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【レントゲン読影講座】第4話 画像の表現要素

これまで、X線の難しい話ばかりしてきましたが、皆さんはついてきているでしょうか。

やはりこれが分かっていないと読影もできないというのが本当のところです。

そうじゃないと、全くトンチンカンな角度から画像を見つめることになり、レントゲンがわかる人から唖然とされます。

しかし、ケガベヤの皆さんは大丈夫です。

まだまだ序盤で総論が続きますが、もう少し基礎的な内容を見ていきましょう。

今回は画像を決定する項目についてお話しします。

レントゲンに限った話ではないですが、とても面白い領域です。

「画像の表現」はいくつもの要素が組み合わさって完成しています。

これは私がレントゲンを勉強した学生時代に知ったことなのですが、社会に出てデザインや画像編集、動画編集、パワポ作成を学んだときに再度勉強する機会があり、こんなところで知識が繋がるんだと驚きました。

そりゃあ2D画像の話なのでクリエイティブ界隈ど真ん中の話題なので、レントゲンにも共通するのは当たり前なのですが、びっくりしたのを今でも覚えています。

皆さんも「柔整」という枠に囚われずにさまざまな分野に触れてみてください。

では、いきましょう!

画像のコントラスト

知り合いのレントゲン技師さんもよく、「コントラストが〜」という話を私にしてくれます。

コントラスト Contrast
画像内の明るい部分と暗い部分の差の大きさを表す指標のこと。高いコントラストの画像では、この差が大きく、明暗がはっきりする。低いコントラストの画像では、明暗の差が少なく、全体として灰色っぽい感じになる。コントラストが高ければ高いほど、詳細やテクスチャがはっきりと見える傾向がある。

試しにお手持ちのスマホの写真を編集して、コントラストの値を編集してみてください。

そうすると、なんとなくコントラストの意味がわかると思います。

試しにほねゆき君の画像のコントラストを上げてみました。

コントラスト (低) (中) (高)

コントラストを下げると全部の色が同じ明るさになり、のぺっとした画像になりました。

コントラストを上げると、色による明るさの差がはっきりとして、メリハリのある画像になります。

では、レントゲンではどうでしょう?

コントラスト (低) (中) (高)

はい、本当はレントゲンのコントラストは撮影時に決定するのですが、私は好き勝手に撮れる身分ではないので画像をiPhoneで加工して「それっぽく」してみました。イメージは十分伝わると思います。

左の画像はコントラストが低い画像で、軟部組織が比較的はっきり見えて、全体を把握できますが、どこかが折れていた場合には骨ははっきりと見えにくいかもしれません。

真ん中の画像はこの3枚の中ではコントラストが中程度で、趾尖まで骨が見えますし、足根骨もある程度骨がはっきり見えていて、軟部組織の陰影もある程度見えています。

右の画像はコントラストが高い画像で、足根骨は比較的はっきり見えますが、足尖は軟部組織陰影どころか骨も暗くなり写っておらず、情報は少なくなっているように思います。

さて、コントラストがどういったものかがイメージできたでしょうか?

画像の明るさ

コントラストと同じような指標に、明るさというものがあります。

明るさ Brightness
画像全体の輝度の平均値を指す。明るさが高いと画像全体が白っぽく、明るさが低いと画像全体が黒っぽく見える。

これも、ほねゆき君の画像で試してみましょう。

明るさ (低) (中) (高)

なんだかコントラストを編集した時と同じような絵になりましたね。

ただ、よーく見るとちょっと違います。

では、レントゲンで見るとどうなるでしょうか。

明るさ (低) (中) (高)

レントゲンで見てみると、ぱっと見の印象ではコントラストの時とは逆に見えますね。

画像全体が均等に変化していることに着目してください。

コントラストと明るさの関係

コントラストと明るさの違いはなんなんだと聞こえてきそうなので、解説します。

コントラストは明るい部分と暗い部分の「差」に焦点を当てているのに対し、明るさは画像全体の輝度に焦点を当てています。

コントラスト=画像の明るさの差をはっきりさせた度合い
明るさ=画像の全体の輝度の度合い

コントラストを調整すると、画像内の明暗の差が変わりますが、全体の明るさはそのまま。

逆に明るさを調整すると、画像全体が明るくまたは暗くなりますが、明暗の差(コントラスト)は変わらない。

ということですが、ほねゆき君の画像とレントゲン画像で違いが出たのは何故でしょうか。

コントラストと明るさの彩度による変化

ここにきて彩度というワードが出ましたが、安心してください履い…解説しますね。

彩度 Saturation
色の鮮やかさや純度を表す指標。彩度が高い色は、鮮明で元の色に忠実であり、彩度が低い色は灰色に近くくすんで見える。例えば、鮮やかな赤とくすんだピンクは、両者とも基本的に赤色だが、前者の彩度は高く、後者の彩度は低い。

ほねゆき君の画像は色がついています。レントゲンはほぼモノクロ(白黒)です。

つまり、ほねゆき君には彩度があるが、レントゲンには彩度がないということです。(ほぼない)

彩度がなくなった世界(レントゲン)では、コントラストが効きやすく、明るさの変化は画像全体を白くするか黒くするかという違いのみにとどまるということです。

ただ、コントラストと明るさは同時に自動調整されることが多いので、それも知っておいてください。

レントゲン画像の構成条件

さて、ここまではコントラストと明るさについて感覚的に理解しやすいように説明しました。

では、実際にレントゲン撮影では何によってレントゲン画像のコントラストや明るさが決定されるのでしょうか。

これまで学習したことを踏まえてみていきたいと思います。

結論から言うと、大きく4つの要素で決定します。

  1. X線のペネトレーション

  2. 照射距離

  3. 被写体の条件

  4. ディテクタの条件

レントゲン技師さんは全てコントロールし、狙った画像を生み出しているのです。

・・・なにが何だかわからないですか?

次回の記事で解説しますね!


サポートいただければ、ほねゆきが妻にお花を買って渡します!