実話のようなフィクションも脚本やシナリオが秀逸の"ヤクザと家族 The Family"は色んな方に今刺さる作品だった【Netflix】
最近ヤクザ映画が気になる!綾野剛見っぱなしのさじゃんです。ヤクザと家族 The Famiyという今年1月公開の映画をご存知でしょうか?
今年公開の映画がもうネットフリックスで配信されていることにも驚きですが、以前ご紹介したシン・エヴァンゲリオンとアマゾンプライムビデオのタッグのこともありこうした上映終了&即配信の流れは今後も加速しそうですね。そんなNetflixの資本力の恩恵を受け今回もステイホームでヤクザと家族 The Familyを見ました。白石和彌監督作品や北野武監督作品のような暴力描写はあまりなくPG12指定となっています。ヤクザ映画というより一としての生き方を問う素晴らしい映画だったと思いますのでご紹介したいと思います。
■主人公山本の3つの時代を描くも変化するヤクザを取り巻く環境
過去作である「日本で一番悪い奴ら」でもそうでしたが、どうして綾野剛ってアングラな役が多いんでしょう?wまずは彼の演技力の高さが光っているとは思うのですが、佇まいや雰囲気はどの映画でも似ているのに毎回毎回存在感はすごい!と言わざるを得ません。こうした綾野剛の存在感が監督が変わっても作品が変わっても主演にキャスティングされる所以なんだと思います。今回の綾野剛演じる主人公山本賢治は架空の地方都市で暴れていた19歳の今で言う半グレみたいな存在。ひょんな事から、ヤクザに目をつけられ殺害されようとしていたところに、舘ひろし演じる
柴咲組組長・柴咲博に身柄を拾われ身寄りのなかった山本と盃を交わし名実ともに”親子”になるところからストーリーは始まります。25歳になった山本は、柴咲組で成果を収め周囲からも組関係者からも評価され徐々に”男を上げ始める”そんな時期に来ていました。その後に山本に待ち受けるジェットコースターのような人生を是非見ていただけたらと思います。
主人公山本の晩年までの生き方を描く今作。暴力団に対する法律や世相の締め付けを肌で感じる昨今、彼らが取った行動とはどんなものだったのか変わりゆく日本とヤクザの関係性とそれに翻弄される山本を取り囲む人たちのヒューマンドラマそれがヤクザと家族のメインタームになっています。
■ヤクザを辞めてからも逃れられない「元暴5年条項」
今回の映画でもヤクザを辞めた山本の後輩が社会復帰までに様々な苦難があったと語るシーンがあります。それが、元暴5年条項という条例です。
ー金融機関が独自に定める暴力団排除条項で、暴力団を離脱後も5年間は組員とみなして普通預金口座の開設を断る「元暴5年条項」が広がっている。ー
ー「元暴5年条項」という規定である。この条項により、暴力団を離脱しても、おおむね5年間は暴力団関係者とみなされ、組員同様に銀行口座を開設すること、自分の名義で家を借りることができない。だからといって、暴力団員歴を隠して履歴書などに記載しなければ、虚偽記載となる可能性がある。現在、企業の体質に照らしても、こうした問題は社会復帰における高いハードルとなっているー
この条例は暴排条例といって暴力団を社会から排除する条例で、組が正式に破門または絶縁状等を発行しても5年間は反社会的勢力関係者とカウントされ家を借りることも携帯電話を契約することも難しいと言われています。
昔はワルだった、ヤクザだったでも更生したい!やり直したい!社会復帰したいと思っている方は恐らく映画で描かれている感じよりも多く存在しているような気がします。一度アウトローの道に行ってしまった人間がまっとうに更生しようと心から願っても、偏見や差別や法律や条例によって阻まれてしまうのはとても悲しいことだと思います。頑張って生きようとしただけなのに、歯車が狂っていくのを止められないどうようもできないそんな人達は私達の知らないところでとても苦しんでいるのかもしれないと想像してみることにしました。
■少年の更生に尽力する加藤秀視さんのYou Tube
【不良vs元暴走族社長】 ”魂の合宿” 親子のガチンコ勝負!
加藤秀視さんという経営者で講演活動をしている方をご存知でしょうか。この方は自身もアウトロー出身でその後更生し少年の更生に私財を投じて活動されてきた方です。
元ヤクザの22歳のレオナと学校にも行かず非行を繰り返す15歳の聡を加藤秀視さんは自分の建設会社で勤務させながら社会とは何か?更生とはなにか?と自問させるプログラムを実施。彼らが導き出したもの、加藤秀視が見せたかったビジョンなど興味深くドキュメンタリーとして見ることが出来ます。一度道を踏み外したアウトローな若者がまっとうに生きようとするとこれほどまでの苦悩と苦労がつきまとうのかと感じ取れるドキュメンタリーでもあります。是非一度ご覧になっていただけたらと思います。
■ヤクザと家族が伝えたかったこと
サブタイトルに入れらた The Familyの文字。これは、家族になろうとしたヤクザ周囲の人間がフィクションとはいえどのような結末を現代の日本において迎えることになるか、そのサンプルケースなのかもしれないと思いました。法律が悪い、金融機関が悪いと周囲の環境は厳しさを増すなかでもさきほどご紹介した加藤秀視さんのようにバックアップする方たちも少なくないのが希望の光のように思います。”家族”とはなんなのか、”生きていくこと”とはなんなのか見終わったあと複雑な感情とともに考えることが出来る素晴らしい映画だったと思います。
ヤクザ系、暴力系、アウトレイジ系が苦手な方もそういった描写は極力抑えてるので見やすいかと思いますので女性にもオススメです。(PG12指定)是非一度、ネットフリックスで配信されていますので見ていただけると今回お伝えしたかった意味が理解していただけるかと思います。