【エッセイ】本店・本屋の実験室、本オープンしました
気を抜くとすぐに日記を書かなくなってしまう。
webでも紙でも、三日と続いたためしがない。
そんなズボラ人間にとって、一つ店をしっかりと構えるよりもシェア型書店の店主ぐらいがまずはちょうどいいのかもしれない。
高円寺のシェア型書店「本店・本屋の実験室」が2024年9月1日にめでたく本オープンした。
開店初日に店番をしたが、客足は多くもなくかといって閑古鳥でもなく、いつも通りといった具合だった。
パチンコの新装開店のように大きな花輪があるわけでもなく、店の前でビラ配りをするわけでもないし、そもそも多くの人にとって書店って毎日足を運ぶところじゃない、ってのも大きい気がする。
とはいえ、棚主さんの知人がお花を持ってきてくださったり、お祝いを置いていってくださったりもして、やはり最強の人を呼び込む術は口コミなのかなあ、と思ったりもする。
東京にはお金をかけずに静かに休める場所がない、なんて話がよくSNSで話題になる。
大阪梅田のうめきたエリアに大きな緑地広場ができて自由にくつろぐ人の姿が現実になっていることも大きいだろう。
先日実際にうめきたガーデンに行ってみたが、とても緩やかで賑わいもあって、いい場所だった。いささか無防備すぎるぐらいに老若男女がくつろいでいて、東京にこんな場所があったらいいのに、と思わずにはいられない。これから気温が下がっていけばますます快適に過ごせる場所になること間違いないだろう。(ひとつ難点を上げるなら、ゴミ箱がないのが非常に不便だ。持ち帰ればいい、というのはもっともだけれど、テイクアウトもできるカフェが周囲にありながらそのゴミを入れる場所がないのはどうにも不便だし、最初から景観にマッチするようなゴミ箱を設置する方がいいと思うけど、難しいのかな)
前置きが長くなったが、本店・本屋の実験室には、中央に大きな木のテーブルがある。
ここの椅子とテーブルは、自由に休んでもらっていい設定で置いているのだが、いかんせん敷居が高く思われるのか少ない店番経験の中でも休んで行く人を見たことがない。
今後レイアウトの変更があるかもしれないが、少なくとも現時点ではここは自由に使っていいスペースになっている。
気になる本を買って、そのまま涼しい店内で本を読んで時間を過ごす。
カフェと違って飲み物も食べ物もないけれど、本を買ってそのままただ読むだけの場所を提供する本屋ってのはなかなかないように思う。
程よく人の気配がする場所で本を読みたいけどそのためにわざわざカフェやファミレスに入るのは……と躊躇う人に、ぜひ中央テーブルの活用を提案したい。
ところで私は最近一番読書が捗る場所は、店番中のカウンターの中になりつつある。
読み終わった本を、そのまま値札をつけて棚に入れる。
自宅に持ち帰りたいと思ったらそのままカバンにしまう。
読書のいいルーティーンになりつつある。
それだけでも、棚主になってみたことに大いなる意義があるように思える。