【マラソン】ガチ勢 vs エンジョイ勢とアイデンティティ【ヒルクライム】
趣味でマラソンとロードバイクのトレーニングをしています。
マラソンはハーフマラソンで1時間29分、ロードバイクは富士ヒルで1時間11分が自己記録です。
マラソンはおそらく上位10%くらい、富士ヒルは上位7%くらいの走力です。
何年か前の自分から考えたら、想像もできないくらい強くなりました。
ただ、周りを見ると私より速い人がいます。
どこまで行っても上には上がいます。
落ち込むことや辞めようかなと思いこともあります。
今日はそんなメンタルの話。
ダニング-クルーガー効果
ダニング-クルーガー効果をご存じでしょうか?
Wikipediaによると、
ある領域において能力が低い者は自分の能力を過大評価する傾向があるという認知バイパスの仮説である。また、能力の高い者が自分の能力を過小評価する傾向がある、という逆の効果を定義に含めることもある。
とのことです。
簡単に言うと、知識や経験が少ないときは、自分の能力を正しく見積もれずに過信してしまい、能力以上に自信を持つ。(バカの山)
その後、知識や経験を積むと自分の能力をより正しく見積もれるようになり、自信を失う。(絶望の谷)
その後、さらに知識や経験を積むことにより自信を高めていく。(啓蒙の谷→継続の台地)
というものです。
ダニング=クルーガー効果はこのような図で表現されます。
私はバカの山を登っている最中です。自身もつき、楽しく登っています。
下の図のように私のバカの山が、いつまで登頂できないようなとても高いバカの山であるか、登り切った後も谷に落ちないバカの高原になっていればいいのですが、そうもいきません。
いつか、自分は、まだまだで、いつまでたっても上の人に追いつけないのではないかと絶望に暮れる時が来るはずです。というかちょっと来てます。
続けていくには、絶望の谷に落ちることを受け入れ、啓蒙の坂を登り、継続の台地をめざすガチ勢ルートと、楽しく続けるエンジョイ勢ルートがあります。
1. ガチ勢ルート:絶望の谷を越え、さらなる高みをめざす
メリット
達成感が大きい: 努力した結果が具体的な記録や順位に現れ、自己肯定感が高まります。
挑戦が楽しい: 自分の限界を知り、それを少しずつ超えていくプロセス自体がやりがいになります。
競技の深い理解: トレーニング理論や体の仕組みについて深く学ぶことで、競技そのものへの愛着が増します。
新しい世界への扉: 上級者のコミュニティに入り、さらに刺激を受けられる可能性があります。
デメリット
精神的・身体的負担: 目標に向けた努力がストレスや怪我につながることがあります。
楽しさを失うリスク: 楽しみより「結果」が優先されると、趣味が義務のように感じられることもあります。
2. エンジョイ勢ルート:楽しく、長く続ける
メリット
心の余裕がある: 自分のペースで楽しめるため、ストレスが少なく、趣味としての純粋な喜びが持続します。
継続がしやすい: 厳しい目標を設定しないことで、無理なく長く続けられます。
多面的な楽しみ方: タイムや順位以外の楽しみ(景色、仲間、健康の維持など)を見つけられる。
他のことにも時間を使える: 家族や友人との時間、他の趣味などとバランスが取りやすい。
デメリット
成長がゆっくり: 短期的に見ると、速さや成果はあまり出ないかもしれません。
物足りなさを感じる可能性: 周囲が競技志向である場合、自分との温度差を感じることがあるかもしれません。
結論?
残念ながら私はガチ勢のようです。覚悟を決めてガチ勢ルートを進みます。絶望の谷で泣いているのを見かけたら励ましてください。
アイデンティティ維持のための趣味
以前に「なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか」という本をパラパラと読みました。我々は仕事を特別なものととらえすぎており、仕事に対する期待と現実のギャップが発生すると、燃え尽きてしまうとのことです。(注: 本書でいう燃え尽きてしまうというのは、日本語の「ゴールに到達して燃え尽きた」という意味とは違い、英語の「burn out」過労やストレスの蓄積によって精神的、肉体的に消耗した状態を意味します)
これを防止することは難しいようですが、趣味を持つことが、一つの解決策になります。
仕事以外に自分のアイデンティティを保つために趣味を持つことは、心の健康を保つために有効です。
仕事が上手くいなかなくても、でもマラソンが速いし!と思えればアイデンティティを保てます。マラソンで結果が出なくても、でもヒルクライムが速いし!と思えます。仕事の集中していたアイデンティティを、分散して維持しているイメージです。
しかし、マラソンやヒルクライムで結果が出せずに、期待と現実のギャップが発生してしまったらこのロジックは崩壊します。
対応策
1. アイデンティティの多様化を意識する
趣味を「結果」以外の要素でも価値あるものに変える工夫する。例えば、
成長を楽しむ: 記録が出なくても、「あの練習が楽しかった」「少し改善できた」といった小さな進歩を大事にする。
過程を楽しむ: 練習や挑戦そのものが楽しみであると再確認する。
コミュニティを活用する: 趣味を共有する仲間やイベントを楽しむ。競争だけでなく協力や交流も重要です。
景色や感覚を味わう: ヒルクライムの風景や、マラソン中の爽快感といった感覚的な満足を重視する。
2. アイデンティティを「固定」ではなく「変化」させる
人間のアイデンティティは、生涯を通じて変化し続けるものです。今は「マラソンで3時間を切りたい自分」や「ヒルクライムで1時間5分を切りたい自分」かもしれませんが、5年後には「趣味で仲間と楽しむ自分」「健康のために走る自分」になっている可能性もあります。例えば、
目標を柔軟に見直す: 記録や結果だけでなく、自分にとっての「理想の趣味の形」を定期的に見直す。
役割の変化を考える: 競技者から「仲間をサポートする存在」「初心者を導く存在」になるといった視点の転換もアイデンティティを広げる。
3. 自分の価値を「結果」に紐づけない
最も重要なのは、「自分の価値」を結果や数字に限定せず、もっと広い視点で見つめる。例えば、
記録が出ないとしても、私はこの挑戦を楽しんでいる。
結果ではなく努力そのものに価値がある。
私はランニングやヒルクライムを通じて人生を豊かにしている。
結論?
仕事と同じくらい大事に思える趣味を持つのは、必要なことです。
ただし、結果に依存しすぎず、「成長」「過程」「交流」といった趣味の多面的な価値を見つけることで、さらに豊かなアイデンティティを築るのかもしれません。
さあ一緒に、燃え尽きないようにアイデンティティを保ちながら、楽しむ気持ちを忘れずに、泣きながらガチ勢ルートにすすみましょう!