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【『地球の歩き方』にも載ってない】ロンドンの神保町「セシル・コート」の歩き方

特別な一冊との出会いは、書店から。
東京で「本の街」と言えば神保町ですが、実はロンドンにも人と本が交わる街があるのをご存知でしょうか? 今回はロンドンの神保町こと、「セシル・コート(Cecil Court)」の魅力を紹介します。


「セシル・コート(Cecil Court)」とは?

ロンドンの中心、ウエストエンドに位置するセシル・コートは、小さな書店やギャラリーが立ち並ぶ、趣ある通りです。「魔法」「伝説」「歴史」など、独自のコンセプトを持つ書店が軒を連ね、通りの中央には大きな街灯が佇んでいます。こうしたお店が醸し出す雰囲気から、映画『ハリー・ポッター』のファンの中には、セシル・コートが映画に登場する「ダイアゴン横丁」のインスピレーションになったのではと語る人も少なくありません。

セシル・コートの街並み

さらに、近隣にはイギリスを代表する劇場やオペラ座、美術館なども密集しており、このエリアは世界の芸術文化の発信地としても知られています。

公式サイトによると、第一次世界大戦前には、すでに書店や出版社がセシル・コートに進出していたそう。当時から、イギリスの最先端の芸術や音楽、演劇を世界中に広めたいと願う芸術家や編集者が集まる場所だったのでしょう。

今もその名残を色濃く残すセシル・コート。さっそく、その魅力を覗いてみましょう!

セシル・コートの見どころマップ━━目が喜ぶ書店巡り

セシル・コートのおすすめ書店5つをマップにまとめました。

セシル・コートのおすすめ書店マップ

扉を開けると広がる、お香の香り......!? スピリチュアル系書店「Watkins Books」

「Watkins Books」は、スピリチュアルをテーマにした独立系書店です。店内には宗教や占い、魔法に関する書籍がずらりと並び、オリエントな雰囲気の雑貨も豊富に取り揃えられています。タロットカードやクリスタルストーンなど、ファンタジーなデザインの商品は、お土産にもぴったりです。

お店に足を踏み入れると、ふわっとお香の香りが漂い、どこか懐かしい気持ちに。ロンドンの中心で、日本のおばあちゃん家に迷い込んだかのような、不思議で温かい体験をお楽しみください。

ハロウィンのデコレーションは、とても気合いが入っていて可愛いです

アリスのショーウィンドウが可愛すぎる! 「Alice Through The Looking Glass」

アリスのイラストが描かれたショーウィンドウが目を引きます

こちらは『不思議の国のアリス』や古典的な児童書を取り扱うお店です。『不思議の国のアリス』の作者、ルイス・キャロルは、イギリス北西部のチェシャー州出身。物語が生まれた地でその本を手に取るなんて、贅沢な時間だと思いませんか。

店内では、アリスや『星の王子さま』の可愛らしい挿絵も額縁に入れて販売されており、絵本ファンにはたまらない空間となっています。「洋書を読むのはハードルが高い」という方も、アリスのイラストが目を引くショーウィンドウを覗くだけで、絵本の世界に浸れるはずです。

サイン入り初版本の専門店「Goldsboro Books」

「Goldsboro Books」では、著者のサイン入り初版本を専門に扱っています。毎週たくさんの著者が本にサインをするために同店を訪れ、著者イベントも定期的に開催されています。

このお店に足を運ぶのは、読書家の多いロンドナーの中でも筋金入りの「本の虫」。彼らがどのように書店で本を選ぶのか、その姿を観察すると楽しみが広がります。

音楽の専門書店「Travis & Emery Music Bookshop」

セシル・コートには音楽に特化した書店も。「Travis & Emery Music Bookshop」には、古い楽譜やオペラのプログラムなど、音楽に関する貴重なアイテムが並んでいます。

周辺にはロック文化をテーマにしたギャラリーもあり、同店のショーウィンドウに飾られたアンティーク楽譜と、それらのギャラリーとの対比は、ロンドンの多様な文化を反映していておもしろいです。

子供の頃に読んだあの児童書との再会「Marchpane」

イギリスでは、古くて貴重な書籍は「Rare books(希少な本)」と呼ばれ、丁寧にカバーをかけて販売されています。Rare booksを扱うセシル・コートの書店の中でも、児童書が充実していると有名なのが「Marchpane」です。

カラフルな看板や内装は、子供の頃に使っていたクリスマスデザインのおもちゃ箱を思い起こさせます。「懐かしい児童書を次は英語で挑戦したい」という方は、ぜひ「Marchpane」へ足を運んでみてください。

まとめ━━ショーウィンドウから伝わる、本への愛を受け取って

セシル・コートを何度か訪れると、行くたびにお店のショーウィンドウに並ぶ本が変わっていることに気づきます。これは、この街の書店の店主たちが本を愛し、お客さんに新しい本との出会いを楽しんでもらいたいと願っている証拠のように感じています。

お店の競争と入れ替わりが激しいロンドンの中心部で、そんな店主の思いだけは、いつまでも変わらず残っていてほしい。もし機会があれば、ぜひセシル・コートで本を手に取り、そこに込められた愛に触れてほしいです。みなさんの本との出会いが、素敵なものになりますように。

参考URL

【英語】セシル・コート公式サイト:https://www.cecilcourt.co.uk/

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