終身雇用・年功序列の維持は基本的に不可能


日本の大企業というと、終身雇用・年功序列(日本型雇用)のイメージが強い。
バブル崩壊後、日本型雇用の恩恵は少なくなってきたものの、コア部分としては維持している大企業がまだまだ多い。

5・6年前、トヨタ社長が「終身雇用を続けるのは難しい。」と発言して話題になった。
正直、トヨタですら限界を感じている。
これから、日本型雇用を維持できない大企業は増えるでしょう。
現状、維持できないと分かっていながらも、有効な打開策が無いから、無理やり保っているようにしか見えない。

前提として、日本型雇用は古くから浸透していたわけではない。
その起源自体は、明治時代に始まった官僚の雇用体系であるが、戦前は僅か1%の労働者にしか適用されていなかった。
殆どの労働者は、農民や自営業者であるし、雇用される者も現在で言う非正規雇用がメインだった。

日本型雇用が広く適用されるようになったのは1960年代。
それでも大企業に勤める労働者(全体の30%)にしか適用されなかった。

中小・零細企業にとって、資金面や売上の安定性という観点から、維持が難しい。
なぜなら日本型雇用は、売上や利益に左右されない公的機関で導入されていた制度であるから。

そう考えると、大企業にとっても維持は簡単ではない。
終身雇用・年功序列は、条件が良くないと維持ができないから。
会社の売上が伸び続けている且つ
若い社員ほど人数が多い(ピラミッド構造)状況でないと、成り立たない。
具体的に言えば、高度経済成長期のような
経済成長率10%の状況ではないと維持できない。

高度成長が終わった1974年時点で、産業界は維持が無理だと分かっていた。
これまでのように売上が伸びないから、賃金の増加に対応できないと。
けれども、1度導入したからには撤回ができなかった。だから、新卒採用を抑えたり、賃金の上昇を抑えるしかなかった。

50年前は、バブル崩壊後ほど経済の衰退が著しくなかった。
そのせいか、日本型雇用の問題点がクローズアップされなかった。
大企業は雇用体系の抜本的な改革に努めることはなく、ズルズルと日本型雇用を維持してきた。 
現在問題となっている正規社員と非正規社員の格差の元凶である。

そして、企業側だけが悪いのではなく、労働者側のメンタリティも悪いですよね。
そもそも、安定的に経済的な豊かさを享受し続けることは難しいんです。
1度入社してしまえば、60歳まで雇用されて、年齢相応に賃金や役職が上がるのは、
普通に考えれば不可能です。
経済はどこかで成長の限界を迎えます。

安定を提供するのは企業の義務ではないし、
終身雇用・年功序列を約束しないことは当然だと考えています。




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