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ひまする
知り合いの子どもが悪天候で休校になったときに書いてたスケジュール表。
「ひ〜ま〜す〜るっ!」ってつぶやきながら書いていたんだけども、ほぼひまするスケジュールにつき、「ひまするのひまって何するの?」って聞いたら「じゆー」と。だよね、だよね。
私はフリーランスライター。疫病蔓延のために海外取材に行けず、記事も思うように書けずにいるので、無制限に「ひましている」ここ1年半。
家でゴロゴロ、家で漫画に読書、動画鑑賞、落語に浪曲鑑賞、楽器演奏でなんらストレスも不自由もなく過ごしていてもお金は減っていく。家族からは「ストレスなさそうに家にいて、なんでストレスないんだよ!」とケチをつけられる。家族は出勤せずに在宅勤務していた時期だ。部屋を分けてたし家事はこなしていたしで、足手まといにはなってないと思っていんだが。ストレスのない人が目に入るというストレスというのもあるわけかとのんきに思う。人を思いやるって、難しいね。
ならばとバイトを探す。2020年6月のこと。このころはまだ疫病がいつ収束するのか見えなかったので、バイト検索のキーワードは「短期・髪型自由・未経験可」。
ヒットしたのは「簡単な荷物の仕分け」
・早朝だけのサクッと4時間 ⇒ 夏の早朝は大好きだし、早起きも苦にならない。これはいいぞ!
・お中元時期の繁忙期のみ ⇒ 約1ヶ月だ、体力なくてもこれは頑張れるぞい!
・我が家に配達してくれる支店ではなくて家から近所 ⇒ 顔なじみのスタッフがいない支店のが何かと都合がいいし、家から自転車で通えるし、これはいいぞなもし!
面接していただけることに。久しぶりに、いつぶりなんだろうかと履歴書と職務経歴書を作る。顔写真は、シャツとジャケットを着て家のふすまの前でスマホで撮影。何度でも撮りなおせるね。そのデータをコンビニでプリントアウト。今は便利だわね。
面接して採用していただく。私でも採用されるのかと驚く。1ヶ月だけだし、シフトもどうしていいのかよくわからなかったので、月〜金の週5日で希望するととても喜ばれる。人手不足なのは想像していたが。実際に毎日働いてみると、ドライバーさんからは「短期でガッツリ稼ぎたいんだね」「このあとも掛け持ちしてるんだろ?」と言われる。そういうイメージなんだな、KISSにメタリカ、メイデン、デッド、デップスなんかのバンドTシャツを着てバイトしていたからだな。
冷房のない倉庫での仕分けは汗だく。荷物を横に動かすだけではなく細かいルールがあるしでちょっと覚えるのが面倒。重たいものは重たい、恐怖の味噌に米に水! 形が崩れやすいなんとかガイザーの水! 冷凍と冷蔵の荷物の温度管理にはさらに気を使う。
仲間はいろんな国籍の人。テキパキ動く朝のリーダー。勝手に休む無責任な自由人もいる。時間配分と正確さがカナメの朝の仕分け。
仕分け業務の契約期間は無事に終了。延長を打診される。人手不足なんだなあ。まだ海外取材に行けないし、では2ヶ月で、週3日よければと延長に応じる。
いまなら言える、「延長やめとけ!」
ある日の朝4時、起きようにもまず立ち上がれない。痛いというか力が入らない、いや激痛なんてもんじゃない激痛。バイトを休んで診察してもらったら急性腰痛症。やっちまった。腰をいわしたンだわ。
バイト先に退職希望を伝えるも、治ったら復職をと。延長していただいたものの申し訳なく思うが、腰の痛みは本当に深刻で、この先痛いままかもという悲しみで情けなくなる。治療に専念する。冬までに、スキーパトロールをする冬までに、治さないと。
12月まで残り3ヶ月、リハビリに励む。いや、治すのみ。
信頼できる整体の先生はじめ、よいクリニック、よいトレーナーに診てもらいつつ、通院するのが苦にならなかったのは気に入ったとんかつ屋があったこと。とんかつ好きでよかった〜。脂身がおいしい「厚切特上とんかつ220g」は、無職としては毎回注文できないけども、リハビリ終了したら上ロースを食べる楽しみのために。11月やっと完治。
ちょっと不思議なことがあったので、書いてみる。
急性腰痛症になった直後の9月中旬のこと。
死んだあっこおばちゃん(伯母)が夢に出てきて、お墓参りに来てと言う。母にこの話をしたら、
「あらやだ、そっちにも出たの?」
と。あっこおばちゃんは母の夢にも出てきていた。
お彼岸に、母とお墓参りへ。母とあっこおばちゃんの間には、栄養失調により4歳で亡くなったヤヨ子がいる。今まで墓石にあるヤヨ子の名を気にしたことがなかったが、この日はヤヨ子の文字が気になって念を入れてキレイにふいてみた。そして、理由はよくわからないけども墓石の写真を撮影した。そしてその夜、夢にヤヨ子が出てきて干し柿をくれた。
腰痛の治療もしていたから効果があったのも確かだが、この夢のあとから痛みがかなり和らいだ。「腰痛は先祖供養が足りてないから起きる」というスピリチュアル的なことを聞いたことがある。まさか私がソレ? と思うほどのタイミングで、腰の痛みが和らいだのよ。
結局、荷物仕分けバイトのバイト代は腰の治療費に消えた、なんだったんだべさ、私の2020夏。私でも物流の端っこで少しだけ役立ったかなあと思えばいいか。採用や退職という手続きには手数をかけてしまったけども。
そして、2020冬になるまで、またしても「ひまする」
そうなったらこれしかない。バイト検索サイトにアクセス、「短期・髪型自由・お歳暮」のキーワードで検索したのだった。