プレべの話
ベースの話の延長でプレベの話を広げてみようと思う。
2010年に遡る。購入のきっかけは代官山UNITで he と cinema staff のライブを見て人生何度目かの「プレべかっけー病」を発症したことだったが、決め手は当時ニコニコ動画でナンバガ風のアレンジを投稿されていた「やよいちゃん」というかたの演奏動画だった。
ブリっと抜ける音が心地よく感じた私は「これ欲しい…」と思い、ナビゲーターのプレべ(以下NPB)を意識するようになっていった。それから少し経った頃「ESPブランド製品は BIGBOSS にたくさんある」と言うことを知り、早速お茶の水へ出かけてみることにした。
お目当てのNPBは当時新品36万円で予算オーバーだったため「とりあえず拝もう…」ぐらいのノリで店に入ってみたら、運良く中古のNPBが購入できる価格で並んでいて運命を感じた。L-2000の時もそうだったけど、こうした出会いはお目当ての一本だけスポットライトが当たっているかのような感覚があって面白い。
どうやらその日から店頭に並んだらしく、これを逃したら次はないだろうな…と思ったことと、友人の幅野君がよく言っていた「ペンと判子があれば(ショッピングクレジットで)楽器は買える!」を思い出して私は即購入を決めた。
帰宅してじっくり弾いてみたうえでの感想は…「なんかショボくない?」だった。単純に勉強不足だったこともあるが、パワフルな G&L L-2000 を10年近く使用していて、PUを直列セッティングにしてゴリゴリ弾く… そんなマッチョな音に耳が慣れていたせいか、パッシブなプレベは派手さが欠けたように感じた。普段ニンニクマシマシの二郎系を食べている人に名店のあっさり中華そばを提供しても「味薄いな…」と感じるようなもので、すぐにはNPBの良さが解らなかった思い出がある。
慣れてきた頃にカタログに書かれている「なだらかな低音」がわかるようになってきた。トーンを少し絞って良いポイントで弾くと芯のあるプレベサウンドが鳴る。力任せに弾かないようにして弦高は低すぎない方が吉。そうやってだんだんと良さを実感できるようになっていった。
その後参加したバンドでは 5弦JB 中心の立ち回りをしていたため、あまりステージに上がることはなかったが、2020年にNPBのポテンシャルを引き出そうと ESPギターワークショップ に相談して、PJ改造を施してみたらこれが大正解だった。
プレベサウンドにJBのリアPUが加わることでパリッとした輪郭を得ることができた。シンプルに言えばジャズベっぽくなるのだが、フロントが太いぶん「麺かため味濃いめ」に仕上がるのだ。セレクターで簡単にPBセッティングに戻すこともできるため、気分で使い分けられるところも気に入っている。
改造内容 / 費用36,300円
ザグリ+パーツ取り付け 14,000円
総合調整 4,000円
リアピックアップ 16,800円
ミニスイッチ 1,500円
ザグリは敷居が高いものだと思っていたが、同じ価格帯のベースを一本買うよりだいぶ安く済むことと、フルオーダーではないもののカスタマイズによって専用機を所持出来た充実感はなかなかのもので、次の10年を楽しむうえでもPJ改造は十分すぎる結果だった。
搭載しているアンティークティPUはパワフルではないが素朴で素直な音がするため、ビンテージ風のベースを構築するうえでは選択肢の一つに入れてよいピックアップだと思う。
プレベはいいぞ。PJもいいぞ。
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