顧客軸営業の危険性~顧客別カスタマイズが低スキル人材と属人化を生み出す~

企業におけるビジネス戦略の1つに、顧客軸営業という戦略があります。要するに、顧客側の問題解決を起点として営業を行う戦略です。
顧客から売上を収受している分、自社サービス・商品ありきではなく、顧客ありきでビジネスを考えるのは当然です。

ただ、顧客軸営業には落とし穴があります。
大企業相手の営業において、低スキル人材と属人化を生み出すことです。

顧客の規模が大きいと、自社や業界の一般的なサービスだけだと、
相手のニーズを満たすことが難しいです。
そうなると、その顧客に対しては、
サービス内容をカスタマイズ(という名の複雑化)して、
ニーズに応えるという対応になります。
そのためには、顧客側の業務フローも詳細まですべて把握して、
細かい部分まで合わせる必要があります。
カスタマイズのしすぎで、
特定の営業担当者でないと対応できない、つまりは属人化(という名の奴隷化)へつながります。

こうして、とある顧客の専門家という
何をやっているの良く分からない人材が生み出されます。

社内だけの専門家よりはマシですが、
社外の労働市場では依然として低スキル人材です。
同じ業界の別顧客に対して、
問題解決を提案&実践できるスキルが有れば、何とか他社でも通用します。
カスタマイズのしすぎで、
自分が担当したサービス内容を一般化できなければ、転職は厳しいです。

大企業ほど、サプライヤーへ企業ごとの独自対応を求める傾向にあります。

大企業が好む独自対応というビジネス方針が、
低スキル人材や仕事の属人化を生み出して、閉鎖的な企業内労働市場の温存に寄与しているのです。

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