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Laboの男14
Labの男14
全てを可能とする阿頼耶識【アラヤシキ】と
それをはばむ末那識【マナシキ】
末那識までの七識含めてがインナースペース。
影響があるんだけれど
ヒトは存在自体気付いてない
阿頼耶識ことアウタースペース。
地球にとどまってくれと働く重力が
末那識【マナシキ】とするなら
宇宙へ飛び立とうとするフロンティア精神
阿頼耶識【アラヤシキ】
なんて例えるとロマンチックかな。
それまではそのインナースペースだけで
何とかしようと試みていたけれど
なんとなく上手くいかないのが分かるよね。
アウタースペースはまだ
果てしなく広がっているからね。
と、まぁ〜おそらくは
末那識が覚醒のストッパーとなっている。
頭をモフモフとして話を続ける玄白
現行で確認されている覚醒のきざしは
六識の能力向上が大多数。
例えば
明智は目識【げんしき】の能力者。
大抵の場合
キャラクターがそのまま反映されることが多くて
彼の場合は視覚で物事を決定する
現場ならではの判断を
瞳に任せる事が多いのだろう。
ボクは耳識【にしき】の能力者
ボクの場合は実験の際に物質に問いかける
聞くことが多いだろう?
だからじゃないかなって思ってるんだけど。
薬品を混ぜる時があるでしょう?
そんな時の正解を物質が教えてくれる。
そういう意味では万次郎が
何を思っているか?少し聞こえるよ。
人類の言葉として聴こえるんじゃないけど。
楽しみながら講義を受けてくれているだとか
何を玄白は言っているんだ?だとか
チカラ強い念だとあふれ出てるから分かるのよ。
ハイ!万次郎!
「あの〜よく能力をむやみやたらに
公言すると命取りになるなんて
言いません?」
銀の指し棒をブンと振りかざし
万次郎に軽く向けて、それねっ
「そもそも能力には個体差が顕著にでるから
便宜上、【〜識】言ってるけど
その【目識】でも発動のパターンが違う。
ひと枠の目識【げんしき】でも千差万別」
明智の場合だと彼は探究心と行動力が特徴で
すぐに動いちゃうタイプ。
動くまでに状況を瞬時に把握するクセがあって
日頃から目に頼って生きていることが多いみたい
だから、相手の弱点が見えたり、探している物が
壁を越えて見えたりする。
発動の方向性が性格を反映することが多いから
掌握しきれない能力がコレから
発見されるだろうね。
だから、目次くらいバレても大丈夫なのよ。
「ちゃんと質問に答えられてるかな?」
「すごく分かりやすいです玄白教授!」
「万次郎は欠点でも単位あげちゃう!
大枠では大体こんな感じかな」
「ふぅ〜っ」
玄白は指し棒を折りたたんで
目線を改めて万次郎に合わせる。
「勘違いしてはいけないポイントがあって
覚醒=スーパーマン
になる訳ではない。
元々の能力が引き出されるだけ
だからそんなに偉くはないのよ」
「おそらく太古の人々は普通に
やってのけてたんじゃないかな?
現代人が文明を高度発達に導いたと
偉そうに思っているけど
それと引き換えに
ヒトとしてのポテンシャルが相当
退化したんじゃないかな?」
「コレが大事でそれらをどう扱うかが
ポイントなのよ。
能力の良し悪しはナイ!
あくまで性格、キャラクターなだけ。
覚醒の波動が間違いなく
世の中に伝播するのは
玄白にはあまりに明白なので」
「肌感だと万次郎が呼び水だとか
きっかけ、節目となるよ」
「ニンゲンの悪いところは自身が他者より
優れているって思っちゃう所で
それこそ末那識【マナシキ】に操られているし
意識の選別ファイリング
整理も上手くできてないように思うよ。
そんなことより!どうなのよ?
使い方次第でどうにでもなる能力って
とんでもないノビシロじゃない?」
「どぉだい万次郎!ワクワクするだろう?」
「フフフッ、明智は意外と慎重派で
キミにはもっと実験段階が進んでから
こういった事を説明しただろうけど
ボクは、もういいかなって思ってさ」
「よくネタバレがどうのって言う人がいるだろ。
どちらかと言うとボクは小説では
クライマックスを最初に読んじゃう派で
入ってくる情報鮮度を大事にするタイプ
ではなくてね」
「逆に分かったほうが
より繋がりが鮮明になって2度
楽しめると思うんだよね。
あぁそうか、もしかすると論文方式で
読んでるのかもしれないな。
結論が最初に書いてあることが多いから。
もしかすると少数派かもしれないけどね」
「でもね事実を知ってさらに
前に進みたいって気持ちはホンモノなんだよ」
「だからねぇ
明智には強く止められたんだけど
講義をしようと思ったんだ」
「心配で仕方がない明智は
ほら、後ろに引っ込んでるだろう。
彼は基本的にフラれたくないんだよ。
おかしいだろっ ははははっ」
「万次郎はゼッタイこっちに来るよ。
これは何の科学的根拠にも基づかない
探求者のカンさ」
少し間を置いて玄白
「でも、万次郎どっかに
いっちゃったらどおしよう明智?」
突然飛び出してきた明智
「バカ野郎、それ言っちゃうと
締まらないだろうよっ玄白!」
だっはっははははは×3
一通り講義は終了
万次郎
「玄白さんってただのマッドサイエンティスト
じゃ〜なかったんですね。
むしろニンゲン玄白が知れた気がします」
「いやいや、これは万次郎だから言ったんだよ。
だから フラないでね」
明智 「それじゃ〜恒例の参拝に行こうか」
玄白 「そうですね
彼がどんな事を言うか楽しみですね」
万次郎「あれっ実験の方は?」
明智 「行くぞ万次郎、神社参拝してから。
儀式みたいなものさ」
万次郎「外に行くんですか?」
玄白 「この施設の地下8階ね」
万次郎「地下?8階?ってなに?神社?」
明智 玄白
「いいから、いいから、怖くないこわくない」×2
口裏を合わせたように
両サイドから万次郎を挟んで肩を組み
そそくさと連れて行かれる。
愉しげな高校生の下校風景だ。
監禁室を出てしばらく歩きだすと
同じ建物内とは思えないくらい
シンプルな作りのLaboからはかけ離れてゆく。
いつのまにか人も増えて
海外の警察署のような慌ただしさ
かき分けるように行く。
まるで日本じゃない多国籍な雑多さ
海外ドラマに出てくるような
何語か分からない言語も飛び交っている。
日本語が映画の吹き替えに聞こえるほど
オフィス感ありバイオハザード感もあり
スーツ姿と白衣と半々くらいか
通りすぎる人は、さまざまな顔をしていて
色とりどりな表情それぞれに
忙しくしているのが伝わってくる。
いくつものガラスで囲われた部屋を横目に
何やら恐ろしそうな実験をしているのかも
確かめられないまま、ぐんぐん進んでゆく。
歩みの速度とは関係なく、とても入り組んでいて
何処にいるのかが全くわからない。
進んでゆくうちにひと気がまばらになり
段々とひと気がまったく無くなってゆく。
蛍光灯色が強めの部屋からいつの間にか
映画エイリアンを思わせるほど暗くなっている。
足元のオレンジの四角が点々と光っているだけで
だだっ広く大人3人が肩を並べて歩いても
全く支障がない。
すると目前にこれでもかとBIGエレベーター登場
それ以外はまっさらで何にもない。
エントランス前に立つ3人。
明智が壁に手をあてがう。ちょうどその
エリアだけが緑色に発光している。
まずは重厚メタリックな扉がプーン プシュー
左右観音開きにスライド
続けて上下にスライド プシュー
開口するメタリックな口
分厚さがとんでもない。
さらに第3の蛇腹状のスラットに
直接手をかざす明智。
今度は上にシャッター方式にシューッ
万次郎「どんだけ厳重なんですか?
ほぼ宇宙船の搭乗シーンですよ」
玄白「ほら致死量の毒ガスが輸送中に
漏れたりしないようにとか
よくあるでしょ?」
万次郎「よく無いですよ!そんなの!」
明智「それよりカッチョいいでしょ!
最後の手をかざすとこが好きなのよ」
万次郎は思う
誰も話を聞いていないのか?
仕様は業務用エレベーターに近いが
異質なのがバンの車が
いいや、戦車くらいは優に入るBIGサイズ。
それもそのはず反対側にも扉があり
裏からも入れるようだ。
何を搬入するつもりだ?
大学生1人くらいは充分住める。
3人横並びに上を眺めている。
オレンジの数字が一向にB2に行かない。
万次郎「コレ進んでます?
長くないですか?」
明智「いつも8階にいくまで気まずいのよ
5分くらいはかかるかな」
万次郎「それじゃ最重要エリアてきな?」
玄白「そっ」
万次郎「いいんですか?
通りすがりの一般市民ですよボク」
明智 玄白「大丈夫、だいじょうぶ
怖くない、こわくない」×2
再び肩を組まれ挟まれる万次郎
なかば、いじめられっ子が連れさられ状態だ。
ゴゴゴゴゴゴ ガッシャーン ガッチャンコ
ブーン プシュー プシュー
オレンジの光が周りをなぞっていく
ミーッ ミーッ ミーッ
オレンジのパトランプが何処かで回っている。
デンジャーな音が鳴っている。
明智「誰かが入ると鳴るようになってるのよ
しばらくすると止まるよ」
明智が扇動するように先にコッコッコッ
迷いなく歩みを進める。
回転するオレンジのひかりが
明智の顔をなぞってゆくたびに
潜入捜査している様にしか見えない。
玄白は後ろ手に白衣で歩いてるから
もう爆発寸前なのにナゾに冷静な
実験に失敗した科学者かな。
そうこうしているうちに
遠巻きにスポットライトが朧げに見えてくる。
その後ろにはピコピコと発光した一面メカで
埋め尽くされた、いびつな壁がある。
そこからは管が伸びあちこちに繋がっている。
一度仕切り直された様にメカ壁の前には
空間があり
百人一首のお姫様が座っているような台
そのさらにもう一段上に
何者かが胡坐をかいてる様に見える。
頼りないスポットライトに照らされて
なにやらキラキラいている。
キラキラを指さして万次郎の顔を見て微笑む
明智「やっと到着、クリスタル神社」
玄白「我々はクリスタルマンと呼んでいる。
コレでも生きてるのよね」
何だコレは!神社でもなんでもない
これは、えっと確かっ
即身仏【そくしんぶつ】じゃない?