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感想文『テヘランのステキな女』金井真紀著
本で破産する覚悟はできていませんが、本が好きです。
こんにちは、永遠の図書委員ユルワです。
先日池袋のジュンク堂で、ふと目にとまってそのまま持ち帰ったこちらの本について。
ゆるリアルなイラストとタイトルに心惹かれたので、手に取ったら過去にも同じ作者の本を読んだことがあった。
ほかに類をみない切り口のエッセイというか、るポタージュで病みつきになってしまった。
そんな著者の新刊ということもあって、即購入。
いわゆる衝動買いってヤツですね。
そしてページをめくるやいなや、あっという間に読破してしまった。
テヘランとはいわずと知れた中東イランの首都。
かつてはペルシャとばれ、栄華を極めた王朝である。
そんな歴史あるイランは、イスラム教国家として国民に「宗教観に基づいた秩序ある振る舞い」を義務づけているわけで、その中でも女性が外出時には原則肌を隠した装い&チャドルで頭を隠す姿は、遠く離れた日本でも周知の事実。
そんなイランでは2022年以降、「反スカーフデモ」が全土に拡大し、反体制の動きが若い女性中心に沸き起こり、多数の死傷者が出たことは記憶に新しい。
そんなイランを、イランの女性を、あなたはどんなイメージで捉えているだろうか?
この本を読むと、「イラン女性」という大枠で捉えがちな自分の小さな認識を、イイ感じで壊してもらえる。
当たり前だけど、人を大きなくくりで語ることなんてできないことなのだ。
元はといえば、イランの「女相撲」を体当たり取材が著者金井真紀氏と編集担当者との企画だったそうだ。
しかし、上述のデモの知らせを受け、「生のイランの女性の姿」を私たちに伝えようと、体を張って取材されたという。著者と担当者の骨太精神にリスペクトしてやまない。
もちろんイラン相撲に携わる選手達も出てくるが、登場する女性一人一人がまぶしいのである。
👩チャドルをやめた女性
👩女性弁護士
👩女子サッカーチーム代表監督兼社会学者
👩伝統細密画家
👩日本留学経験のあるトランスジェンダーの学生
👩アフガニスタン移民
わずか数ページに、それぞれのストーリーと人物像が描かれている。その迫力に目の前に彼女・彼らの吐息混じり熱弁が聞えてきそうだ。
ムスリム女性を描写すると、日本ではどこか「かわいそうな女性達」のレッテルが貼られがちだが、昔から私はそこに違和感があった。
もちろん彼女たちを取り巻く状況は、日本人女性とは比べようもない制限に満ちていることは確かだろう。でもそれが哀れな境遇と紐付けるのも、何だか浅はかというか、逆にムスリム女性を見下したものの見方のように、個人的に感じてしまうのだ。
だからこそ個人の顔を見せてくれる本や情報の役割は大きいな、と思ったりする。
ああ、どうかそれぞれがその人らしくいられますように。
この人生を味わって進んでいけますように。
2024年夏に出合えた良著で、オススメの一冊です。