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「レターパック裁判」〜萩ibasho映画祭参加報告

 私が出演し、スティル(静止画)カメラマンも担当した「レターパック裁判」が、山口県萩市で8/2〜8/4に掛けて開催される「萩ibasho映画祭」に出品されるとのことで、私もカメラマンとして同行してきたので、そのレポートを投稿する。

「レターパック裁判」とは、コロナ騒動、感染対策のおかしさを人々に気付いてもらうために、そしてこの騒動を止めることを目標に、有志により結成された「訴訟ジャパン」の活動をテーマに、福島在住の高梨由美さんが私財を投入して制作された映画だ。公開は2024年2月。

 主演は12年ぶりに女優復帰の高樹沙耶さん。また、初めて役者として、そして主題歌担当として元クリスタルキングの田中昌之さんが出演された。

初日:8/1(木)

 朝の6時半に東京都小平市の家を出て、新幹線とバスを乗り継いで、15時前に萩市にあるツインシネマに集合。

 一度閉館になった映画館をNPO法人として再建したようで、中は雑然としているが、昔懐かしい「昭和の」雰囲気を味わえる場所だった。

 この後、高梨監督、高木沙耶さん、映画監督の小楠(おぐす)さん、ツインシネマ館長の柴田寿美子さんなど7名で、「不走庵 三輪窯」にお邪魔し、陶芸家である13代休雪さんのお話を伺い、美味しいお茶とお茶菓子を頂き、作品を拝見した。

 当日は、なぜここに行くことになったのか、何も分からないまま、頭に「?」を浮かべながら同行していた。😄 
 その理由を翌日に知ることになる。

三輪窯の入り口。


お茶がおいしかった!
休雪さんの作品の湯呑み。芸術性を追求した衝撃の形状!


和装もお似合いの沙耶さん。



ツインシネマ館長の柴田寿美子さん。
映画監督の小楠さんは写真と動画を撮られていた。

 その後、展示室を見せて頂いた。

展示室
苔むした素敵な庭で浴衣姿の沙耶さん。
想像を遥かに超える大きさの作品。

 その後は夕飯を食べた後、萩港で行われる花火大会へ。
 後で知ったが、人口5万人に満たない小さな萩市とは思えない、7000発の大規模な花火大会だった。一体予算はいくらなんだろう?
 1発10万円でも7億円だ!

2日目:8/2(金)

 この日からいよいよ映画祭が開幕した。

 まずは映画館の2階の部屋に用意された食事を頂くところからスタート。

 食事が終わった頃に田中昌之さん登場!

 この映画祭は今回が5回目で、共に審査対象外の、柴田館長主演の「さよなら萩ツインシネマ」と「ハッピーバースデー」を含む9作品が上映され、観客による投票でグランプリが決まる。そして今回から急遽、個人賞も用意されることになった。
 投票をするためには、3000円でフリーパスを買うと、7枚の投票用紙がもらえる。7枚全てを同じ作品に投票しても構わない。

 まずは開会式。

 最初に、前回のグランプリ監督からトロフィーの返還。

 このトロフィーが何と、昨日訪れた不走庵 三輪窯の13代休雪さんの作品だった!金色なので金属に見えるが、陶器に金の塗料(?)を塗った物だった。

 その後、ステージには館長の柴田さん、市長、高樹沙耶さん、地元出身で今回出品の映画に出演されている都志見久美子さんが上がった。

 昨年、映画祭の前理事長が亡くなり、今回から柴田寿美子さんが理事長になられたそうだ。

 第一回の2日目に三浦春馬さんが亡くなった。
 第二回はコロナで上映できなくなった映画を上映するために開かれた。
 そして今回が第5回。

 田中ふみお市長によれば、4万2千人の萩市では、20年前に映画館がなくなることになり、寄付を集めてこのツインシネマを残したそうだ。周りの市にも映画館がないとのこと。ここを潰したら、萩市民は本当に映画を見ることがほとんどできなくなるとの危機感からのことだった。

 沙耶さんは現在本を書かれているそうで、9月出版予定とのこと。
 また、映画も作りたいとの気持ちも出てきているとのこと。楽しみだ!😍

 開会式の後、「さよなら萩ツインシネマ」「78:22」「ハッピーバースデイ」「家族・する」の順に上映された。上映の後は監督や出演者の舞台挨拶がある。

 「さよなら萩ツインシネマ」は、集客に苦しむ館長にして映画祭の主催者である柴田寿美子さん主演の「自虐的」作品とのこと。
 何と、「映画祭は今回で終わり」で、ツインシネマも近々閉めるという設定!これから映画祭が始まると言うのに!🤣 
 後で、それが嘘だと聞いて本当にホッとした!😊

 柴田さんの羞恥心を忘れた振り切った、サービス精神旺盛な演技で大笑いさせてもらった!🤣
 それ以外にもお笑いをふんだんに取り入れた構成で、思いっ切り楽しませてもらえた。😊👍
会場は大盛り上がりだった!


右は作品にも登場した本物の息子さん。


「78:22」は昨年のグランプリ監督による意欲作だったが、35分と短く、私を含むレターパック裁判チームは、喫茶店でお茶をしている間にほとんど終わってしまい、ストーリーは分からずじまいだった。😢
 とても斬新な設定だったようなので、見損なってとても残念だった!😢

「78:22」の監督


 「ハッピーバースデイ」は酒乱によるDVで離婚になった旦那が、別れた娘に近付こうとし、娘の家族との間に起きる様々な問題を描いた、実話を基にしたほぼドキュメンタリー。

 「家族・する」は疑似家族サービスを描いた作品。様々な人が「家族」を体験しに、あるいはプロポーズなどの練習目的に利用する。家族を演じるのは、会社に雇われた役者だ。毎回、異なるチームを組み、対応する。

 映画としては、結婚したい相手を家族に紹介する女性など、6件ほどの依頼を描いていた。

 この作品では、それぞれの人によって異なる、家族の持つ意味を考えさせられた。

 夜は、映画館隣の韓国料理屋でみんなで食事をした。

沙耶さんと田中さんはお店の人にサインを頼まれた。


3日目:8/3(土)

 この日は、映画祭が始まるまでの時間でホテルから徒歩10分ほどの旧城下町を散歩。
 古い街並みの残る、とても貴重で素敵な街であることを再確認した。

萩焼。

 この日のスケジュールは、「レターパック裁判」「仮面ファイター2」「愛とか、恋とか」「高樹沙耶トークショー」「憧れdoll」。

 舞台挨拶では、高梨監督、沙耶さん、田中昌之さんの3人のトークは相変わらず最高に上手で盛り上がった。😊

裁判官役で出演された井上聖子さん
客は連日まばら。ほぼ関係者だけ。


 「仮面ファイター2」は前日からご一緒している小楠監督の作品。初代タイガータスクの最後の弟子であるブルーシャークこと瓜田さんという格闘家兼プロレスラーとその家族を主人公にしたドキュメンタリー。
 とにかく人間に興味がある小楠監督が興味を持ったとの理由で撮った作品とのこと。
 小楠監督のプロフィールは以下を参照のこと。

 音楽は世界的ベーシストである今沢カゲロウ氏。ギター一本での独創的な音楽で感心した。

 47歳になっても格闘家として第一線で戦う主人公と、ダンサーであるその奥様の生き様が格好よかった。

 「愛とか、恋とか」は、半年間に渡ってワークショップで試行錯誤する中でストーリーが固まっていった映画。男女4人がそれぞれの恋愛観をぶつけ合うような作品。

主役の高橋ゆなさん(で合ってるかな?)

 高樹沙耶さんのトークショーでは、昨年のグランプリ監督が司会進行を務めた。

 監督が、沙耶さんの最初の2作である「沙耶のいる透視図」「チ・ン・ピ・ラ」に思い入れがあるらしく、そちらについて熱く語られていた。



 トークショーの最後には、大スクリーンでMASATAKA&高樹沙耶の「Regalize It」を流しました。沙耶さんの想いのこもった素晴らしい曲だなあと再確認した。



 この日最後の映画、「憧れdoll」は、コロナが始まって仕事がぱったりとなくなった主演女優さんが、「それなら」と自ら監督をされた作品だった。

 ストーリーの説明は、私もまだ消化し切れていなくてできないので省略する。

 優秀なスタッフをたくさん使ったのではないかと思える、極めてレベルの高い映像で、かなりのお金を掛けているように感じた。

 全体構成が複雑で、やや冗長になった印象はぬぐえなかったが、初監督作品としては思えないほど、気合の入った力作だった!

 主演女優のみやびさんは、映画が進むにつれてどんどん魅力的に見えてきたので、さすが女優さんだなと感じた。

 舞台挨拶は残念ながらzoomだった。
 みやびさん、中々可愛かったなあ〜!😍



 終了後は関係者全員で懇親会で交流を深めた。と言うほど、他の映画チームと交流したわけではないが。😄

 この日は、ノーマスクを通したために議員辞職勧告決議を受け、それを受け入れず、候補者21人中最下位で落選した若林純一元市議が来られていた。私とは初対面だった。
 少しお話しして、次はどうするのかお尋ねしたところ、何をするのが世の中を変えるのに最も効果的か考えているところとのことだった。

懇親会にも参加された。



 22時に映画館の前にお祭りの船が到着したのでみんなで見学した。

最終日:8/4(日)

 この日の上映は「生きない」のみで、ランチを挟んで表彰式・閉会式。

 「生きない」はヤクザの世界を描いた、かなりハードな作品だった。
 役者はウルトラマンタイガ(2019年)など多くの特撮ヒーロー物に出演されているイケメン俳優など豪華メンバーで演技も素晴らしかったと思う。

ウルトラマンタイガの隊長役をされた役者さん。物が違った!
こちらもイケメン俳優。上手だった。
監督。
地元のヒロイン。

 そしていよいよ表彰式だ。

 個人賞は5名に贈られた。

 まずは小楠監督の「仮面ファイター2」の、ブルーシャークの小さな娘さんに。😄

 次は、「家族・する」のお母さん役の方。

 そして、「愛とか、恋とか」の主演女優。
 この方も映画とは違って笑顔が多くて、とっても可愛い方でした!😊

卓球の平野美優を面長にした感じ。

 次は「家族・する」の監督。

 次は、「生きない」の性風俗で働くアホっぽいヒロインを演じた、地元萩市出身の女優さん。
 映画の中ではそれほど可愛いと感じなかったが、実物は笑顔がとても素敵で綺麗な方だった!

 個人賞はいよいよ残り1人。
 沙耶さんじゃなかったらどうしよう!と少しだけ心配になっていた。

 「生きない」にまさかの松本明子さんと松村邦洋さんが出ていたが、ちょい役なので流石にないし、沙耶さんは今回の出演者の中では圧倒的に一番有名な俳優なので、沙耶さんで固いだろうと思ってはいた。しかし、他にもいい演技をしていた役者さんは何人もいたので、沙耶さんでなかったときの関係者の落胆を思い描き、沙耶さんに何と声を掛けようかなど、余計なことを考え始めた時、「圧倒的な演技力で多くの票を集めた高樹沙耶さん!」と呼ばれ、正直言ってホッとした。

 沙耶さんは挨拶でもご自分でも話されていた通り、モデル出身で、演技の勉強をした上で役者になった方ではないし、演技力でのし上がったタイプでもない。演技力だけで言ったら、もっとうまい役者が今回の作品中にいたかもしれない(私にはよく分からないが)ので、選ばれないことももしかしたらあるのかも、とかすかに思っていた。

 私が凄いと思ったのは、沙耶さんや高梨監督も仰っていたように柴田寿美子さんの強烈なインパクトの演技だったが、評価の対象外だった。

 沙耶さんは、演技臭くない自然な演技が持ち味の役者さんだと思っている。それは、高梨監督が役者に対して求めているものでもあり、沙耶さんの普段の周りの人への接し方とも通じるものだ。肩に力が入っていないのだ。
 その自然な演技力が、この作品のリアリティーをさらに高めてくれているのではないかと思う。

 そして、肝心のグランプリ!

 こちらは私はかなりの確信を持っていた。

 撮影技術やシナリオ、ストーリー、演出など、技術的面では見るべき作品はいくつもあったと思うが、「そこから何を感じるか?」「何を学べるか?」「社会的に持つ価値」などを考えると、存在意義の面で圧倒的に優れていたのが「レターパック裁判」だからだ。

 そして、めでたく「レターパック裁判」という声が聞こえた!


「レターパック裁判」関係者で最後の記念写真!
トロフィーの箱には歴代のグランプリ作品の監督の名前が入れられる。

 たくさんの思い出を作ってくれた萩とツインシネマ、館長の柴田寿美子さん、映画を作って下さった高梨さん、主演を引き受けて下さった高樹沙耶さん、主題歌と太田薫役のマー坊こと田中昌之さん、その他多くの萩で出会った方に感謝して、このレポートを終える。

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