書くべきこと」のうち、仕事として必要な部分については気分で左右されないようになる。だから、「書きたくないな」と思ったときだって、ノリは悪いかもしれないけれど書こうとすれば書ける。その技術を身につけておけばいい。
 とはいえ、このnoteのような場合、気分とnoteはかなりシンクロさせるべきだから、正直に「今日は何も書けそうにない」と書いてしまうしかない。
 何も書けそうにないことをこうして書いているだけでもう500字を超えてしまっている。「書いてるじゃん!」
 次に問題なのは「なにも思い浮かばない」だろう。
 ひらめき、インスピレーションは何かを書く時にとても大切で、これは仕事用の文章でも同じだ。もやもやしたまま書いていると、たいがいあとで書き直すことになる。だいぶ書いたところで「こっちじゃない!」とふと気付く瞬間があるのだ。できれば、最初の方で書きたいことと、こうして文字にしていることがうまく噛み合っていることを祈るばかりである。ひらめき、インスピレーションは「これだ」とか「こっちだ」を直感的に掴むことなので、これも多少は技術的なことかもしれないけれど、むしろ運不運に近いぐらいあやふやである。
「掴んでるぞ、絶対これだ、離さないぞ」としがみついて、なんとか前進させるわけだけど、そう思えないときは、あとで読み返してもふらふらと頼りない文章、あるいは繰り返しが増えている。読み返せばそこは「削除」。全部、削って何文字残るのか。プロとして仕事で書くとき、このムダはできるだけ少ない方がいいに決まっている。だから、「なにも思い浮かばない」ときは書かない方がいい。締め切りがあるのでそうもいかないところが仕事としての執筆の難しさだろう。でも一晩眠れば、解決することも多い。明日にしよう、明日に。

ムリに書くべきか、すっぱりやめるか

 私はどちらかといえば、「書きたくない」ときも「なにも思い浮かばない」ときも「ムリに書く」方だ。「とりあえず一行」。そして気に入らなければ諦める。案外、書けているなら少し進めてみる。書いているうちに、ひらめきがやってくることもあれば、気分が改善されることもある。
 気をつけたいのは、一種「ハイになっている」ときだろう。「今日は調子いいぞ」とか「調子が出てきたぞ」というときの方が圧倒的に危険だ。むしろ、「書きたくない」「なにも思い浮かばない」ときの方が、文字数は捗らないものの、いろいろな点に気付きを得やすく、「待てよ?」と方向性を見極めるきっかけになったりもする。
 書きたくない気分になっている原因はいろいろあって、それに気付いてしまうと、原因を取り除けばいいのである。
 もちろん、気分の悪いときは、よくステレオタイプな作家を描くときにやるように「だめだ!」と原稿の束をゴミ箱に入れてしまう可能性もある。
 私の場合は現在はDropboxを使っているので、たとえ削除しても前のバージョンに遡ることができる。救出可能だ。こうしたセーフティネットは各自用意しておいた方がいい。自分を過信するとろくなことはない。痛い経験を何度もしているから。
 もちろん気分が乗らない、ひらめかないとき「スパッとやめる」もいい選択だ。私の場合はサボる。「あー、だめだ、もういいや」と放棄してどこかへ行く。できるだけ物理的に移動することをオススメする。こういうとき、散歩はかなり効果的だけど、そうもいかないなら、とにかく場所を変えてみる。私は他部署へ行って話しをしたり、タバコは吸わないが喫煙所へ行って誰かと話をした。ダメな自分をどこかへ置いてきて、別の自分として生きるのだ。
 こうしたちょっとした行動から、なにかが得られることはよくある。あれだけ来なかったひらめきがやってくる。あるいは方向性が見える。「そうだ、あれ、強調しておいた方がいいな」と、すでに書いたところをチェックする。読み返すのは諸刃の剣で、ゴミ箱行きになる可能性もあるけれど「あれ、案外、うまく書けてるね」と思うときもある。そして「こうしてみよう」と修正を始めると、いつの間にか本線に戻って出発進行となっていることもある。
 自分のクセみたいなものを知るまでは、書きたくなくても書いた方がいい。追い込み、プレッシャーはともすると危険だけど、やりようによっては技術が身につくこともある。「自分はこういうとき、こうだなあ」と理解できるとなおいい。気分転換や休みのタイミングを積極的に計画できるようになれば、「書きたくない」と思ったとしても不安はかなり減る。

黒と青の間の色ばかり使っている。




 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?