本来は掃除係と言えなくもないが…。(養蜂のコツ④)

 ハチノスツヅリガ。

 日本ミツバチを飼育していると、この蛾のせいでミツバチが逃げてしまったと言うひとを頻繁に見かけます。
 なるほど、たしかに残された巣は、縦横無尽に蛾の幼虫に食い荒らされていて、ミツバチは逃げてしまったようです。

 でも、実際には巣の大きさに対して、ミツバチの数が足りなくなって、巣の管理が出来なくなり、ツヅリガに侵食を許してしまい、乗っ取られたようにみえると言うのが正しいようです。つまり、他に問題があって蜂数が少なくなり、その後、ツヅリガにやられてしまう。
 対処する必要があったのは、ツヅリガと言うよりもその前に蜂数が減ってしまった原因の方にあることがほとんどです。

 さて、このツヅリガですが、西洋ミツバチの巣箱では、あまり問題になりません。それは、古い巣をかじり捨てて、ツヅリガに食べてもらっている日本ミツバチとは異なり、西洋ミツバチは蛾の幼虫を見つけ次第、せっせと巣箱の外に捨てているからです(日本ミツバチも自分たちが管理している部分に幼虫がいれば捨てますが、西洋ミツバチほどではありません)。

 西洋ミツバチは、巣が古くなったからと言ってかじり捨てたりしません。では、古くなった巣(巣枠)は、誰が捨てるのか。養蜂家です。
 自分の場合は、三年で捨てるようにしています。あまり、長く使うのは病気の原因になるからです。

 しかし、一年で捨てるのはまた非効率です。ミツバチに蜜を貯められるように巣を作らせるには大量の糖分が必要だからです。つまり、採れる蜂蜜が少なくなります。

 ずっと一ヶ所で採蜜をする定置養蜂では一箱で採蜜期には巣枠を3、40枚使用しますが、冬には9枚になります。残りは来年使用するまで保管するか、廃棄します。

 ここで、前述のハチノスツヅリガが問題になります。10度以下になれば、幼虫が産まれませんが暖かいとすぐに巣を食い散らかされてしまいます。蛾の卵は手の指紋に入り込むくらい小さいので、物理的には除去できません。

対処方法は、いくつかあります。

①二硫化炭素
 現在は、禁止されています。栗の殺菌などに使用されていますが、養蜂に使用できる薬剤として検証、許可されていない為、使用できません。蜂蜜には、理論的には残留しないのではと言われていて、もし、認可されるような事があれば、これが一番簡単のようです。

②BT剤
 BT剤は、天敵微生物を利用した生物農薬の一種で、有機農業でよく使用されます。
 ハチノスツヅリガにも、有効で販売されていますが、使用した感じでは、被害は緩やかになりますが、ちらほらと幼虫になってしまいました。

③冷凍処理
 マイナス20度で1日程度保管すると幼虫も卵も死ぬそうです。先日、業務用冷凍庫を購入したので今年からはこの方法で対処する予定です。

レマコムの100リットルや210リットルの冷凍庫がお手頃みたいです。大きさには注意です。

④ミツバチに預ける
 寒くなるまでミツバチに預けて、冬は倉庫で保管。春、暖かくなる前に巣箱に戻せば大丈夫です。
 巣箱では、麻布で仕切りつつ(端は通れるようにします)巣枠の間隔を広くすると、蜜を貯めたり、育児をしたりする対象になりずらくなります。蜂が預けているだけの巣枠を本格的に管理し始めると、蜂数の密度が下がり、蜂蜜の消費量が増えたり、蜂が働きすぎて寿命が短くなります。

このハチノスツヅリガですが、石油製品であるはずのビニールを食べられると言うので、環境面から注目されています。

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