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【マラソン】水槽の脳【ヒルクライム】

昨日に引き続き、マラソンやロードバイクのトレーニングを行う上でのメンタルについてです。

今日のテーマは水槽の脳の仮説についてです。
思索が深みに嵌ってしまったので今回で最後にします…


1. 認識の限界と「水槽の脳」の議論

私たちの認識は外界の情報(光、音、触覚など)を感覚器官で受け取り、それを脳が解釈して「現実」として認識しています。しかしその「現実」が外界の真実と一致している保証はありません。

たとえば:

  • 網膜で光を感知し、それを脳で処理して対象物を見ていると感じていますが、脳に直接信号を与えるだけで「対象物を見ている」という錯覚を作り出すことも可能です(これが「水槽の脳」の仮説です)。

  • 現代のバーチャルリアリティ技術なども、この「脳の認識が作る世界」を体験させる例と言えるでしょう。

この観点に立てば、「現実」そのものは私たちが認識している「イメージ」に過ぎず、本質的には主観的なものだと言えます。

2. 認識が世界を作るという考え方

ここで重要なのは、「世界が主観的であるならば、認識を変えることで自分の世界を変えられる」という発想です。この考え方は哲学的な立場だけでなく、心理学や行動科学でも非常に興味深い応用がなされています。

心理学的視点

  1. 自己効力感

    • 人が「自分には目標を達成できる」と信じることが、実際の行動や成果に大きく影響することが分かっています。信念がモチベーションや努力を促し、結果的に成功につながるということです。

  2. 期待理論

    • 「成功すると信じる人は、成功するための行動を取りやすい」という理論です。脳は「すでに成功しているイメージ」をリアルに感じると、その実現に向けて無意識に必要な行動を取るようになります。

神経科学的視点

  • 脳は実際の出来事と「想像」を区別するのが難しいと言われています。たとえば、マラソンでサブ3を達成する未来をリアルに想像すると、脳はそれを現実のように感じ、実際の行動をそれに適応させていきます。

  • プラシーボ効果もこれを示す例であり、信じることが物理的な結果に影響を与えることを証明しています。

3. マラソンでサブ3達成への応用

ここまでの考えをマラソンの目標達成に結びつけると、次のようなプロセスが考えられます。

ステップ1: 認識の再構築

  • サブ3を達成している自分の未来像を、詳細かつリアルに描きます(例: フィニッシュラインを駆け抜ける姿、時計の表示、周囲の歓声など)。

  • これを毎日繰り返し想像し、「自分は必ずできる」と強く信じます。

ステップ2: 行動に反映

  • その信念を基に、「サブ3を達成するにはこれが必要だ」という行動計画を立てます。信念が行動を後押しするため、自然と必要な努力を重ねることが可能になります。

ステップ3: 信念を補強する小さな成功体験

  • 例えば、「今月は1kmのペースを5秒縮める」「週の走行距離を10km増やす」といった達成可能な目標を設定し、成功体験を積み重ねることで自己効力感を高めます。

ステップ4: 柔軟な対応

  • 万一、予想外の問題(怪我や停滞)が起きた場合でも、「サブ3を達成する」という認識があれば、それに向けた適応行動を取りやすくなります。

4. 注意点とバランス

ただし、現実を無視した「空想的な楽観」は危険です。例えば、「サブ3を達成できる」と信じて無理な練習をすると怪我につながることもあります。したがって、信念は持ちながらも現実的なリスクや課題を慎重に考慮するバランスが重要です。

5. 結論

「認識を変えることで世界を変える」という考え方は、哲学的にも心理学的にも非常に理にかなっているはずです。そして、その考えをマラソンでの目標達成に応用することは、実現可能な戦略だと考えます。

大切なのは、「目標を信じること」と「その信念を基に具体的な行動を起こすこと」です。


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